===「塩ビと環境のメールマガジン」 第53号 === 2002/9/26

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目 次

☆巻頭コラム
 タバコがなくなれば、延びる寿命は1.5年(男性)ダイオキシン
 がなくなれば、延びる寿命は(たったの)1.2日
  安井至著「環境と健康—誤解・常識・非常識
       信じ込んでいませんか?」から

☆健康で安全な住宅造りのため、税制や法規制の見直しが急務
 「住環境フォーラム」参加者のアンケート結果から

☆お知らせ

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☆巻頭コラム
 タバコがなくなれば、延びる寿命は1.5年(男性)ダイオキシン
 がなくなれば、延びる寿命は(たったの)1.2日
  安井至著「環境と健康—誤解・常識・非常識
       信じ込んでいませんか?」から

 最近本屋で何気なく手に取った、上記の本の中に、面白い
記事がありました。この本の著者、安井至氏は、東京大学生
産技術研究所の教授で、環境問題についても各方面で活躍中
の方、というよりも、私たちにとっては、「市民のための環
境学ガイド」と題する、著者の個人的webページの作者と
してなじみの深い方であり、このメルマガにも、特別寄稿文
を頂戴した方でもあります。

 丸善(株)から出版されているこの本は、「環境問題の真
の解決への近道は、市民が、環境と健康についての誤解を解
き、常識を持って情報の正しさを判断し、非常識な報道は批
判することである」として、上記webページの中からトピ
ックスを選択、編集したものだそうです。
 市民に誤解されやすいトピックスを52項目に渡って取り
上げ、解説していますが、中身はリサイクル、水、ダイオキ
シン、環境ホルモン、電磁波、マイナスイオン、狂牛病など
誠に多岐に渡っており、それぞれ深く考えさせられるものば
かりです。

 とりわけ目を引いたのは、表題に示した、ダイオキシンの
損失余命の話です。損失余命というのは、その原因によって、
日本人全員の寿命が平均としてどのぐらい短くなっているか
という値で、判りやすいリスク評価の指数のひとつです。こ
の本によると、交通事故による損失余命は0.27年だそう
で、つまり、交通事故がゼロになれば、日本人の平均寿命が
0.27年延びることを意味します。
 同様にタバコの損失余命は男で1.5年(女で1.2年)
となるそうですが、一方化学物質関連で見るとラドンによる
損失余命が9.9日、ダイオキシンでは1.2日、ベンゼン
では0.2日だそうです。
 世間にあれほど騒がれたダイオキシンも、こういった切り
口から考察すると、リスクが大体どの程度のものか想定がつ
き、冷静な対応が必要であることが判るのではないでしょう
か。

 このほかにもこの本には、塩ビに関連したさまざまなテー
マが取り上げられています。ビニールという言葉で認識され
ているものが実はかなりの部分は塩ビ以外のプラスチックで
あること、ダイオキシンは天然にも太古の時代から存在し、
焼却のやり方によっては塩ビのみならずいろいろなものから
も発生する可能性があることなども書かれており、また、
「エコ電線はなぜエコなのか」というテーマでの環境問答も
載っています。

 塩ビに関する問題に限らず広く環境問題、健康問題全般に
ついてこの本は、「市民の誤解を解き、常識を持って判断し
ていただく」ための好適な本だと感じました。ご関心の向き
はぜひご一読下さい。
 なお、安井教授の個人的ホームページ
 「市民のための環境学ガイド」は、
  http://plaza13.mbn.or.jp/~yasui_it/
  です。

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☆健康で安全な住宅造りのため、税制や法規制の見直しが急務
 「住環境フォーラム」参加者のアンケート結果から

 8月末国連大学で開かれた、「高齢化社会の住文化の創造へ
向けての住環境フォーラム」については、メルマガ第50号で
感想をお伝えしましたが、このときの出席者によって書かれた
アンケートの集約結果を見る機会を得ました。

 同日の参加者約150人のうち、アンケートに回答した方は
約110人。主要な質問は、

  1.住宅を考える際、最も重視することは何ですか。
  2.最近特に関心の高い工法・構造は何ですか。
  3.住宅の整備を促進する上で、今後最も重要と思われる方
    策は何ですか。
の3問、いずれも複数回答方式でした。

 回答結果を見ると、
  1.については、健康・安全67人、温熱環境59人、
    省エネ47人、耐久性47人の順でした。
  2.については、高齢者配慮住宅43人、外断熱工法41人、
    健康住宅40人がベスト3。
  3.については、税制支援52人、規制見直し47人、
    低コスト化38人の順でした。

 回答された方々は、工務店関係者、設計者、建材関連企業、
建設業、業界団体、官庁関係者などで、やはり建築・建材関係
の方々が多かったようです。
 アンケート結果から推定すると、今後の住宅としては、安全
で健康な住宅、とりわけ、冬暖かく夏涼しい住宅が希望されて
おり、高齢化時代を迎えてお年寄りにも安心して住んでもらえ
る住宅が必要とされているようです。そしてそれを実現するた
めには、住宅にかかる税制の改革や各種法規制の見直し、技術
開発による低価格化が必要とされています。
 確かに戸建住宅の場合は、建築後年数が経つにつれて資産価
値が低減され、転売価格も下がってしまう、したがってリフォ
ームするにも二の足を踏む、といった風潮があり、快適住宅の
実現のネックとなっているようです。

 いずれにせよ、今後の快適住宅の普及に向けて、私たち塩ビ
業界としてもいろいろな施策や提言を打ち出そうと考えていま
す。幸い、塩ビを使った建築部材は、断熱サッシにせよサイデ
ィングにせよ、こういった快適住宅にとって欠かせない部材で
す。今後ともぜひ塩ビ製の建築部材にご理解とご支援をお願い
する次第です。

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☆お知らせ

 ■展示会出展

  新潟 環境フェスティバル
  「エコビジネス展2002 IN 長岡」
    9月27日(金)〜28日(土)
     10:00〜17:00
    ハイブ長岡 大展示ホール

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☆編集後記

  ライオンズ優勝! ジャイアンツ優勝!
 おめでとうございマース。
  伊原監督も原監督も、就任1年目で栄冠獲得、
 よかったですねえ。
  某紙によれば、原監督を記念して、東京の読売
 ランドは向こう一週間、苗字に「原」のつく人は
 入園無料になるとか。こういう試みは粋で好いで
 すねえ。苗字に「原」の字がつくH2も、出かけ
 てみようかしら。
  オヤ?西武遊園地はロハにならないのかしら?
 (H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp