===「塩ビと環境のメールマガジン」 第50号 === 2002/9/5


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目 次

☆巻頭コラム
 ダイオキシン、塩ビとの絡みは影を潜める
  「ダイオキシン国際会議(8月於バルセロナ)出席者の
   報告から」

☆ヘルシーでエコロジーな暮らし実現のために、継続的努力を
 「住環境フォーラム」第1回、盛大に開催

☆お知らせ

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☆巻頭コラム
 ダイオキシン、塩ビとの絡みは影を潜める
  「ダイオキシン国際会議(8月於バルセロナ)出席者の
   報告から」

 恒例のダイオキシン国際会議(Dioxin2002)が、
今年はスペインのバルセロナで、8月11日からの6日間開
催されました。塩ビ業界からも、「ダイオキシンの塩素化に
及ぼす塩酸濃度と温度の影響」と題する発表を行い、そのた
め関係者が渡西しました。帰ってきた関係者から、以下のよ
うな印象を聞きました。

1.会議参加者約800名、うち日本からの参加がダントツ、
  全体の20%を占めていた。この分野に限らないのかも
  しれないが、日本人の環境フィーバーのすごさに改めて
  驚いた。素直に喜んで良いのかどうか。
   ある本によれば、過去20年間に出版されたダイオキ
  シン関連図書は百数十冊あるうち、8割方が日本図書で
  あるとのこと。日本人が研究熱心なのか、どうか。因み
  に、フランス語で書かれたダイオキシン関連図書はわず
  か1冊だそうである。

2.米国からの研究発表で、殺虫剤や除草剤に接触の多い人、
  セベソ事故の被曝住民の二世について男女出生比率を比
  較したものがあり、注目を集めた。明らかに濃度依存傾
  向があり、女性が生まれる比率が高い。非被曝者の二世
  は若干男性が多い(男/女比1.05)のに比べ、被曝
  者の2世は男/女比0.7〜0.9であった。懇親会席
  上で斯界の権威者の意見を求めたが、やはり事実として
  認められているようだ。
   但し、現時点で直接ダイオキシン類似化学物質との因
  果関係に結びつけるのは早計であり、先進国対途上国、
  過去対現在の比を調査しても同様な傾向が見られるとも
  いう。慎重な研究と慎重な情報公開が望まれる。

3.EUではこの1月に、食品と飼料中のダイオキシンの最
  大許容濃度(制限を開始する濃度)が種類に応じて決め
  られ、7月から規制が適用開始されている。今後は監視
  開始濃度や、目標濃度も決めていく方向とのこと。

4.予想していたことではあるが、ダイオキシンと塩ビとを
  結びつけた議論はまったくなかった。そんな話は遠い昔
  し話しのように思え、時代の変遷を実感した。

 ということでした。ダイオキシン問題は、初期の、急性毒
性・猛毒性に対する関心から、発ガン性問題、個体発生過程
や精神発達過程への障害等へと関心の中心が移ってきている
ようであり、今後に残された研究テーマも多いのでしょうが、
何はともあれ、塩ビとダイオキシン問題の扱われ方に関して
は、私達もホッと胸をなでおろす思いでした。

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☆ヘルシーでエコロジーな暮らし実現のために、継続的努力を
 「住環境フォーラム」第1回、盛大に開催

 8月27日(火)、東京渋谷の国連大学にて、住環境フォ
ーラム実行委員会の主催、(財)建築計画・省エネルギー機
構、国際連合大学、新建新聞社、(財)地球環境戦略研究機
構の後援で、高齢化社会の住文化の創造へ向けての住環境フ
ォーラムが開催されました。

 当日、広いウ・タント国際会議場は150人の熱心な参加
者で埋まり、この問題に対する関心の高さがうかがわれまし
た。

 フォーラムは先ず、東京大学大学院坂本雄三教授による、
「高齢化社会の住文化を創造する—住環境の構造改革案」
と題する基調講演から始まりました。教授は、大量建設を
目指した従来の住宅は21世紀の高齢社会、地球環境対応
の時代には大きな不良資産となって問題化してきていると
述べ、これからは次世代省エネルギー基準に準拠した、安
全・耐久・省エネ・快適・健康住宅が豊富に提供されるべ
きであり、一方、住む側の住む心(ソフト)の充実も伴わ
なければならないと力説されました。

 続いて、IPCC(気候変動に対する政府間パネル)議
長のラジェンドラ・パチャウリ氏からのビデオメッセージ
が披露され、この中で同氏は、日本における地球温暖化防
止対策にとって住宅分野の省エネは重要であり、そのため
には開口部(窓)の省エネが鍵であると述べるとともに、
日本への期待としてインドや中国などに対する住宅技術・
省エネ技術のトランスファーの必要性を強調されました。

 引き続きのパネルディスカッションでは、新建新聞社新
井庄市郎社長の進行のもと、建築行政側から国土交通省坂
本努企画官、医学・健康の視点から東京都医師会の鈴木聡
男理事、生活者の視点から文春ネスコの川村容子編集長、
工務店側として持井工務店の持井貞城代表、海外の視点か
らカナダ大使館のマット・フレイザー書記官といった多士
済々の顔ぶれが並び、時には激論を交えながらも真剣、か
つウイットに富んだ意見交換がなされました。

 最後に、パネルにも参加された、建築研究所の澤地孝男
上席研究員から、「住文化の創造の必要性、重要性につい
ての共通認識は得られたと思うが、問題はこの後どうする
か、具体的に何を始めるかであろう。充分な議論を尽くす
ことが肝要で、そのためには、今日のこのような場を継続
して作っていくことが第一歩ではないだろうか。」とのま
とめがなされました。

 確かに、今の日本の住宅は、数量こそ何とか充足された
とはいえ、いわゆる住み心地という点では、まだまだ改善
の余地が多い、というのが殆んどの国民の実感でしょう。
どういう改善を、どのような手段で、経済的、合理的に進
めていくのか。関係者だけでなく、行政も企業も市民も含
めて、国民的課題として取組むべきテーマだと感じました。
そして考えるほどにこのテーマは、まさに「文化の創造」
であることが理解できました。
 さらに私たち塩ビ業界の人間としても、このフォーラム
に参加して、住宅の省資源省エネ・快適性に塩ビ建材が貢
献出来る事を力強く感じました。

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☆お知らせ

 ■展示会出展

  2002NEW環境展(大阪)
   9月4日(水)〜7日(土)
    10:00〜17:00
    インテックス大阪 1号館 (コマ番号1−11)
      (ニュートラム 中ふ頭駅 下車)

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☆編集後記

  やっと1年経ちました。このメルマガの第1号
 は2001年9月6日発信でした。ヨタヨタしな
 がらも、何とか続けられたのは、一に皆様からの
 励ましあってこそです。お叱りさえも、一種の励
 ましなのですから。
  ここまで来たからにゃしょうがない、もう一年、
 100号目指して頑張るゾ!(ぐらいのホラは吹
 かねばならんでしょうナ、トホホホ)
 いや、頑張ります。(H2記)


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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp