===「塩ビと環境のメールマガジン」 第49号 === 2002/8/29

===================================================================

目 次

☆巻頭コラム
 ぜひ、正確な情報提供と、地に付いた対応を!
 「最近の「電磁波で小児白血病増」の報道に想う」

☆山頭火生誕の地に、集え未来の科学者たち
 「青少年のための科学の祭典」防府市の集いに参加して

☆お知らせ

===================================================================

☆巻頭コラム
 ぜひ、正確な情報提供と、地に付いた対応を!
 「最近の「電磁波で小児白血病増」の報道に想う」

 先週末のマスコミ各紙は、国立環境研究所などによる全国
疫学調査の結果として、「高圧送電線や電気製品から出る超
低周波電磁波が、強度によっては小児白血病増加の原因にな
る」という記事を載せました。

 電磁波が及ぼす人体への影響については、欧米では「21
世紀の公害」といわれる程関心が高く、WHO(世界保健機
構)では1996年から「国際電磁波プロジェクト」を組織
して、10年計画で研究の推進と新しい基準作りを進めてい
るそうです。
 今回、国立環境研究所と国立がんセンターが、1,000
人を超える子供について本格的疫学調査を実施した結果、日
常環境の電磁波0.1マイクロテスラに対し4倍の、0.4
マイクロテスラ以上の環境下では、小児白血病の発症頻度が
2倍以上に増えることが判ったということです。
 この結論は、WHOが昨年まとめた結果と同じであり、日
本での疫学調査の結果でも、WHOの説が裏付けられた、と
いうことになるようです。

 この記事を読んで考えたことがいろいろあります。第一印
象は、「そうか、怖いな、我が家も気をつけなければナ」と
いうこと。しかし、記事の中には、「0.4マイクロテスラ
以上の環境に曝されているのは日本の人口の1%以下」であ
ること、「小児白血病の発症率は通常では10万人に3〜5
人」であること、などが書かれており、不安が少しは和らげ
られました。

 第2の思いは、やはり、日本の行政に対する問題意識です。
記事には、1993年、当時の通産省資源エネルギー庁が、
「居住環境の磁界により人の健康に有害な影響がある証拠は
認められない」とする報告書をまとめて、健康影響を否定す
る立場をとっている、とあり、昨今の日本の行政当局の状況
からして、釈然としないものを感じざるを得ません。

 第3には、とにかく科学的事実を早急に解明し、その情報
を遅滞なく、市民レベルでも分かりやすい形で公開し、その
科学的事実から想定される、必要なアクションを適切に取っ
て欲しい、ということです。
 この想いを満たすためには、先ずマスメディアが、うわべ
だけのセンセーショナリズムに走らず、科学的事実に基づい
た、冷静沈着な報道を心がけることが大切です。また、学者
・有識者も、一部世論におもねることなく、的確なコメント
を社会に向けて発信すべきです。そして関連業界も(この場
合は電力業界や家電業界などが該当すると考えられますが)、
情報の徹底した公開をベースとして、真摯に対応する必要が
あります。

 幸い、先週末のこの一連の記事は、不必要な騒ぎを誘発す
るような書き方ではなく、冷静なトーンに終始しており、そ
の意味で評価すべきであると考えました。
 私たち塩ビ業界は過去、一部マスメディアの報道によって
あらぬ疑いをかけられ、被害を受けた経験が一度ならずあり
ます。今回のこの記事が、そういった意味での前車の轍を踏
んで欲しくない、と痛切に想うものです。

===================================================================

☆山頭火生誕の地に、集え未来の科学者たち
 「青少年のための科学の祭典」防府市の集いに参加して

 子供たちに、自分の手で触れて、見て、聞いて、科学の楽
しさを身をもって体験してもらおうという趣旨で、文部科学
省が1992年から毎年、全国各地で「青少年のための科学
の祭典」という催しを続けているのはご存知だったでしょう
か。スタート時は全国わずか3会場で始まったというこの催
しは、その後年々会場数が増え、今年度は全都道府県74会
場で開かれ、参加者約50万人にも上る、ちょっとした大イ
ベントになりました。

 私たちVECとしても、小さな子供たちにプラスチックの
素晴らしさ、塩ビの良さを理解してもらおうと、74会場の
一つ、山口県の防府市青少年科学館「ソラール」で、VEC
会員企業の協力を得て、展示を行いました。ここでは7月2
3日(火)から8月25日(日)までの月曜日を除く延べ3
0日間、「おもしろサイエンスinソラール2002」と題し
たさまざまな展示や実験、講義や演習が行われ、近辺の小中
学生はもとより、高校生や大人にとっても、科学への興味を
惹かれる催しとなっていました。

 先週後半、会場を訪れましたが、たまたまその日のプログ
ラムは鳥笛作り、入浴剤でロケットを飛ばす、たまねぎの皮
で絞り染め、化石のレプリカ作り、といった楽しいラインア
ップ。広い会場は小中学生とそのお母さんたちで超満員、熱
気ムンムンの状態で驚かされました。
 傍らで光ファイバーの話し、蛍の話し、といった講義物も
あり、大人から子供まで楽しんでいました。

 実験会場のすぐ横には、常設の展示と並んで、「地球に優
しい科学」と題した私たちVECの塩ビリサイクルを中心と
した展示があり、こちらの方は子供たちの数は少ないものの、
お母様方が連れ立って見学していました。

 科学館の館員のお話では、この30日間で延べ参加者1万
8千人程が見込まれるそうであり、これまた年々参加者数が
増えているとか。展示協力者や、実験指導者の確保と実験の
下準備など、苦労は多いけれど、嬉々として実験に取組む子
供たちの様を見ていると苦労も吹き飛びます、と話してくれ
ました。
 若者たちの技術離れ、理科離れが騒がれて日が経ちますが、
いつの時代になっても、科学技術の進歩と、それを支える人
材なくしては社会の発展は困難です。小さい子供の頃から少
しでも科学の面白さに気づかせ、科学に理解をもたせる教育
が大事であり、そのためにもこういった催しは大変重要だと
感じました。

 山口県防府市は有名な放浪の俳人、種田山頭火の生誕地と
か。山頭火と科学とは直接的には結びつき難いものがありま
すが、防府市の子供たちも幼少の頃から科学的知識を身につ
けることで、それぞれに個性を磨き、科学者はもとより、い
ろいろな分野でユニークな人物に育って欲しいものです。

===================================================================

☆お知らせ

 ■「塩ビ樹脂生産・出荷実績表」及び「塩ビモノマー生産・
   出荷実績表」をホームページにて掲載しています。
    https://www.vec.gr.jp/data/data.htm

 ■展示会出展

  2002NEW環境展(大阪)
   9月4日(水)〜7日(土)
    10:00〜17:00
    インテックス大阪 1号館 (コマ番号1−11)
     (ニュートラム 中ふ頭駅 下車)

===================================================================

☆編集後記

  26日から南アのヨハネスブルクで、環境開発
 サミットが開幕しました。環境を守りながら貧困
 や飢餓のない世界を築くという、大変困難な、し
 かしクリアせねばならない課題について話し合う、
 国際会議です。
  ここでの重要テーマの一つに、世界的な
 「水(飲料水)」の確保の問題があります。この
 水の確保に、実は塩ビ・塩素が重要な役割を果た
 しているのです。そのうち詳しくご紹介するつも
 りですが、とにかく飲み水がなければ話になりま
 せん。だって水割りが飲めないもん。(H2記)

===================================================================

[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp