NO.168
発行年月日:2008/03/13

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トピックス
◇マンションにも塩ビサイディングが採用!

随想

エリトリア旅行記(5)−不足−

(社)日本化学工業協会 若林康夫


お知らせ
【NEW】PVC Newsが3/19に発行されます。
【終了報告】建築・建材展2008

編集後記

トピックス
◇マンションにも塩ビサイディングが採用!

塩ビサイディング施工後の
乙舳スカイマンション
 海の向こうに八景島を臨む神奈川県の乙舳(おつとも)海岸。潮干狩りでも有名なその乙舳海岸にほど近い閑静な住宅街に建つ「乙舳スカイマンション」は5階建ての中層マンションです。
 築30年を超えるこのマンションは、外壁がモルタル吹きつけ仕上げなのですが、海が近いために塩害で痛みやすく、7〜8年ごとに塗装による補修を行ってきており、マンションに住む住民にとってはその費用も大きな負担となっていました。またこの地域は都市計画の変更によって3階建て以上の建物が建てられなくなっていて、建て替えをすることも出来ず、このたび新たな外装の改修によってできるだけ長寿命化をはかることになりました。
 住民には高齢の方も多く、数年ごとの補修工事による修繕積立金の増額は大きな負担を強いられることになってしまうために、長期間補修が不要で、且つ美観的にも瀟洒な塩ビサイディングによる外装補修工事が行なわれ、その出来栄えに近隣からも大きな話題を集めています。

 塩ビサイディングは北米では50年の歴史のある商品ですが、日本では今からおよそ10年ほど前、特に凍害などにより外壁の痛みが激しい北海道などの寒冷地で、その耐久性等がかわれ急速に普及されてきています。そうした中、3年前には札幌市の11階建てマンションの外装リフォーム用として初めて中層建物に採用され、道内の新聞にも掲載されるなど大きな反響を呼びました。乙舳マンションへの採用も、この札幌市のマンションの実績から住民が安心して採用に踏み切ったそうです。

 この塩ビサイディングは厚さ僅か1mm強の塩ビ樹脂製の外装材ですが、表面は紫外線などによる褪色を防ぐアクリル系などの改質材による層になっており、長期にわたって大幅な色落ちもなく、また塩ビ樹脂のもつその特性から塩害や酸性雨にも強く、ゴム系等の耐衝撃助剤の混練により衝撃性にも優れており、数十年にわたりほとんどメインテナンスも必要ないために、現在はリフォームのみならず新築住宅にも多く採用されるようになりました。今後は塗装による補修が一般的であったマンションなどの中層の建物にも広く採用され、ますます塩ビサイディングの市場が広まることと思われます。
 今、温暖化問題から、商品を採用する際に何よりも地球環境を真剣に考える時代へと変化してきています。塩ビサイディングは環境配慮型である塩ビ樹脂を原料としていることのみならず、その耐久性の良さやシーリング材を使用せずとも雨仕舞いが良く住宅を長持ちさせる等、これからの時代に最も相応しい外装材であると言えます。この機会に塩ビサイディングでのリフォームをご検討されませんか?(了)

塩ビサイディングについての詳細は、こちらのHPからご覧頂けます。
樹脂サイディング普及促進委員会:http://www.psiding.jp/

随想
エリトリア旅行記(5)−不足−
(社)日本化学工業協会 若林康夫

 滞在しているホテルは、エリトリアでも数少ない、客室からインターネットに接続ができるホテルです。インターネットに接続ができるといっても、エリトリア全土のインターネットの速度が非常に遅いこともあり、このメールを1通送るのに10分ほどかかってしまいます。いろいろ調べたところ、このホテル以外にエリトリア国内で客室からインターネットに接続できるのはインターコンチネンタルだけなようです。
 インターコンチネンタルは、アメリカのヒラリー・クリントンさんがファーストレディーの頃、ここエリトリアを訪問することになったのですが、そのような国賓をお泊めするホテルがない、ということで、急遽、建てられたホテルです。物価が安いエリトリアですが、インターコンチネンタルはもちろん世界水準のお値段。私などはとても利用できません。

 このホテルの利用者は、ほぼ全員が外国人。日本の物価水準からみると安いと思いますが、普通のエリトリア人の収入だと1泊で1か月分の収入が飛んでしまいます。泊っているのはほとんどが国連関係者や商社員、各国の大使館関係者の方たち。日本の建設会社(Massawaまでの道路を作ったのとは別の会社)の方も2人、長期滞在をされておられます。
 夜になると、これら世界各国の人がレストラン・バーに集まり国際パーティーになります。
 さて、エリトリアではそこそこ高級なこのホテルでも、宿泊時のお約束があります。チェックインの際、以下のような文書が書かれた紙を渡されますし、部屋の壁にも貼ってあります。

1. エリトリアは水が不足しています。大切に使ってください。
2. お部屋にあるボイラーのスイッチはお湯を使用される30分前にONにし、それ以外は常時お切りください。
3. 電話回線が不足しているので通話は手短にお願いします。

 そう、エリトリアは慢性的な水不足・電力不足・電話回線不足なのです。標高が高く、雨も少ない気候(年間の平均降水量は100mm以下)なので水資源も限られています。ほとんど輸出できる作物や鉱物資源などがなく、原油の採掘もできないエリトリアでは発電用のオイルを必要なだけ購入することができません。もちろん、水不足ですから水力発電は無理。原子力発電も技術的に無理。
 これだけ日差しが強く、晴天の日が続くのですから、太陽光発電にはうってつけです。
 今回持ち込んだソーラパネルの発電効率が、本当にいいこと。こんなに発電能力があるとは思いもしませんでした。

 首都、アスマラでも水道が完備されているのは高級ホテルや大使館、高級住宅などごくわずか。ほとんどの家庭は給水車の巡回に頼るか、近くの給水所からポリ容器などで毎日水を運んでいます。雑貨屋さんに行くと、必ず人の背丈ほどの大きな水タンクが売っており、各家庭の前にはこのタンクが置かれています。
 水道が完備されている地域でも、水質は悪く、洗濯やシャワー、歯を磨く程度なら利用できますが、常時、飲用に使用するのは健康上、問題があるとされ、ほとんどの家庭では飲用にミネラルウォーターを利用しています。ただ、このミネラルウォーターも安いとは言えません。そのせいか、エリトリアの人はあまり水を飲みません。昨日、エリトリア人と同じ程度にしか水を飲まないようにしたところ、夕方には見事に脱水症状に。死ぬかと思いました。
 水は不足していますが、きれい好きなエリトリア人。水の利用にも長けています。最初はきれいな水が必要な食器洗い。食器を洗った水は流しません。庭の木などの水やりに使います。洗濯の後に残った水は洗剤が入っているので床磨き(床洗い)やスニーカーなどの靴洗い。自動車や自転車の洗車。自動車の洗車では、コップ1杯の水だけで泥だらけの車をピカピカにしてしまいます。

 電力不足も深刻で、首都アスマラでも停電は日常茶飯。ホテルの客室には普段の照明以外に、停電用バッテリー内臓の照明が取り付けられています。停電にならないまでも、電圧不足で、照明の明るさが一定をせず、明るくなったり暗くなったりすることは頻繁にあります。
 田舎に行くと停電以前の問題。電気が来ていない町や村も多いですし、来ていても日没から午後8時までのように時間給電のところもあります。
 そんな村で夜を迎えるともう大変。本当の真っ暗闇。おまけに、こちらの人は色が黒いので、黒っぽい服を着ていると全くわからなくなります。ところが、こちらの人は夜目が利くというか、暗い中でも物が見えるんです。停電で真っ暗な中、月明かりもないのに家族で庭にテーブルやイスを出し、みんなで楽しく食事。もちろんテーブルの上にロウソクなどはありませんから、私にはテーブルの上に何が乗っていて、どこにあるのかもわからず手探り状態なのに、こちらの人はきちんと料理を取り分けてくれます。
 更に驚いたことは、ほら、ここに日本製と書いてあるよと真っ暗闇の中でパッケージを渡されたのですが、全く見えない。懐中電灯の光で見ると、確かに指をさしたところにMade in Japanの文字が。逆に、懐中電灯のスイッチを入れたら、周りにいた人たちに眩しいと文句を言われてしまいました。
 昼間は昼間で、サングラスがないと耐えられないアフリカの強烈な日差し。夜は本当の暗闇。それでも慣れれば見えるんですね。

 電話回線については他のアフリカ諸国同様、有線電話を増やすつもりはほとんどなく、携帯電話ネットワークの充実を図っていくようです。このため、有線電話回線の新規申し込みは企業向けやファクシミリ用を除き、一般家庭向けは制限されているそうです。
 しかし、携帯電話の普及は少なく、大きな都市以外では通話できる範囲もかなり限定されていることもあり、公衆電話は小さな山間部の村でも整備されています。この公衆電話、コインは使えず、ICカード方式の通話カードしか使えません。日本のようにコインと通話カードの両方が使えればいいのですがそのようになっていません。というより、エリトリアに入国し5日目ですがコインを貰ったことがない。

 エリトリアにコインがないわけではありません。使っている人も持っている人もいます。流通量が絶対的に不足しているのです。その理由は造幣コスト。金属価格が上昇している現代、紙幣と比べ額面も少額のコインは非常にコストがかかるものとなっています。
 独立後数年間は造幣工場もなく、造幣技術もなかったため独立戦争の相手国であるエチオピアの通貨を使っていたエリトリア。その後、海外に造幣を委託するもコストの関係もあり、国内での造幣に切り替えますが、技術が未熟なため偽造通貨が続出。偽造通貨が出るたびに新しいデザインの通貨に切り替えてきました。これまでのデザインの変遷はエリトリア国立銀行に行くと見ることができます。
 このように偽造通貨対策もあり、通貨の製造に多くのコストをかけてきたエリトリアにとり、コインは材料費ばかりかかる厄介者。そこで、できるだけコインを使わない(流通させない)方針となったそうです。でも、全て紙幣だと結構不便です。一番新しい紙幣はヨーロッパから印刷機や技術を導入しユーロ紙幣と同様の偽造防止策が施されています。

 この偽造防止対策、意外なところに影響が。同じホテルに滞在している日本の建築会社の方がスキャナ機能付きのプリンタを持ち込もうとしたところ通貨の偽造に使われる可能性があると税関で没収。現在、建設事業の発注元であるエリトリア政府の建設省を通じ、税関と返還交渉中とのことです。(続く)

前回のエリトリア旅行記(4)−注意− は、下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/164/index.html#zuisou

エリトリア旅行記のバックナンバーは、下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

お知らせ

【NEW】PVC Newsが3/19に発行されます。

 PVC News 64号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されます。
目次をご紹介致します。

◇トップニュース
動き始めた「塩ビリサイクル支援制度」
◇視点・有識者に聞く
高まる科学コミュニケーションの必要性
日本科学未来館 工学博士 山科直子氏
◇リサイクルの現場から
(株)川島織物セルコンのタイルカーペットリサイクル
◇インフォメーション
塩ビサッシによる省エネリフォームが減税制度の対象に
◇インフォメーション
注目!使用済み塩ビ壁紙を活性炭化物にリサイクル
◇塩ビ最前線
塩ビ製「防災型ウォーターフェンス」


以上、塩ビリサイクル関連の最新情報を中心にご紹介致します。
PVC Newsバックナンバーは、
塩化ビニル環境対策協議会のHPよりご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/

【終了報告】建築・建材展2008

 3月4日(火)から7日(金)までの4日間、東京ビッグサイトにて、「建築・建材展2008」が開催されました。期間中はお天気にも恵まれ、約15万5千人の来場者がありました。
 塩ビ工業・環境協会、樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会のブースでは、塩ビサイディング・塩ビサッシの施工例やカットサンプルの他に、塩ビサッシ窓の性能が体験できる結露BOXや遮音BOXも展示しました。また、今回初めて塩ビサイディングの「タテ張りタイプ」のサンプルも展示し、塩ビサイディングの施工イメージを広げられるようにしました。
 主に、施工業者・設計事務所・製造業の多くの方々にご見学いただき盛況でした。

編集後記
 「建築・建材展2008」の見学に行って来ました。建築業者さん向けの、壁材・床材・屋根瓦などから、窓・ドア・照明やドアノブなど様々な建築材料の展示会です。
 見て回ると、材質として再生プラスチックを使用しているというブースが、いろいろとありました。「プラスチック」と言っても様々ですが、鳥取県のある会社のブースでは、ペットボトルのキャップなどを回収・再生し、デッキ材や防護柵、ベンチなどを作っているとのことでした。ベンチ1基にペットボトルのキャップ約2万個が必要だそうです。キャップは、地元の公民館などの収集場から集めるものが主なのですが、話を聞いた個人の方や企業から、県外からも送料自己負担で届けられるものもあるそうです。そういった小さな活動が、大きな流れとなると良いですね。(自称ハチドリ主婦)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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