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2009年02月05日
「週刊文春」2009年2月12日号
『「エコ批判」武田教授に公開質問状』記事中の事実誤認について

  2月5日に発売された週刊文春の上記の記事において、塩ビに関する著しい事実誤認があります。
 同記事は、ある個人の発言として、「ゴミ焼却については、ダイオキシン類の低減化技術が進んでいますが、だからといって、問題がないとは言い切れません。燃やしているプラスチック類の中に、塩化ビニル類が含まれているからです。」と記載しております。しかし、これまでの科学的な知見により、ダイオキシン生成量は、燃やすものではなく焼却条件に依存すること、そのため、焼却条件を管理することでその発生を著しく抑えることができることが分かっています。焼却施設から発生するダイオキシン量は急速に減少しており、ピークであった1997年に比べて1/30以下の水準となっています。また、空気中のダイオキシン量も環境基準値の1/10以下となっています。一般ゴミの中には、生ゴミや紙くず等として相当量の塩素(食塩、漂白剤などに由来する)が含まれています。また、空気中にも、微量ながらもダイオキシン生成には十分な量の塩分が含まれています。このため、焼却物に塩ビ製品を加えてもダイオキシン生成量はほとんど変わりません。上記発言は、科学的な事実に基づいておらず、あたかも塩化ビニル類があるが故にダイオキシン問題が発生するかのような誤解を与えるものとなっています。
 また、同記事は、軟質塩化ビニルに使われるフタル酸エステル類の可塑剤が環境ホルモンであるとの同氏の発言を紹介し、「塩化ビニルには、生体に異常をもたらす内分泌攪乱物質が含まれていることは、紛れもない事実である。」と言い切っています。しかしながら、内分泌攪乱物質に関しては、環境省が、SPEED’98において徹底した評価を行っており、フタル酸エステル類には内分泌攪乱作用が認められなかったことを確認しています。
 適切な事実確認をせずに週刊文春がこのような記事を掲載したことは誠に遺憾です。
同誌を発行している株式会社文藝春秋に対し厳重に抗議致します。