NO.093
発行年月日:2006/08/31

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トピックス
◇窓枠を塩ビサッシに替えて、住宅1戸あたり年間1トンのCOを削減しよう!
小学校高学年向け教材「緑の化学グリーンケミストリー」で塩ビサッシを紹介

随想 
「平積み本書評」その4

信越化学工業(株) 宮島正紀

お知らせ
【NEW】VEC HPに「塩ビニュースレター」Vol.2を掲載しました。
住宅・生活誌「家と人。」セミナー in会津若松のご案内

編集後記

トピックス
◇窓枠を塩ビサッシに替えて、住宅1戸あたり年間1トンのCOを削減しよう!

小学校高学年向け教材「緑の化学グリーンケミストリー」で塩ビサッシを紹介


 資源有限時代を迎えた現代の我々にとって、ライフスタイルをそれなりに変えていく必要があります。そのためにいろいろやらねばならぬことがありますが、その中の重要なアイテムとして、次世代を背負う子供たちに対する教育があります。

 私たち塩ビ業界にとっては、そういった、「資源有限時代」とか「環境に優しい」とか「LOHAS的生活」とかいうキーワードに加えて、「塩ビの情報を正確に伝えたい」というニーズもあって、従来から子供たち、というか児童や生徒、学生たちに対する情報提供活動をそれなりに進めてきています。

塩ビサッシを紹介した
小学生向けテキスト
 そういった活動の一端として、経済広報センターなどが最新環境教育研究会と協力して進めている、地球温暖化防止に関する教育活動に、日本化学工業協会の一員として参画していることは以前にもお知らせしました(EKMM3−78号、お読みになりたい方はこちらからどうぞ)。
https://www.vec.gr.jp/mag/078/index.html#topics
 この活動は、TOSS(Teacher’s Organization of Skill Sharing:代表 向山洋一氏)という、小・中学校の先生等が運営している団体が中心となって、地球温暖化防止に関する教育をどのようにうまく進めるかを研究しているものですが、その研究の成果として「最新環境教育(CO等)授業テキスト」と名付けた13冊の教育教材を作成し、全国の先生方に授業で使ってもらっています。
 この13冊というのは、製紙、石油、自動車、鉄鋼、電力、化学、ガス、電機、セメントなどの産業部門ごとに、地球温暖化に努力している状況を纏めたもので、日本の技術が世界の温暖化防止に大きく貢献していることを理解してもらおうというものです。

 この13冊のうちの1冊、テキスト番号009のものが化学業界の部で、「地球温暖化の問題を考えよう『緑の化学グリーンケミストリー』」と題した、B5版8ページの教材です。
 この内容が今年の7月に一部改定されました。COを減らす化学技術として、新しく「塩ビサッシ・複層ガラス」が取り上げられたのです。住宅やビルの温暖化対策としてこの技術が極めて有効であること、普通の住宅で窓枠をこの「塩ビサッシ・複層ガラス」システムに替えると1戸あたり年間ほぼ1トンのCO排出削減につながること、もしも日本全国の住宅(1戸建約2,700万戸、集合住宅約2,100万戸)が全てこのシステムになれば約3,500万トンのCO削減となり、京都議定書で日本が約束したCO削減量のほぼ1/5が達成されてしまう計算になることなどが説明されています。

 このシリーズのテキストは昨年、全国各地の小・中学校で教材として使用され、授業を受けた児童・生徒から1,000通を超える感想文が研究会宛に寄せられたそうです。今年も授業に使われるということですが、私たちが協力して載せていただいた「塩ビサッシ・複層ガラス」について、どのような反響が返ってくるか、今から楽しみです。

 石油を始めとする資源の枯渇が避けられないことが明確になってきた今日、人類が文化を育みつつ生存と成長を続けるためには、従来とは異なる価値観に立った、新しいライフスタイルを考えだすことが不可欠です。そのトライは、私たちというよりはむしろ今の小・中学生に、あるいはもっともっと後の世代に託されているのかも知れません。
 私たちにできることの一つは、彼らにきちんと状況を判断してもらえる教育をすること。そのためには私たち塩ビ業界はもとより、産業界も挙げて努力する必要があると考えるのです。

随想

「平積み本書評」その4

信越化学工業(株) 宮島正紀


 今回は「聖書」を取り上げます。「ダ・ビンチ・コード」が上映されてから、古代キリスト教に関する本が多く出版されています。私も「宗教としてのキリスト教」ではなく、「歴史としてのキリスト教」には非常に興味も持っております。「ダ・ビンチ・コード」は「義経ジンギスカン説」のような伝奇小説の類と理解していますが、今日紹介する本はどれもこの分野の大学教授が難しい内容を分かり易く書いていますので、特にヨーロッパの歴史好きな、塩野七生ファンの方にはお奨めです。(今回は本の格付けはしません)

『原典 ユダの福音書』(日経ナショナルジオグラフィック社)

 本書の前に「ユダの福音書を追え」(ハーバード・クロスニー著)を読みました。1970年代にナイル川中流のエジプトで、パピルスに書かれた古文書が発掘されました。この1600年前の写本は、古文書としての必要な保存処置がなされぬまま骨董商の間を転々とし、紙の劣化が進みました。2001年に古代コプト語学者による解読が始まり、この古文書はなんと既に失われたと思われていた「ユダの福音書」でした。「福音書を追え」はこの間の経過を伝えています。

 このたび「原典 ユダの福音書」が 解説と共に発刊されました。解説によると、正統キリスト教聖書では、ユダは金のためにイエスを裏切り、その罰として非業の最期を迎えたと記述されていますが、本書でユダはイエスの指示によりイエスを密告したと語られています。このユダに対する全く異なる評価は何処より生じたのか?この背景は面白い。
 ユダはある思想一派に属し、その考えでは、この世界は完全な神により作られた完全な世界ではなく、下級の神により作られた不完全なものであり(だから災害、飢饉、伝染病、貧困などがある)、この物質世界の肉体より逃れ「天の大国」に帰ることが救済であるという考えです。イエスとユダのみがこの思想を共有していたから、ユダはイエスの求めに応じてイエスの「天の家」への帰還を助けたと書いています。通説とは全く異なるストーリーです。

 正統キリスト教はユダの裏切りを非難していますが、ユダの密告がなければ、イエスの磔刑はなかったであろうし、磔刑がなければイエスの復活もない。復活がなければ、人は罪から未だ救われない。とすれば、ユダは正統キリスト教の恩人ではなかったかという指摘。そのような指摘は「目からうろこ」ですね。

『捏造された聖書』(バート・アーマン著 柏書房)

 著者はNorth Carolina大学宗教学部長で、「本当の神の言葉とは何であったのか」という疑問から、聖書学者になったとあります。
 キリスト教は元になったユダヤ教の系譜を引き、「書物指向の宗教」としての特色を持つと著者は指摘します。「他の全ての宗教とは違って、彼らは聖なる権威を聖なる書物に置いていた」と。
 古代において、聖書も使徒達の書簡も教徒の集まりで朗読されてきました。しかし、印刷もない当時、聖書は筆写され複製され続けてきたわけです。その過程で書き誤りも多くあったでしょうが、それ以上に自らの理解するキリスト像にあわせ聖書が意図的に改竄されてきたことを著者は指摘します(著者曰く、筆写した書記は「自分が受け継いだ伝承を自分自身の言葉で語り、・・・テキストを改変した」)。 ですから、聖書の写本もひとつとして同じものがないくらいになってしまった訳です。

 例を挙げたほうが分かりやすいかもしれません。皮膚病の男が病気を治して欲しいとイエスに言った時、イエスは「怒って」手を差し伸べたという写本も、「憐れんで」手を差し伸べたという写本も、共に存在しますが、どちらが真実のイエスであったか?著者はもろもろの理由から前者のほうが正しく、後者は改変であると結論付けています。後者では憐れみ深い神というイメージですが、前者ではイエスの能力と権威を疑った者に対する怒りとなります。
 確かに、現在発行されている聖書にしても、最も古い「マルタによる福音書」の中のイエスと「ルカによる福音書」の中のイエスとでは、別人のように見えます。

『イエスの王朝』(ジェイムス・テイバー ソフトバンククリエイテブ社)

 著者は考古学者でNorth Carolina大学宗教学研究所の所長です。
 著者は考古学の立場より「歴史上の実在者としてのイエス」を読者に示そうとしております。
 ポイントを要約すると
イエスはダビデ王家の系統を引く名家の末裔であった。
イエスの後継者はイエスの指名によりイエスの弟であるヤコブとされた。(イエスには4人の弟と2人の妹がいた。)
イエスの死後、原始キリスト教は、ヤコブの系統とパウロの系統に分かれます。パウロはイエスに直接会ったことはないが、イエスのインスピレーションにより教えを受けたと言い、自らを13番目の使徒と自称します。その思想はユダヤ教の戒律を重んじる原始キリスト教(イエス−ヤコブの系統)とは大いに異なるものでした。パウロの思想は今日受け入れられている正統キリスト教の考え方で、聖書もパウロの思想に基づき編集され今日に至っています。パウロの思想とは異なる原始キリスト教は、異端としてキリスト教史より抹殺されました。

 キリスト教の発展史は、ユダヤ人迫害史になった背景が良く分かります。

 前回の「平積み本書評」は、下記からご覧頂けます。
 ☆ 「平積み本書評」その3

お知らせ
【NEW】 VEC HPに「塩ビニュースレター」Vol.2を掲載しました。

 塩ビ工業・環境協会では、新聞、テレビなどマスメディアの方々を対象に塩ビに対する理解促進を目的として、「塩ビニュースレター」を発行しております。
 6月27日に発行したVol.2をホームページ上にPDFファイルで掲載致しました。
 記事の一部をご紹介致します。

○塩ビのできるまで(原料、製造法)
○塩ビ製品の特長(バッグ:丈夫で長持ち ・ 床材:装飾性が高い 他)
○エッ!?これも塩ビ(食品サンプル・かつら)
○環境ホルモンは冤罪

全文は、こちらからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/news_letter/index.html

 VEC HP「トピックス」に「塩ビニュースレター」Vol.2発行の記事を掲載しております。(7月19日付)
こちらからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/topics/index.html


住宅・生活誌「家と人。」セミナー in会津若松のご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し、樹脂サイディングの紹介を行うとともに、樹脂サイディングの施工実演も行う予定です。

 「暮らしも、地球も、納得の家づくり」

・日 時:2006年9月19日(火)
        13:15〜 (12:45開場)
・場 所:ウェルサンピア会津
      会津若松市神指町北四合字東神指77−1
・主 催:住宅・生活誌「家と人。」
     (有限会社リヴァ−プレス社)
・参加費:無料
・参加申込み締切り:9月11日(月)
         (定員60名になり次第、締切らせて頂きます。)

※参加希望の方は下記までお問合わせ下さい。

 有限会社リヴァープレス社
   電話:019(664)0830

編集後記

 8月も今日で終わり。少しは涼しくなりますかねえ。
 この8月、H2は山歩きにいそしみました。暑い都会を抜け出して、高山に涼を求めた・・・なんていうとかっこいいですがね。近所の高尾山を手始めに、乗鞍畳平、大菩薩峠、櫛形山と計4回、おかげでいろいろと花の名前を覚えました。
 すごかったのは8月7日、乗鞍での天候の急変。晴天のつもりが一天にわかにかきくもり、小豆大の雹が降り出し雷鳴とどろき、やがて雹は雨に変わって大豪雨に。吹き曝しの稜線を歩いていたので逃げ場もなく、下着や靴下までびしょびしょになりました。期待していたお花畑なぞ見ることもかなわず。ああ、怖かった。
 というわけで、駄句一句。へたくそだけど実感こもって・・・ない?
 「ハナの日の、乗鞍山の濡れ鼠」。おそまつ。(H2記)


先週の編集後記についての読者からのお便り・・・[編集後記後]

8月24日付の編集後記、いつもながら楽しく読ませていただきました。冥王星にとってはとんだトバッチリでしょうが、それにしても世の中で結構な話題になりましたね。そもそも冥王星が惑星かどうかなんて、人間様の都合で決められた定義の問題ですよね。惑星であろうとなかろうと、冥王星は我が地球なんかとはずいぶん違った軌道を、気が遠くなるような長い周期で太陽の周りを回っている、という事実はちっとも変わらないのに。「科学って多数決で決めるの」という論評も出ていたようですが、そういえば、かつてダイオキシンの発がん性も僅差の多数決で決まったことを思い出しました。冥王星には冥惑な、いや迷惑な話かも知れません。そこで、H2さんに倣って、「スイキンチカモク、ドーシテカナー」…(迷惑星様)


先週の編集後記をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.vec.gr.jp/mag/092/index.html#kouki

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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