NO.081
発行年月日:2006/06/01

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トピックス
◇関係者の連携強化により、塩ビ建材リサイクルの更なる推進を
経産省委託3Rシステム可能性調査事業の報告書完成

随想 
「平積み本書評」その3

信越化学工業(株) 宮島正紀

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編集後記

トピックス
◇関係者の連携強化により、塩ビ建材リサイクルの更なる推進を

経産省委託3Rシステム可能性調査事業の報告書完成


 「塩ビは加工範囲が広くて使いやすい、良い樹脂だけど、リサイクルができないから困るんだよね」というセリフを聞くことがあります。
それも、社会的に地位の高い、素材についても広い知識をお持ちの方のセリフだったりします。
 事実は全く反対です。塩ビは数あるプラスチックの中でもリサイクル、とりわけマテリアルリサイクル(MR)に関しては最も進んだ素材です。塩ビ管・継手や農業用塩ビ、電線被覆用塩ビなどを始め各分野でそれぞれ業界挙げてMRに取り組んでおり、これら3業種についてのMR率は40%〜60%、塩ビ全体でも総排出量のほぼ1/4近くに達しているのです。

 「塩ビはリサイクルできないのでは」というコメントにはしかし、全然根拠がない訳ではありません。塩ビが他素材と混じって廃棄された場合、この混合廃棄物を例えば熱回収しようとした時に、塩ビには塩素分が入っているため処理に一手間かかる、という指摘です。
 でもご安心下さい。例えば家庭ゴミなどを焼却する各地方自治体の焼却炉は、焼却時に発生する硫黄酸化物(Sox)と共に中和処理する設備が備わっており、こういった塩素処理に万全を期した設備になっていますし、産業廃棄物の焼却・熱回収設備でも、最近は燃やすものの中に数%程度の塩素分が入っていても何ら問題なく処理できるものが大部分になってきています。
 さらに、発生する塩化水素を有効に利用することも可能な施設もあります。
 こういったことから、塩ビがリサイクルできないという認識は誤っており、塩素分の処理などに一手間かかるケースは皆無ではないけれど、そのことだけで素材としての塩ビを判断することは適切ではない、と私たちは考えています。

調査報告書
 私たちは、さらに塩ビのリサイクルを推進し、社会の皆様により安心して塩ビ製品をお使いいただくべく、いろいろな活動を続けていますが、そのなかの一つに、塩ビ建材のマテリアルリサイクルを一層進めよう、そのための課題発掘と構想作りをしよう、と言う試みがあります。
 塩ビの最大の用途は土木・建築、工場・設備といった分野で、全需要の約7割を占めていますが、この分野で施工するときに端材などになった塩ビ製品をMRするシステムを確立できないか、検討してみようというものです。

 私たちは、塩ビ製建材、特に壁紙、床材、タイルカーペットの施工端材について、それぞれの建材の製造・施工・排出からリサイクルに至る一連の関係者が相互に連携することにより、効率的、効果的、かつ経済的に自立したリサイクルシステムが構築できないかどうか調査し、これを進めるための提言を纏めることとしました。
 この計画は「塩ビ建材施工端材等の効率的な収集・再生利用の可能性調査」というテーマで、経済産業省の「3Rシステム化可能性調査事業」の一環として、私たちVECが委託を受けて進めたものです。
 具体的には岡山大学の田中勝教授を委員長とする「可能性調査委員会」を組織し、それぞれの業種の関係者に委員として参画願って、昨年の7月から調査検討を続けてきました。その結果、壁紙、床材、タイルカーペットなどについて、施工端材の発生・処理処分の実態が明らかになるとともに、経済的に自立したMRを実現するための課題も浮かび上がってきました。

 この調査結果がこのたび報告書としてまとまりました。
 主要な課題としては素材別の分別、関係者間協働・協力体制、収集方法の工夫、全工程での効率的運用、などであるとされた他、リサイクルを後押しする制度面での課題の解決策も検討すべきであるとされました。
 さらに今後への提言として、着実に段階的にリサイクル推進を図るべしとし、第1ステージでは本格施設を活用した基礎的要素の実証と次のステージに向けた提言、第2ステージでは経済的な適用可能範囲の検証と数値目標の検討、第3ステージでは事業成立の見通しと対象範囲の拡大、をそれぞれ目指すこととしています。

 今後私たちは、この調査結果に基づいて、第1ステージの実証に入るべく、引き続き調査検討と実践を進めます。
 マテリアルリサイクルに適した素材の塩ビとはいえ、この調査結果に基づくMRを実現するためには今後多くの課題や困難が待ち構えています。しかし私たちはめげず臆せず、塩ビの本当の良さを社会の皆様に理解いただくべく、努力を続けます。是非、ご理解とご支援をお願い致します。

随想

「平積み本書評」その3               

信越化学工業(株) 宮島正紀


 今回は最新刊の小説を取り上げてみました。「ダヴィンチコード」も初版が出て直ぐ一気に読み上げ、かなり多くの方に推薦しました。自分の推薦本がベストセラーのトップにランク付けされると、心ひそかに自分の鑑識眼を自画自賛し、自己満足しております。
 推薦しても出版社からは一円の報酬も頂いておりませんが、くれると言うのであれば拒むものではありませんこと、念の為申し添えます。

『The Historian 上下2冊』(エリザベス・コストヴァ NHK出版)
 お奨め度:★★★★
 「現代に生きるバンパイア」、「中世ヨーロッパの歴史」、「恋愛」と、ベストセラーに必要な三大要素を豪華に盛り込み、最初からベストセラーの地位とハリウッドでの映画化を狙ったようなアメリカ小説。3つの時代を超えて物語は進みます。
 師の時代−1930年代、師はバンパイアを探して東欧でヘレンの母と出会う。
 父と母の時代−1950年代、失踪した師を探す旅の中でポールはヘレンに出会い、共にブルガリアの修道院でルーマニアでバンパイアに拘禁された師を探し出す。
 そして現代、ポールとヘレンの愛娘は失踪した父親を探してスペインの古き修道院に行き、そこでバンパイアに襲われるが、失踪していた母ヘレンのピストルでバンパイアは永遠の死の眠りに。そこでハッピーエンド。
 500年も隠れ住んだバンパイアが今になって何故自分の存在を露わにするのだろうか?不死のバンパイアがいとも簡単にヒロインのピストルで死にいたるのはあまりにあっけなく、物足りなく思うのは小生のみだろうか?

『Op.ローズダスト 上下2冊』(福井晴敏 文芸春秋社)
 お奨め度:★★★★★
 「終戦のローレライ」、「亡国のイージス」と2本の映画の原作を書いた福井晴敏の最新小説。「亡国のイージス」でも登場した自衛隊の影の組織「ダイス」の隊員数人が、自衛隊に失望して隊を脱退。自衛隊への復讐を胸に北朝鮮の支援を得て日本でテロ活動を開始するが、仲間と一緒に脱退隊員になれなかった主人公が、昔の仲間のテロを阻止しようとスーパーマン並の大活躍。
原爆クラスの威力を持つ爆弾が、お台場のごみ収集用地下トンネルの中で爆発する。このままではお台場は東京湾に沈んでしまう。時間がないぞ!さあ早く!緊迫感が続きます。

 福井小説は豊富な軍事知識を生かした独特の着想で、ぐんぐんと読者を自分の世界に引き摺りこみますが、楽しく読めても、読んでいて疲れるのが唯一の欠点。著者と読者の我慢比べといったところか?

『パズル・パレス 上下2冊』(ダン.ブラウン 角川書店)
 お奨め度:★★
 「ダヴィンチコード」、「天使と悪魔」でキリスト教の歴史を推理小説に仕立て上げ、新たな推理小説のジャンルを築き上げたブラウンの最新作です。最新作でどのような新たな分野を開拓してくれるかとワクワクして上下まとめて買いましたが、なんとこれは著者の習作の処女作。ブラウンが斯様に有名にならなかったら絶対書店に並ぶことともなかったであろう小説です。テーマはコンピューターの暗号システムですが、暇つぶしにどうぞという程度で緻密・良質の本を求める読者にはお勧め出来ません。
 それにしても昨今「ダヴィンチコード」を種本にして売りだされている関連本は、一体何種類あるのでしょうか?

宮島正紀様の書評のバックナンバーは、下記からご覧頂けます。
「こんな本読んだ?」:『平積み』読書
書評 マイクル・クライトン『恐怖の存在』

お知らせ
【NEW】 環境シンポジウム 開催案内

 樹脂サッシ普及促進委員会では、下記のシンポジウムに協賛し、会場にて樹脂サッシの展示を行います。

 住から地球環境を考える
−住まいと環境の共生をめざして−
(なごや環境大学 関連公開講座)

 衣食と共に私たちの命を守る<住まい>。その<住まい>で暮らす私たちの生活が快適で健康的であるばかりでなく、地球環境にも優しいことが求められています。
 人にも環境にも優しい<住まい>作りを学ぶ機会として、環境省地球環境局 総務課長 清水康弘様をお招きして開催致します。

・日時 2006年6月3日(土)
13:00〜16:00
・場所 金山駅前「アスナル・ホール」
名古屋市中区金山1丁目17−1
・定員 300名 入場無料
・主催 名古屋市 社団法人名古屋建設業協会
・後援 環境パートナーシップ・CLUB
社団法人日本技術士会中部支部
中日新聞社
・協賛 樹脂サッシ普及促進委員会

・なごや環境大学のホームページをご覧下さい。
(お申し込みもこちらからになります。)
http://www.n-kd.jp/modules/piCal/index.php?action=View&event_id=0000002595

住宅リフォームフェア 出展案内

 樹脂サッシ普及促進委員会では、リフォームに関心のある方々と、リフォーム会社や工務店、建材・設備メーカーとの出会いの場となる、「住宅リフォームフェア」に出展致します。どちらの会場も入場無料です。

[埼玉会場] 
 ・日 時:2006年6月3日(土)〜4日(日)
       10:00〜17:00
 ・場 所:埼玉スーパーアリーナ
       さいたま市中央区新都心8
 ・主 催:(株)リフォーム産業新聞社

[長野会場]
 ・日 時:2006年6月10日(土)〜11日(日)
       10:00〜17:00
 ・場 所:エムウエーブ
       長野県北長池195
 ・主 催:(株)リフォーム産業新聞社
 ・共 催:信濃毎日新聞社

 ・住宅リフォームフェアのホームページをご覧下さい。
http://www.the-reform.co.jp/fair.html
編集後記
 プロ野球はセパ交流戦たけなわです。たまに新幹線に乗っていて、昨日のプロ野球結果などが電光掲示板に出てくるのを見るともなく見ていると、ロ3−2中、なんて出てきて、あれ、また世界戦やってるのかな?と勘違いしたりします。
 そういえば球団の名前を一文字表示すると、セリーグは巨、阪、中、ヤ、広、横、パリーグはロ、ソ、西、日、オ、楽、ですよね。組み合わせによっては、日中戦、日ロ戦、昔風の日ソ戦などが楽しめる(?)。もっといえば日オ(オランダ)戦、日西(スペイン)戦も。
 そういう意味では日本がんばれ、というのがそのまま日本ハムがんばれ、とならないのがまた面白いよね。

 なんてくだらない話はさておき。この度、5月30日を以って、この「塩ビと環境のメールマガジン(EKMM)」の編集責任者が、原田浩事務局長から、後任の東幸次事務局長に変更になりました。永年原田に戴いたご支援とご協力に感謝するとともに、東にも倍旧のご協力をお願い致します。

 ただし、この編集後記に長らく携わってきたH2は、当面の間、この業務を継続致します。「なんだ、変わらないのか」なんて苦情をいわずに、もう少しお付き合いください。ネ。(H2記)

先週の編集後記についての読者からのお便り・・・[編集後記後]

私も以前、宝くじを買っていたことがあります。1度だけ3,000円が当たりました。大喜びで引き換えに行き、売り場の女性に当たり券を手渡しながら「この売り場で買ったんですよ!」と満面の笑みで声を掛けたのですが、その女性にとって3,000円当選は日常茶飯事だったようで、反応が薄く、私も「しまった」という顔をしてしまった為、少し気まずい空気が流れました。それでも、新たに買った宝くじを渡しながら、「また当たると良いですね。」と言ってくれて、希望が回復したことがありました。…(その後の当選結果は…?様)

先週の編集後記をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.vec.gr.jp/mag/080/index.html#kouki

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  東 幸次

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