NO.106
発行年月日:2006/11/30

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トピックス
◇正確な情報の開示と、それに基づく真摯かつ本音の議論が大切
釧路での「化学物質の環境リスクに関する国際シンポジウム」から

随想 
古代ヤマトの遠景(13)—【建王物語】—
信越化学工業(株) 木下清隆
お知らせ
【NEW】四国地方の気象対応住宅セミナー In 松山のご案内
日経住まいのリフォーム博 2006 出展&
第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」開催案内
【終了報告】住宅リフォームフェア[千葉会場]
【終了報告】これからの快適な住まい作りセミナー・長野セミナー

編集後記

トピックス
◇正確な情報の開示と、それに基づく真摯かつ本音の議論が大切

釧路での「化学物質の環境リスクに関する国際シンポジウム」から

 20世紀末から21世紀初頭にかけて、社会を騒がせた「環境ホルモン」。「環境中に放出されたある種の化学物質には生体の内分泌機能を阻害するものがあり、ヒトにも深刻な障害を及ぼす可能性がある」ということで一時は大きな社会問題になりました。
 特に、環境省がこれに対応して1998年に「環境ホルモン戦略計画SPEED’98」なる政策を打ち出し、その中で環境ホルモン性が「疑わしいとされる」67物質をリストアップして公表したこともあって、騒ぎがますます大きくなり、たまたまリストアップされた塩ビの可塑剤の一部などは社会からあらぬバッシングを受ける結果となりました。
 その後、調査研究が進んだ結果、環境省は2004年にこれらリストアップされた化学物質の評価結果を取りまとめましたが、塩ビの可塑剤をも含めて殆んどの物質については、いわゆる環境ホルモン性は明確に否定されるに至りました。

釧路市観光国際交流センター
パネルディスカッション風景
 環境省はSPEED’98発足以来毎年、この問題に関する国際シンポジウムを開催して、調査研究の進捗状況や関連する国内外の情報を社会に提供するとともに、関係者相互の意思疎通を図ってきました。今年のシンポジウムは環境ホルモン問題に加え、小児等の環境保健問題も合わせて取り上げ、「化学物質の環境リスクに関する国際シンポジウム」として11月12日〜14日まで、北海道釧路市の観光国際交流センターで開かれました。
 これは、SPEED’98計画を引き継いだ「ExTEND2005計画」の一環としての、化学物質に関するコミュニケーションの場でもあるとされ、数年前までの「問題提起議論型」から「情報提供コミュニケーション型」へと、会議の運営方式も、会場の空気も大きく変化したことが感じられました。

 特に、12日の開会直後に約400名が出席して開かれた、「化学物質とどう付き合っていくか」と題されたパネルディスカッションでは、産官学の専門家のディスカッションとそれに対する消費者代表からのコメントがあり、一般市民にも分かり易い形での議論がされました。議論の結果として、この世に「リスクゼロ」とか「絶対安全」という概念はないこと、したがって化学物質についても「自分に合ったリスク判断」が求められること、特に行政や企業には「タイムリーかつ正確な情報開示」が大切であること、などが指摘されました。全体として、関係者がお互い本音で喋れる雰囲気が出来てきたことが印象に残りました。

 一日おいて14日の午前中には「化学物質のリスクをどう理解するか」と題されたセッションがあり、化学産業界が進めているリスク評価やリスクコミュニケーションの実態が紹介されるとともに、マスメディアのあり方や市民活動の進め方、リスク評価の定量化と共有化の必要性などが述べられました。ここでも、産業界の活動に対して感情的ではなく客観的に評価する姿勢が感じられ、望ましい雰囲気でした。

 リスクの大きい、深刻な問題については社会としてもいち早く対応すべきであることは論を待ちませんが、いたずらに問題提起に走り、結果として社会の進むべき方向を誤らせることになっては困ります。環境ホルモン問題についても一時、そのような「暴走」傾向が見られましたが、最近はやっと公平な動きに立ち戻った感があります。喜ばしいことです。

 というわけで、この国際会議では、塩ビに関する話題は殆んど出てきませんでしたが、ただ一つだけありました。それは、出席者が全員胸につける名札。透明のプラスチック製ですが、これが塩ビ製でした。よかった、よかった。国際会議でも貢献する塩ビ・・・なんちゃって。

「化学物質の環境リスクに関する国際シンポジウム」のご案内はこちらからご覧頂けます。
http://www.congre.co.jp/ed06/

環境省の「環境ホルモン」関係の資料は以下からご覧頂けます。
 ・環境ホルモン戦略計画−SPEED’98−取組の成果(PDF)
http://www.env.go.jp/chemi/end/speed98/pamph.pdf
 ・内分泌撹乱作用に関する環境省の今後の対応方針について−ExTEND2005−
http://www.env.go.jp/chemi/end/extend2005/index.html

随想
古代ヤマトの遠景(13)—【建王物語】—
信越化学工業(株) 木下清隆

 今回は斉明天皇がなぜ出雲の熊野大社を新築させたのか、という前回の宿題について検討することにする。

 斉明天皇四年五月条に、天皇の孫の建王(たけるのみこ)が亡くなった。中大兄皇子(天智天皇)の皇子である。
 生来、口が利けなかった孫の死に斉明女帝は慟哭する。そして、自分が死んだ後は必ずこの建王と合葬するようにと命じた。口の利けない孫を女帝がどれほど不憫に思っていたか、想像にあまりある。恐らく悲嘆に暮れた日々が続いたに違いない。なぜ建王はそうなったのか、悲しみの中で彼女は自問し続けたに違いない。そして、たどり着いた結論が熊野大神の祟りだったのではなかろうか。
 その理由は、この翌年に熊野大社の修厳が命ぜられているからである。なぜ、熊野大神なのか。それは熊野大神が皇室にとっての守護神、或いは皇祖神だったからに違いない。
 ところが守護神は一般に特定地域がその守備範囲であり、ある場所の神社に坐(ま)す神が、全国をカバーすることはない。例えば大和の大三輪神社は大和一帯の守護神ではあっても、全国区の守護神ではない。地方の人々にとって三輪山の神など知る由もないからである。
 このように考えると、熊野大神は皇室にとっての皇祖神のはずだと結論されることになる。このような推論から熊野大神を皇祖神と位置づけると、なぜ出雲の神が皇祖神なのかという大きな疑問が湧いてくる。当然この謎解きに深入りしたいところであるが、ここでは、とりあえず出雲と皇室とが関係がありそうだ、との結論だけにしておきたい。

熊野大社
 建王の一件は熊野大神の祟りだとしたが、実は、記紀の別の場所でこのことが明確に語られている。その場所は古事記の垂仁記である。本牟智和気王(ほむちわけのみこ)は生まれつき口が利けず天皇は心配していたが、或る夜、熊野大神が夢枕に出て「我が宮を、天皇の宮と同じに造れば御子は口が利けるようになる」とのお告げがあった。そこで、天皇は御子を出雲まで遣わし、大神の宮に詣でさせたところ口が利けるようになった。喜んだ天皇は神の宮を造らせた。

 日本書紀の方も垂仁紀二十三年九月条に同様の話が出てくる。誉津別王(ほむつわけのみこ)は、三十歳になっても口が利けず泣いてばかりだった。ある時、白鳥が大空を飛んでいた。それを見た御子が「あれは何だ」と口を利いた。歓んだ天皇はこの鳥を追わせたところ、出雲に至ってやっと捕らえることができた。誉津別王はこの白鳥と遊んでいる内に話が出来るようになった。

 古事記の方は明確にこの皇子の原因が出雲大神にあること、この大神のために神の宮が建造されたことが語られている。これに対し、書紀の方はその原因については、それとなく匂わせているが明確にされておらず、更に宮の築造も語られていない。
 この垂仁天皇時代の皇子の話と、斉明朝における建王の話とは、どちらがオリジナルかの問題がある。これについては、建王の方が本物と考えられる。理由は、本牟智和気王の話が詳しすぎる点である。ここでは1/10程度に縮めて要約しているが、本文は遙かに詳しい話が続いている。
 垂仁天皇はこの天皇のモデルとなった実在の倭王が存在していたと考えられるが、その時代は、4世紀前葉と考えられる。記紀の編纂時期を7世紀以降とすれば、三百年も昔のことである。当時それほど詳しい記録が伝承されていたと考えることは難しい。従って、古事記の本牟智和気王の話は斉明紀からのコピー版だと結論されることになる。
 なぜこのような話を創作したのかについては、杵築大社の創建を垂仁時代まで遡らせる目的が有ったからだと考えられる。物語の中で杵築大社とは明示されていないが、それと分かるような表現がしてあるからである。

 これに対し、書紀は何のために垂仁紀にこのような話を残したのか意味不明である。恐らく、古事記の内容を見た書紀の撰述者が、この箇所を削除も出来ないし、と判断して残したが、古事記の意図はこれも破壊してしまっている。斉明紀と矛盾する、との判断が生まれたからかも知れない。(続く)

前回の「古代ヤマトの遠景」は、下記からご覧頂けます。
古代ヤマトの遠景(12)・・・【斉明天皇】

上記以前の「古代ヤマトの遠景」のバックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

お知らせ
【NEW】 四国地方の気象対応住宅セミナー In 松山のご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し、塩ビサイディングの紹介を行います。四国地方に最適な外装材に関して講演があり、塩ビサイディングの施工実演と、実際に使用した住宅の見学会も行う予定です。

 ・日 時:2006年12月7日(木)
      13:00〜17:00(受付開始 12:30)
 ・場 所:松山市総合コミュニティーセンター
      愛媛県松山市湊町7−5
 ・主 催:住まいづくり研究会
 ・後 援:(社)愛媛県建築士会【CPD制度認定講習】
 ・参加費:無料
 ・参加申込み締切り:12月1日(金)
       (定員150名になり次第、締切らせて頂きます。)

   ※参加希望の方は下記までお問合わせ下さい
    住まいづくり研究会
    電 話:092(871)2409

日経住まいのリフォーム博 2006 出展&第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」開催案内

 快適、健康、そして安全・安心なリフォームを考えている方におすすめのイベント、「日経住まいのリフォーム博2006」が下記の要領にて、開催されます。
 樹脂サッシ普及促進委員会、樹脂サイディング普及促進委員会にて出展致します。

 ・日 時:2006年12月14日(木)〜17日(日)
      10:00〜17:00(最終日は〜16:00)
 ・場 所:東京ビッグサイト(西1・2ホール)
      東京都江東区有明3−21−1
 ・主 催:日本経済新聞社
 ・入場料:無料
 ・日経住まいのリフォーム博2006のホームページをご覧下さい。
http://sumai.nikkei.co.jp/reform/reformhaku/event/index.html

 ・東京電力のブースにて、塩ビサッシの取付施工実演を行います。
  (各15分間)
  12月14日(木)〜16日(土)11:50〜/15:05〜
  12月17日(日)        11:50〜/14:15〜

★この会場内にて、第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」を以下の要領で開催致します。

 ・日 時:2006年12月17日(日)
      第1部 11:30〜12:20
      第2部 14:00〜14:50
 ・会 場:「日経住まいとリフォーム博」
      会場内特設ステージ
 ・参加費:無料
 ・セミナー内容:
   第1部:「窓とリフォーム&エコロジー」
   第2部:「リフォームでロハスな生活」

   詳細はこちらをご覧下さい。
   第4回「住まいと環境・エネルギーセミナー」案内

【終了報告】 住宅リフォームフェア[千葉会場]

 既報の通り、樹脂サッシ普及促進委員会では、標記の展示会に出展致しました。ご家族連れの方など多くの皆様のご参加を頂き、実際にリフォームを考える方々に塩ビサッシ、塩ビサイディングの情報をお伝えすることが出来ました。

 ・日 時:2006年11月18日(土)〜19日(日)
 ・場 所:幕張メッセ
 ・主 催:(株)リフォーム産業新聞社

【終了報告】 これからの快適な住まい作りセミナー・長野セミナー

 既報の通り、樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会では、標記のセミナーに参加致しました。
 長野県下の工務店等から約50名の皆様のご参加を頂き、盛況のうちに終了致しました。

 ・日 時:2006年11月21日(火)
 ・場 所:メルパルク長野 3階会議室「飛翔」
 ・主 催:信州大学工学部
      エネルギー自立型環境調和住宅研究会

編集後記
 いよいよ師走。
 師走と聞くと思い出すのが年末ジャンボ宝くじ。今年も24日から、既に売り出されてますぞっ。
 前にも書きましたが、H2は買った宝くじは次回買うまで当たりを確かめない主義なのです。次回買うまで、3億円をかばんに入れて歩いてる(つもり)のです。いいでしょう。
 先日、いつも買う宝くじ屋の前を通りがかったら、売り場の前に大きな看板。曰く「大当たり3億円!この売り場から出ました!」と書いてある。ナニ!出たか!俺の奴だ!!
 とまあ、思い込むのがH2の可愛いところですが、それ以来、なんとなく気持ちがそわそわ。いつ貰いに行こうかな、3億円、どうやって使おうかな、どこで祝杯挙げよかな、なんて。メルマガの記事にも身が入りません。
 多分この記事が出る頃には買いに行ってて、ぶすっとした顔になってるんだろうな、と、ほぼ間違いない予測もしてはいるのですが・・・。(H2記)

先週の編集後記についての読者からのお便り・・・[編集後記後]

高校・中学の未履修問題では、校長の処分等にもなっているようですね。対策も「補習を行う」、「歴史の本を読ませろ」等、いろいろな意見が出ているようですね。私は、未履修の科目があったかどうかは分かりませんが、受験に必要で、かつ『卒業できる』と言われたぎりぎりの単位しか取りませんでした。今にして思えばもったいない事をしたものです。少年老い易く学成り難し。光陰矢の如し。です。…(大後悔時代様)


先週の編集後記をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.vec.gr.jp/mag/105/index.html#kouki

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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