NO.138
発行年月日:2007/07/26

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トピックス
◇塩ビターポリンの雨水貯留槽 − わずかな費用で都市洪水を予防 −
(株)ナショナルマリンプラスチック 吉田貴裕

随想

映画「ルワンダの涙」所感(3)

信越化学工業(株) 木下清隆

お知らせ
NEDOの補助金事業公募、締切せまる。
エネルギーソリューション&蓄熱フェア 2007 出展案内
世界ビニルフォーラムの詳細プログラム決定

編集後記

トピックス
◇塩ビターポリンの雨水貯留槽 − わずかな費用で都市洪水を予防 −
(株)ナショナルマリンプラスチック 吉田貴裕

 JR立川駅のホームの下に当社の雨水貯留用水槽が設置されます。7月中に完成予定です。
 大気が不安定になるこの時季、ごく短時間に狭い範囲で大量の雨が降る。地面に、屋根に、ビルの屋上に落ちた雨は、流れて下水道に集まる。設計流量を超えオーバーフローすると地盤の低い所へ溜まる。いわゆる都市型洪水のシナリオです。ここ数年、特に被害が目立ちます。

JR駅ホーム下に設置された
「マリンタンク」
 各方面で、その対策が実施されているようですが、その一つとして今回の当社の雨水貯留水槽「マリンタンク」があり、JR立川駅の他にも首都圏のいくつかの駅に既に導入されています。駅構内に降った雨を直接下水道に流さず、一旦溜める。洪水が懸念される天気の時の対応策です。塩ビ製でシンプルな構造、設置の簡易性、耐久性、比較的安価なことまで含め、目的に対して高性能と言えるでしょう。今回設置されたのは直径3,000mmのものが3基、4,000mmのものが7基、合計10基の貯留水量は100t余り100m四方の平地に10cm程の水位になる計算となります。この水が一部の小さな低地に集まったら・・・。
 ヒートアイランド現象も集中豪雨の原因の一つと考えられています。その抜本的な対策なら、大規模な工事や施設が必要です。「降れば洪水降らねば渇水」を課題にその水の利用までを研究されているところもあるようです。
 これに対して、貯留水槽の設置はお金をかけないですむ最もストレートな対策法であり、他の建物でもこの方法や応用が広がればいいなと想像を膨らませています。

 もう一つ、6月初旬、石巻市にて「北上川下流水防演習」(水害・洪水を想定した防災・救助等の訓練)が行われ、これまでの土嚢に代わる新アイテムとして「越水止めすいのう」を出展しました。増水した河川の水位が堤防を越える「越水」を食い止める為のもので、必要な箇所にポータブルに移動できますし、圧倒的な存在感に信頼性を感じていただけると思いました。
 前記の「マリンタンク」も「越水止めすいのう」も、特にこの梅雨時季の非常用製品ではありますが、「水」に関わる生活環境とプラスチック製品に今後益々の可能性を実感しました。
 環境問題の対策の一端として製造の立場から思いを巡らせているところです。(了)
ポンプで水を注入して使う「越水止めすいのう」

随想
映画「ルワンダの涙」所感(3)
信越化学工業(株) 木下清隆

 【ルワンダ小史】
 アフリカにはその大陸を南北に縦断する大地溝帯がある。タンザニアから北上し、ビクトリア湖の東を通り、エチオピアを縦断し、紅海に抜ける大渓谷である。この地溝帯を東リフト・バレーと呼ぶが、ビクトリア湖の西を走る西リフト・バレーと呼ばれる地溝帯もあり、この2つから大地溝帯は構成されている。西リフト・バレーにはタンガニーカ湖、キヴ湖等の大きな湖があることから太湖地方とも呼ばれている。この太湖地方の一角にルワンダは位置している。国の面積は四国の1.5倍ほどしかないが、国全体が高地で海抜1000〜4000mもある。肥沃な平野が無く高地の開墾が各地で進められたことから、「千の丘の国」として知られている。

 この国の先史時代の歴史は分かっていないようであるが、15世紀になって農耕民族のフツ族が入ってきて初期国家が生まれた。16世紀になると遊牧民族のツチ族が侵入してきて、少数民族のツチ族がルワンダを征服した。ツチ族は貴族となり、大多数のフツ族は農民として差別された。この頃「フツ族は多いが、ツチ族が上である」との認識が生まれてきたらしい。なお、現在の民族構成は89%がフツ族、残りがツチ族その他で、総人口は900万人と報告されている。

 その後、この国はドイツの植民地となるが、第一次世界大戦後はベルギーの信託統治領となる。1962年になってルワンダは独立するが、このとき政権の座に就いたのがフツ族である。数百年の屈辱の中での悲願だったと思われる。このとき多くのツチ族は難民となって各地に散った。北方のウガンダがツチ族政権だったこともあり、ウガンダに逃げ込んだツチ族はそこでルワンダ愛国戦線(RPF)を組織し、ウガンダの支援を得てその勢力を拡大する。雌伏30年、彼らは北方からルワンダに攻め入る。1993年、一旦RPFとルワンダ政府との間に和平協定が結ばれるが、1994年、ルワンダ大統領の乗る飛行機撃墜事件で、ルワンダ政権は一気に浮き足立つ。この事件以来フツ族過激派民兵によるツチ族惨殺が続けられることになるが、その背景には、彼等の中に独立以前の自分達の惨めな生活、屈辱の日々が蘇えり、二度とあんな目には会いたくないとの思いが募っていたのではなかろうか。彼等の行為は「恨み骨髄に徹す」そのものの所業だからである。ウガンダに後押しされたRPFに、フツ族ルワンダ軍の勝ち目はないと多くのフツ族は感じ取っていたのではなかろうか。7月に自軍がRPFに敗れるまでの約100日間、フツ族は虐殺を続け80万人ともいわれるツチ族を殺した。人間の怨念の深さ、業の深さを見る思いである。

 現政権は再びツチ族が握った。カガメ大統領は民族融和を図るべく各種の施策を打ち出している。ベルギー統治時代に義務付けられたIDカードの所持を廃止し、首相の座をフツ族に渡したりしている。しかし、1994年の虐殺当事者を今直、厳しく糾弾し続けており、本当の融和がおいそれと訪れるとは考えられない。民族問題の根の深さは、日本人の遠く思い及ばない世界であるが、恐らくルワンダも今後二転三転しよう。世界各地を見渡す時、民族問題を抱えていない国など日本以外は何処にも無いといえるが、民族間の憎悪の激しさにおいて、中東はルワンダに劣らないものがあると言えよう。この地域でルワンダの二の舞が起きないことを希うばかりである。(続く)

前回の映画「ルワンダの涙」所感(2)は、下記からご覧頂けます。
☆【ツチ族政府の樹立】
https://www.vec.gr.jp/mag/134/index.html#zuisou

お知らせ
NEDOの補助金事業公募、締切せまる。

 以前よりお知らせしていました、NEDOの補助金公募の締切が1週間後の8月2日(木)(17:30必着)にせまりました。
 今年度の公募は、この期間で終了ですので、ご希望の方はお早めにご確認ください。(当初予算より5億円拡大されています。)
 詳細は、NEDO:独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構のホームページをご覧ください。
http://www.nedo.go.jp/informations/koubo/190703_1/190703_1.html

概要:
 「住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入推進事業」(住宅に係るもの)により、NEDO技術開発機構が指定する当該システムを住宅に導入する場合に、その費用の1/3が補助されます。
 様々な補助要件がありますが、樹脂サッシ普及促進委員会がお勧めする要件は『断熱リフォーム』です。
 既設住宅のリフォームで『塩ビサッシ+複層ガラス』の内窓を採用する事により、上記の費用補助の対象となるものです。

エネルギーソリューション&蓄熱フェア 2007 出展案内

 下記の要領にて「エネルギーソリューション&蓄熱フェア 2007」が開催されます。
 塩ビ工業・環境協会、樹脂サッシ普及促進委員会、樹脂サイディング普及促進委員会にて出展します。

・日 時: 2007年7月25日(水)〜27日(金)
10:00〜17:00
・場 所: 東京ビッグサイト 西1・2ホール
東京都江東区有明3−21−1
・主 催: エネルギーソリューション&蓄熱フェア'07実行委員会
・入場料: 無料
・エネルギーソリューション&蓄熱フェア 2007のホームページをご覧下さい。
 http://www.tepco.co.jp/solution/fair/

世界ビニルフォーラムの詳細プログラム決定

 9月米国ボストンで開催される世界ビニルフォーラム(World Vinyl ForumIII)の第二次開催案内がウェブ上に公開されました。
http://guest.cvent.com/EVENTS/Info/Agenda.aspx?e=e54b1463-74fc-4c18-867a-dd4856c8bebb
 会議は、9月26日のwelcome receptionに始まり、世界のビジネス環境と塩ビ産業の過去・未来について意見交換が行われるほか、塩ビ製品の製品開発やプロモーション活動状況、電子・電気業界の塩ビに関する話題やグリーンビルディングに関する講演が予定されています。27日と28日は展示会も同時開催されることから、デザイン性を活かした塩ビ製品の展示や情報交換が行われるものと期待されます。
参加の申し込みはウェブからどうぞ。

編集後記
 3年たってまたも中越の地震である。いまだ仮設住宅の方々もおられるとはいえ、概ねの復旧なって各自治体の災害対策本部も解散したばかりだった。電気はまだしも上下水道やガスといったライフラインの損傷は痛々しい。マンホールの浮き上がりや管のたわみで下水処理場に汚水が流れこまない。上水は通水確認を先行させるのでまだ使用できない。一方、家を損傷された方々は避難所での息苦しい生活を余儀なくされ、エコノミークラス症候群(肺塞栓症)も出始めている。車中泊のボランティア、救護活動にあたる自治体の方々も同様だ。
 塩ビで見ると緊急備品のワンタッチテントやウオータータンクの供給が始まった。
 他のセクターではどうか。8月からの本格復旧では上下水管や電線・ケーブルの出番となろう。プレハブ建築協会は各都道府県と仮設住宅建設の協定を結んでいるが、今回も現地本部を設置した。各セクターが持ち場持ち場で動き始めている。(加地)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  東 幸次

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