NO.094
発行年月日:2006/09/07

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トピックス
◇業務用のラップフィルムは、やっぱり塩ビ
デパチカや大手スーパーなどで塩ビラップ見直しの機運

随想 
考えることを考える(4):終わりに
某技術センター職員 遠藤勲
お知らせ
【NEW】街と住まいづくり博 NAGANO 出展&セミナー開催報告
【NEW】勝ち組み工務店育成セミナー in米子のご案内
住宅・生活誌「家と人。」セミナー in会津若松のご案内

編集後記

トピックス
◇業務用のラップフィルムは、やっぱり塩ビ

デパチカや大手スーパーなどで塩ビラップ見直しの機運


 数年前、ダイオキシン問題や環境ホルモン問題などで塩ビバッシングが燃え盛っていた時、私たち塩ビ業界関係者は、コンビニやスーパーなどに買い物に行く度に不愉快な思いをしました。当時、これら業界では、塩ビに対する忌避感から、例えば塩ビラップなどの使用停止に踏み切るところが多く、その事実を、消費者の目に付きやすい所、例えば野菜や肉・魚など生鮮食料品売場に張り出し、「環境に優しいわが企業」のセールスポイントとして使っていたものです。

 しかし、もう皆様とっくにご存知のとおり、燃焼時のダイオキシンの発生には燃やすものの要因よりも、燃やす条件によるところが圧倒的に大きいことが事実として判明し、現実に全国の焼却炉が整備された結果、日本におけるダイオキシン発生量は数年前に比べて1/30とか1/50にまで激減したことも明らかになりました。
 また、いわゆる環境ホルモン問題についても、ヒトに対する影響は懸念するに及ばないことが明白になってきました。

昔はこんな掲示が多かった
 そういった数々の事実を受けて、一時は塩ビ製品のバッシングに動いた企業も、もはや塩ビについての偏見もなくなり、最適な素材を最適な分野で使用するという形に変わってきた・・・と私たちは判断するに至りました。
 だからきっと、スーパーやコンビニ、デパチカなどの食料品売り場でも、いまや塩ビバッシングの掲示もなくなっているにちがいない。では一度、その状況をこの目で確かめてみよう。

 というわけで8月の後半のある日、都内各地を歩き回ってこれら食料品売り場を探訪しました。回ったところはデパート地下の食料品売り場7ヶ所、コンビニ・スーパーの大手7社、合わせて14社です。
 その結果は?・・・各社それぞれに、環境宣言書を掲示してあったり、食品用トレイの回収促進、ポリ袋の有料化、割り箸のサービス制限などを謳っていましたが、私たちにとって嬉しいことに、塩ビバッシングの張り紙をしているところは皆無でした。

 となると、一時は使用量が減少した、塩ビのラップフィルムも、きっと見直されて、復活しているに違いない。
 塩ビラップは、他素材に比べて、透明度が高く、ガス遮断性に優れている上、より柔らかくしなやかで密着性がよいのです。したがって塩ビのラップフィルムは、食品等の手作業による梱包はもとより、高速包装機で食品を梱包する場合にも扱いやすく適性があります。
 さらに昨今の石油価格の異常上昇のもとでは、他のプラスチックに比べて石油依存度が格段に低い塩ビ製品は価格的にも有利になっているはずです。

 こういったことを考え合わせると、ダイオキシン問題や環境ホルモン問題といった「風評」に惑わされて塩ビラップを忌避するのではなく、必要な性能や品質や価格など(にもちろん環境問題も加味して)を総合的に判断して最適な素材を選択することが大切であり、結果としてはやはり業務用のラップフィルムとしては塩ビラップがベストなのではないでしょうか、ねえ。

 ただし、ちょっと気になるのは、今回探訪した14社以外では、少数派とは思いますがいまだに塩ビラップは使わないと宣言し続けているところもあるのではないかな、ということ。もしもまだ残っているとしたら、その企業にも是非この際、塩ビの正確な情報に基づいてもう一度方針を考え直してもらいたいものです。

随想
考えることを考える(4):終わりに
某技術センター職員 遠藤勲

この拙論では、第1に科学と技術・工学の違いを述べた。第2に科学者の思考過程を、第3に技術者のそれを解説した。そして、科学者の思考には「仮説」設定が如何に重要であるかを、また、技術者にとっては、「設計」と「総合化」が思考の中核であることを指摘した。

 はじめに戻り、科学と技術とは異なる学問であるにも係わらず、互いに相補的な関係を保ちながら発展してきたことも述べた。「何故相補的なのか」という問に対して、R.I.フォーブスの言葉を引用したい。彼は「技術の歴史」の中で、次のように表明している。「自然の事実を縦糸とし、人間の想像力と発明力とを横糸にして物質文明というタピストリーが作られてきた」。これ以上科学と技術との関係を明確に表明している言葉は見あたらない。

 もう一点、筆者は「セレンディピティ」という言葉も本文中に使用した。この言葉の意味を説明するためにある寓話を紹介して拙論を締めくくることにする。
 筆者が理化学研究所で研究を始めた頃、尊敬していたある主任研究員から「セレンディピティ」という言葉の意味を伝えるある寓話を教わった。大分昔の話なので正確ではないかも知れないが、筆者の空想を交えてお伝えしよう。

 むかしむかしセイロンという国に3人の王子がいたそうだ。一番年上の王子は、子供の時から聡明で、長じて古今東西の書を読み、地理に明るく、およそ知らないことはなかったほど博覧強記な人であったそうだ。次男の王子は、兄ほど知識はなかったが、普通の人には考えもつかない、全く独創的なアイデイアを考えることが出来たそうだ。末弟の王子は、二人の兄たちほど知識も独創的な考えもなかったが、非常に器用な人で、この王子が作れない物はなかったそうだ。

 ある時、三人の王子は、「世界で初めての、後世まで残る発見をしようじゃないか」と話し合った。長兄は早速文献を漁り、「何が」、「何処にあるか」を調べはじめた。そして、お隣のインドに面白そうな物がありそうだということをつきとめた。ところがどういう手段でどのようにその物を見つけたらば良いか分からなかった。次兄は、発見するための手段、道具を苦心して考えた。しかし、それは、世界中を捜しても見つからないし、買うこともできない道具であった。結局三番目の王子がその道具を作ることになった。

 2番目の王子が考えた道具とは、先ず第一に次のような特殊な双眼鏡であった。一方の側から覗くと望遠鏡となり、反対方向から覗くと顕微鏡となる、そういった双眼鏡であった。第二に珍しい刀も考案した。それは、両刃の刀で、片方の刃は、どんな大きさの物でもどんな固い物でも切れない物はなく、またもう一方の刃は、どんな難しく込み入った論理もたちどころに解き明かせる、そういった刀であった。

 末弟の王子が、次兄の注文通りの道具を作ったことは言うまでもない。以上のような準備を行い、三人の王子は、勇躍インドへ渡った。特殊な刀を使って、道なき道を切り拓き、険しい山、濁流の河を渡って、エベレストという世界一高いと言われていた山の中腹までたどり着くことが出来た。そこで今度は、望遠鏡を使って遠くを見渡すと渦巻きのような紋をもった石が遠くにあることが分かった。近くによって顕微鏡でつぶさに検査すると、まさしく、これまで見たことがない大きな巻き貝の化石であった。すぐさま長兄は、太古の時代に海に生息していた「アンモナイト」という生物の化石であることをつきとめた。「アンモナイト」を世界一高い山で発見したことは、世界で初めてなので、三人の王子達は手を取り合って喜んだ。

 しかし、2番目の王子は、この発見だけでは十分満足しなかった。「なぜ古代海底で生息していたアンモナイトの化石がエベレストのような高い山の上で見つかったのか」の理由が分からなかったからである。論理の刃を縦横無尽に振り回して考えた結果、インドは大昔は島であったが、これが大きなユーラシア大陸とぶつかった結果、土地が高く隆起し、海底に住んでいた生物が山に残されてしまったからではないか。つまり地球の大陸は、大昔から固定しているのではなく、漂移しているのではないかという仮説を提案した。

 三人の王子達は、太古の昔海底に住んでいた化石を発見したばかりか、大陸移動説という仮説まで初めて導くことができたのである。この仮説は、その後数百年を経て、多くの地球物理学者によって実証され、プレートテクトニクス理論となった。めでたし、めでたし。

 とまあ、大陸移動説まで持ち出して「セレンディピティ」を説明したが、本当の話は、決して三人の王子様の功績ではない。A.L.ウエーゲナーというドイツの科学者の功績であり、物語を面白くするために筆者が勝手に書いたフィクションである。
 ただし、筆者がここで言いたかったのは、「セレンディピティ」という言葉の意味は安い辞書に載っている「掘り出し上手」という意味ではなく、また「用意周到な者だけに訪れる幸運」と簡単に言い切れることでもない。すでに本文中で述べたが、小柴博士のように世界で初めての発見をするためには、市販されている道具ではできない。世界で一つしかない装置を作ることからはじめなければならない、そのためには浜松ホトニクス社のような優れた技術者、物語では末弟の王子、の支援が絶対必要である。つまり、科学者と技術者が密接に協力しあうことによって、初めて達成されるのであることを筆者は最後に強調して、この拙論を締めたい。(終わり)

前回の「考えることを考える」はこちらからご覧頂けます。
☆ 考えることを考える(3):技術者の思考過程

お知らせ
【NEW】 街と住まいづくり博 NAGANO 出展&セミナー開催報告

セミナー風景
展示風景
 8/26(土)〜27(日)の2日間、長野エムウェーブにおいて、新建新聞社(株)主催で、『街と住まいづくり博』の展示会とセミナ−が開催されました。
 塩ビ工業・環境協会、樹脂サッシ普及促進委員会、樹脂サイディング普及促進委員会は共同でこの催しに参加し、展示会に出展するとともに、8/27午後からの「勝ち組み工務店育成セミナ−&健康と省エネを考えた住まいづくり」をテ−マにしたセミナ−に協賛しました。
 セミナ−では樹脂サッシ普及促進委員会の市村委員長の挨拶に始まり、続いて親和創建の大滝典子様より「内緒の建楽会なのに集客が多いのは、なぜ?」と題して基調講演をして頂きました。内容は集客を多くするための気配り・サポートの充実の紹介や、リフォ−ムの具体例の紹介などでした。参加者は皆さん熱心に聞いておられ、なかにはメモを取られる方もいました。次に、(株)カネカの青井郁夫氏が「サッシを選ぶと暮らしが変わる」と題して、また、建材コンサルタントの中村扶氏が「長寿命・省資源・簡単メンテナンス〜樹脂サイディングの魅力〜」と題して、それぞれ講演されました。
 展示会においても2日間、塩ビサッシの効果が体感できる結露BOX、遮音BOXを始め、実際に塩ビサッシの内窓・外窓を取付けたサンプル、さらに塩ビサイディングのカットサンプルやタペストリ−などの展示を行いました。
 我々のブ−スには約150名近くの人がご来場されました。長野は寒さが厳しいので、防露性能や耐久性能の優れた塩ビ建材(塩ビサッシ・サイディング)に対する関心の高さが感じられました。
(樹脂サッシ普及促進委員会 事務局長 浅田健二)

【NEW】 勝ち組み工務店育成セミナー in米子のご案内

  樹脂サイディング普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し、樹脂サイディングの紹介を行うとともに、樹脂サイディングを使用した住宅の見学会も行う予定です。

・日 時:2006年9月29日(金)
     13:00〜17:30(受付開始 12:30)
・場 所:米子市文化ホール
     鳥取県米子市末広町293
・主 催:住まいづくり研究会
・後 援:(社)鳥取県建築士会【CPD制度認定講習】
・参加費:無料
・参加申込み締切り:9月25日(月)
       (定員130名になり次第、締切らせて頂きます。)

  ※参加希望の方は下記までお問合わせ下さい
    住まいづくり研究会
    電 話:092(871)2409

住宅・生活誌「家と人。」セミナー in会津若松のご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し、樹脂サイディングの紹介を行うとともに、樹脂サイディングの施工実演も行う予定です。

 「暮らしも、地球も、納得の家づくり」

・日 時:2006年9月19日(火)
        13:15〜 (12:45開場)
・場 所:ウェルサンピア会津
      会津若松市神指町北四合字東神指77−1
・主 催:住宅・生活誌「家と人。」
     (有限会社リヴァ−プレス社)
・参加費:無料
・参加申込み締切り:9月11日(月)
         (定員60名になり次第、締切らせて頂きます。)

※参加希望の方は下記までお問合わせ下さい。

 有限会社リヴァープレス社
   電話:019(664)0830

編集後記
 つい先日、友人から、飲み会の時に撮った写真をもらいました。皆元気そうだなあとか、俺も老けた顔をしてるな、とか心の中で呟いて、写真を机の引出しにしまいこみました。
 さてこの写真という代物、その都度キチンと整理してアルバムにでも貼り付ければいいのですが、不精もののH2はせいぜい引き出しに貯めておくだけ。この前、引出しを整理してぞっとしました。無慮数百枚の写真が貯まっていたのです。
 まあ、整理すればいいのでしょうが、いつの写真か分からず、整理の順番も分からない、かといって棄てるには忍びない。さいわい最近少し暇になったから、いっちょう写真の整理でもするか。と考えてはいるのですが、写真の整理にとりかかる心の整理がまだついていません。どなたか、簡単に写真の整理をする法って教えてくれませんかね。

 そこで例によって駄句。「貯めるなら、写真でなくて万円札」(H2記)

先週の編集後記についての読者からのお便り・・・[編集後記後]

 9月に入り、朝晩は涼しくなりました。良くしたもので、きちんと季節は巡っていきますね。これからも環境が守られ、季節の移り変わりが感じられると良いですね。
 ところで、いつもながらH2さんのアウトドア派ぶりには感服致します。私も、随分昔ですが、高尾山に行ったことがあります。仲間の1人がたいそうな重装備をして来たので、からかいながら楽しく歩いたのを思い出します。それ以来ご無沙汰していますが…。H2さん、先日は『乗鞍岳の濡れ鼠』との事ですが、山の天気は変わりやすいので(充分ご存知でしょうが)、どうぞお気をつけてお楽しみ下さい。…(山は眺めるもの様)


先週の編集後記をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.vec.gr.jp/mag/093/index.html#kouki

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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