===「塩ビと環境のメールマガジン」第57号 === 2002/10/24

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目 次

☆巻頭コラム
 「有り無しで決め付け」、「異紙同文」
 「マッチだけ・ポンプなし」
   マスメディアへ3つのクレーム

☆お知らせ

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☆巻頭コラム
 「有り無しで決め付け」、「異紙同文」
 「マッチだけ・ポンプなし」
   マスメディアへ3つのクレーム

 最近の新聞やテレビでは、北朝鮮の拉致問題や核開
発問題、企業の不祥事、食の安全問題、企業の不良債
権処理・・・、などなどの記事が大きな活字で踊って
います。マスメディアはこういった社会の動きについ
て、タイムリーで正確な情報をもたらしてくれる、大
変ありがたい、貴重な存在ですが、反面、いろいろな
短所・欠点も目に付きます。独断と偏見で、マスメデ
ィアへ3つクレームをつけてみました。

1.「有り無しで決め付け」
 ドコソコの大気から、ダイオキシンが検出されまし
た、とか、輸入食品から有毒なナニナニの化学物質が
検出されました、とかいった報道が多く見られますが、
なかにはその検出された量が、人や生態系にどの程度
影響を与えるものかを調査せずに、検出されたことイ
コール悪いこと、対策を講じるべしという主張が目立
ちます。
 有毒な化学物質はあるよりもないほうが良いに決ま
っていますが、自然界にすらこの種化学物質は存在す
るのですから、あったというだけで大げさに報道し、
社会の不安を煽ることは良くない、と考えます。あの
おいしそうなイチゴにだって有毒化学物質は多種類含
まれているのですから(本誌第22号参照)。

2.「異紙同文」
 地方紙を含めて全国の新聞のクリッピングをみて気
が付くのですが、全く、もしくは殆んど同文の記事が、
ある日いっせいに地方紙に載ることがよくあります。
 例えば10月8日には、「国内食品の8割から、可
塑剤DEHPが検出された」という、環境省の調査結
果の記事が出ましたが、産経新聞が少し詳しく取り上
げたのを除いて、福島、岐阜、山陰、愛媛、徳島、中
部などの各紙が、殆んど同文で、なおかつ、「含有量
はラットの実験で生殖細胞を変性させる水準の1/1
000以下であり、健康に被害はない」とした環境省
のコメント抜きで、載せていました。
 私見ではこの件は、このコメント抜きで報道するべ
きではないと考えますが、それはともかく、たとえ情
報発信元が一緒だからといっても、まさに「異紙同文」
とも言える書きぶりには、如何なものかと首を傾げた
くなります。

3.「マッチだけ・ポンプなし」
 一時大きく取り上げられた、所沢や能勢の焼却炉か
ら出るダイオキシン問題については、当時新聞やテレ
ビで連日報道され、塩ビがその原因物質であるかのご
とく言い立てられて、一般市民をすっかりその気にさ
せてしまった、と、少なくとも私たちはいまだにひが
んでいます。そして、その結果、塩ビ製品を加工して
いる多くの会社が経営の危機に直面しているのです。
 最近になって、ダイオキシンの人体への蓄積に関す
る所沢市の調査結果が公表されました。5年間に渡る
各種の調査の結果、「成人の体内へのダイオキシンの
蓄積量は、他地域との差も地域内の差もなく、疾患の
既往との関連もなく、バイオマーカー候補との相関も
ない。健康影響の可能性は殆んどない」と結論されて
います。能勢町の調査でも、ここでは焼却炉作業員対
象の調査ですが、ダイオキシンの血中濃度はさすがに
常人の10倍前後でしたが、クロルアクネを含めて人
体への影響は認められなかった、ということです。
 こういった、「真相はこうだった」、「実は調査の
結果、初期の噂は噂に過ぎなかった」、という事実は
初期の噂の何分の一か、何十分の一程度しか、マスメ
ディアは取り上げていません。おかげで、一度初期の
噂を信じ込まされた市民は、いつまでたっても真実に
気づかず、「塩ビ=ダイオキシン」の、誤った図式を
変えられないのです。
 マスメディアにはマスメディアの論理があるのでし
ょうが、私たちから見ると、初期の噂を掻き立ててい
わばマッチの役目は果たすものの、真実が判明した時
のポンプ役を果たしていない、片手落ちの報道に見え
てしまいます。
 マスメディアは、強力な情報提供手段を持ち、社会
の世論形成に重大な役割がありますが、それだけに社
会を正しい方向へ誘導する、重大な責任もあると思い
ます。報道の姿勢には充分留意して欲しいものです。

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☆お知らせ

 ■展示会出展予定

  1.「ぐんま環境フェスティバル」
     10月27日(日)
       群馬県庁 県民広場

  2.ジャパンホームショー 2002
     11月19日(火)〜22日(金)
       10:00〜17:00
         (最終日は16:30まで)
       東京ビッグサイト
       (有明・東京国際展示場) 東3ホール G−1110

     プラスチック・サイディング懇話会にて
     出展しています。

  3.実用化開発助成事業 成果展示会
    (新エネルギー・産業技術総合開発機構)
     11月20日(水)〜22日(金)
       9:30〜17:30
       東京ビッグサイト
       (有明・東京国際展示場) 東5ホール

     (社)プラスチック処理促進協会にて
      展示いたしております。

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☆編集後記

  流行りの中高年向き月刊誌をめくっていた
 ら、「学び」の特集記事がありました。ま、
 年をとっても学びましょう、年寄りの学問は
 「樂問」である、楽しいよ、という趣向の記
 事です。
  鏡のページに、古今東西の名士のセリフが
 列挙してあり、中に次の文言が載っていまし
 た。曰く、「遊びをせんとや生まれけん、戯
 れせんとや生まれけん、(梁塵秘抄)」と。
  H2のように、真面目でもなく、不真面目
 でもなく、自身では懸命に業務にいそしんで
 いるつもりであっても、どこか醒めた目でそ
 の自分を見詰めている(と思っている)者に
 とっては、なんとなくジーンとくるセリフで
 したねえ(と絶句する)。(H2記)

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[塩ビと環境のメールマガジン]

 発   行  塩ビ工業・環境協会
 編集責任者  佐々木 修一

 塩ビ工業・環境協会     https://www.vec.gr.jp
 塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp