===「塩ビと環境のメールマガジン」 第46号 === 2002/8/1

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目 次

☆巻頭コラム
 不法投棄には厳罰を、リサイクルには規制緩和を
 「中環審廃棄物・リサイクル部会の中間取り纏めへの感想」

☆SPEED’98、事実上崩壊か?
 横浜国大中西先生のホームページの抜粋から

☆お知らせ

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☆巻頭コラム
 不法投棄には厳罰を、リサイクルには規制緩和を
 「中環審廃棄物・リサイクル部会の中間取り纏めへの感想」

 環境省の中央環境審議会廃棄物部会廃棄物・リサイクル部会は、
この3月に「廃棄物・リサイクル制度の基本問題に関する中間取
りまとめ」を行い、この内容に対するパブリックコメントを募集
してその結果を6月に公表しました。

 この「中間取りまとめ」では、資源循環型社会の構築へ向けて、
廃棄物・リサイクル制度の在るべき姿を模索しており、考え方と
してうなづける面が多いのですが、そのなかで、廃棄物の定義と
して、「不要物以外のリサイクル可能物も含めて、幅広く廃棄物
に含める」という案が示されています。
 この理由として、リサイクル可能物と称して収集した廃棄物が
全国各地で不法に放置され、その取締りが現行廃棄物処理法では
困難であるということが挙げられているようですが、これには、
ちょっと待ってください、といいたくなるのです。

 私たちが関わっている、塩ビに限らず、プラスチック業界では
プラスチック製品をユーザーに販売した時、そのユーザーで発生
した加工端材などを有価で引き取り、もう一度原料プラスチック
としてリサイクルすることが日常茶飯事で行われています。典型
的な「不要物以外のリサイクル可能物」です。これを「廃棄物」
と定義して、現行のような廃棄物処理法の網をかぶせると、どう
なるでしょうか。大方のプラスチックメーカーが、法に基づく種
々の免許を取得し、法に基づく設備要件を満すべく設備投資をし、
ユーザーとのやり取りを法に基づくマニフェストに記載し管理し
…、途方もない手間とコストをかけざるを得なくなるのです。

 不法投棄をなくすることは焦眉の急であることは間違いありま
せんが、その対策としては取り締まり体制の強化、監視通報制度
の確立、刑事罰の強化などで臨むべきであり、例えば古タイヤの
例など一部の現象を過大に評価して、廃棄物の定義を拡大変更し、
それが原因で、善良に何の問題もなく実績を重ねてきたプラスチ
ック製造業者やリサイクル業者に大きな負担を強いることは如何
なものかと考えざるを得ません。
 リサイクル産業を育成することの必要性が叫ばれている折から、
リサイクルに対する施策としては、不法投棄などの犯罪行為に走
る可能性を極力排除しながら、規制緩和の方向へ向かうべきだと
も考えます。

 上述のパブリックコメントの纏め結果でも、この廃棄物の定義
については600件を超える(賛否ほぼ同数の)コメントが寄せ
られたとのことであり、環境省はこの結果を受けて、この部会の
下に、「廃棄物・リサイクル制度専門委員会」を設置し、10月
を目途に廃棄物の定義および区分その他について見直しの方向性
を検討することにしたようです。この専門委員会では是非、実態
を踏まえ産業界の意見も充分考慮に入れた、建設的かつ現実的な
方向が打ち出されることを望みます。

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☆SPEED’98、事実上崩壊か?
 横浜国大中西先生のホームページの抜粋から

 7月8日付の横浜国大中西先生のホームページの記事に、また
また興味ある内容のレポートが掲載されていましたので要約をご
紹介します。上記表題はその記事の表題そのままです。
 因みにSPEED’98というのは、環境省が、内分泌撹乱化
学物質であるかないかを67物質について優先的に調査する計画
のことです。中西先生の記事は、6月15日にマスコミ各紙が報
道した環境省の内分泌撹乱化学物質問題検討会の審議結果に関す
るものです。以下、中西レポートのエッセンスを列記します。

 1.今回の環境省の報道発表資料をまとめると、以下のように
   なる。
  1)フタル酸ジアルキル類の可塑剤を主にする10物質につ
    いて、人への影響を知るための、げっし動物の実験では、
    「低用量での明らかな内分泌撹乱作用は認められなかっ
    た」。
  2)メダカの実験では、10物質( 1)に示す10物質と
    は完全には一致しない)について、4−オクチルフェノ
    ールについて、精巣卵の形成あり、5物質について頻度
    が低いが、精巣卵ができることがある、4物質について、
    「明らかな内分泌撹乱作用は認められなかった」。
  3)1)の物質については、一般毒性はあるものがある。

 2.SPEED’98にリストアップされた物質についてこれ
   までの環境省の発表結果を表にまとめた。(表省略)

 3.上記についてのコメント

  ○一般毒性があるかもしれないのは当然で、これは別途検討
   されるべきである。ただ、これはSPEED’98とは関
   係ないから、内分泌撹乱性を根拠にした、人への影響を否
   定できない物質は、いくつも残っていないことがわかる。
   農薬とPOPs的な物質を除けば、ビスフェノールAしか
   ない。これも、それほど深刻とは考えにくいから、人への
   影響を予測される物質はゼロということになる。
  ○今回の発表で、SPEED’98の枠組みは殆ど崩れてし
   まったことが判る。今回の環境省発表は、事実上、SPE
   ED’98が引き起こした環境ホルモン問題の終焉を意味
   するものだったのである。
  ○よく見ると、このリストの中に、フタル酸エステル類が如
   何に多かったかに、あらためて驚く。微量のフタル酸エス
   テル類が水系で検出される度に、「微量でも影響がある疑
   いがあるとして環境省が選んだ67物質」とか、「生殖機
   能障害や悪性腫瘍を引き起こす恐れのある内分泌撹乱物質」
   などという枕詞付きで、報道されてきたのだから、ひどい
   ものだと思う。
  ○明日から、新聞やTVは、こういう枕詞をつけてはいけな
   いということを、理解しているだろうか?学者の世界では、
   環境ホルモン問題からの遁走が始まっているという。

   表の詳細、その他をお知りになりたい方は、下記へどうぞ。
    http://homepage3.nifty.com/junko-nakanishi/

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☆お知らせ

 ■「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」および「塩ビモノマー生産・出荷
  実績表」をホームページにて掲載しています。
   https://www.vec.gr.jp/data/data.htm

 ■展示会出展予定

  1.「おもしろサイエンス IN ソラール2002」
     7月23日(火)〜8月25日(日)
      山口県防府市青少年科学館 ソラール

  2.「ハウジングフェスタ2002」
     8月2日(金)〜8月4日(日)
      東京ビッグサイト 東3ホール 小間番号36
      (ゆりかもめ 国際展示場正門駅 下車)

 ■シンポジウム
  『住環境フォーラム』
    「高齢化社会の住文化の創造に向けて」

  日時:平成14年8月27日(火)10:00〜12:20
  会場:UNハウス(国連大学ビル)3階
      ウ・タント国際会議場
      東京都渋谷区神宮前5-53-70
  主催:住環境フォーラム実行委員会
  後援:(財)建築環境・省エネルギー機構、国際連合大学
     新建新聞社、(財)地球環境戦略研究機関(五十音順)
  協賛:板硝子協会、塩ビ工業・環境協会(五十音順)
  参加費:無料
  言 語:日本語
  お問合先:住環境フォーラム実行委員会 事務局
   (三菱総合研究所 環境研究部内 担当:牧、又は小島)
     〒100-8141東京都千代田区大手町2-3-6
     Tel:03-3277-0446 Fax:03-3277-0512
     E-Mail: mailto:kkoji@mri.co.jp

  ●基調講演
   「高齢化社会の住文化を創造する—住環境の構造改革案—」
    坂本雄三 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授
  ●パネル・ディスカッション
    ・モデレーター:新井庄市郎 新建新聞社代表取締役社長
    ・地球環境の視点から(ビデオメッセージ)
       ラジェンドラ・パチャウリ
     気候変動に関する政府間パネル議長パネリスト(予定)

     パネリスト(予定):建築技術の視点から
               工務店の視点から
               環境NGOの視点から
               医学・健康の視点から
               海外の視点から
     まとめ:澤地孝男 (独)建築研究所環境研究グループ
               上席研究員

  ●レセプション(無料)12:20−13:40
     於:UNハウス(国連大学ビル)2階
       レセプション・ホール

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☆編集後記

  先週のパズルの続き。週末になって気がついたのです
 が、先週の論理にはちょっと変なところがありました。
 「nはできるが、n+1はできないとき、この4桁の数
 のランクをnとする」としたのですが、じゃあ、0(ゼ
 ロ)ができなかったときはランクはどうするのでしょう
 か。マイナス1か?これもおかしい。困った、困った。

  そこで第3問:4桁の整数の4つの数を一回だけ、加
 減乗除で組み合わせて、0(ゼロ)ができないものはあ
 るか?何種類あるか?
  ちなみに、この答の中で一番若いものは、1468で
 す。(H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

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 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp