NO.181
発行年月日:2008/06/19

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トピックス
◇屋上緑化に役立つ塩ビ防水シート

随想
極めて個人的な中国観/中国リサイクル産業現地調査から(第4回)
−中国人は皆商人、案内料が5元から30元に急騰−
    株式会社産業情報研究センター 調査・情報室長 林 廣和

お知らせ
北海道洞爺湖サミット記念
 環境総合展2008 出展案内
PVC News65号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。

編集後記

トピックス
◇屋上緑化に役立つ塩ビ防水シート

 メルマガ42号で紹介した「渋谷区の屋上緑化条例施行1年の成果を聞く」に引き続いて、その後の屋上緑化の活動状況と塩ビとの関わりを調べました。
 国土交通省では平成12年に屋上緑化のモデル庭園をつくり、植物の生育状況の把握や、さまざまな効果の検証が行われています。つい先日、その見学会に参加し、モデル庭園から国会議事堂を眺めてきました。ホームページに公表された全国での屋上緑化施行面積は平成19年度の実績で29万m2、平成12年からの累積で194万m2になり、その広がりに驚きました。
 東京都でも、同じ時期から屋上緑化の推進施策が行われ、その実績が公表されています。平成18年度の実績では壁面も含めた屋上等緑化面積で16.7万m2になり、平成12年から18年の累計で77万m2になります。現在進められている「緑の東京10年プロジェクト」でも屋上緑化の推進が掲げられています。
 屋上緑化の効果には、ヒートアイランド現象の緩和、ビルの省エネ、大気浄化、都市景観の向上などがあり、更なる発展が期待されています。
 そこで、塩ビとの関わりに着目して、防水シートに詳しい合成高分子ルーフィング工業会にお聞きしました。その結果、次の様な貴重な情報をご提供頂きました。

入間団地の屋上緑化
 屋上緑化とは、Wikipediaによると、「建築物の断熱性や景観の向上などを目的として、屋根や屋上に植物を植え緑化すること」とされています。また「環境問題への対応を迫られる現代において案出された手法と見られがちだが、屋上庭園や草に覆われた土屋根、ツタの絡まる壁をもつ建築物は各国で古くから存在し、人々は先人の知恵としてその恩恵を受けてきた。日本でも古来、夏にはヒョウタンやヘチマの緑陰で家屋に涼を呼ぶ習慣があり、極寒の国では屋根に生やした草が断熱材となり寒さを防いだ。その根源は自然と人間の共生に根ざすもの」とも書かれています。
 屋上緑化については、近年、国を始め各自治体が積極的に取り組んでおり、民間の建築物への普及も進んでいます。

 屋上緑化のために必要な技術は、建築的には重量に耐えられる構造設計とそれを緩和するための軽量化、防水面では防水性能と耐根性能が必要とされています。
 通常の屋上に土壌の重量が加わるので、それに耐えられる構造設計はより頑丈になるだけでなくコストアップにもつながります。軽量化を図るために、軽量な土壌の開発が進められていますが、保護コンクリートを必要としない防水工法の開発の方が大きな効果がありますので、防水材のメーカーはこの仕様確立を進めています。
 ところが保護層がないと耐根性の問題が発生します。植物の根の伸長する力は、つまようじに1kgのおもりを乗せた力と建築学会で発表されており、柔らかい防水層だと貫通して漏水を引き起こしかねません。
 そこで、屋上緑化に使う防水層の耐根性能を測る試験方法が、2008年5月に改正されたJASS8T-401に案として掲載されています。
 屋上緑化に用いられている塩ビシート防水は、通常の防水施工を行えば、特に耐根シートを設けなくとも緑化防水層として十分機能します。他の防水では、耐根層を別に設ける必要があるものがあり、耐根層の施工に不備があれば根の貫通を引き起こすので注意を要します。
 緑化防水としての歴史は古く、塩ビ防水シートは30年以上前に使われた例もあります。現在でも集合住宅やホテルなど建物の別を問わず、新築や改修にも使われています。

 ドイツでは既に屋上緑化が成熟期を迎え、年間で100万m2を超える面積が緑化されています。そのためのシステムが整い、日本でも参考にしていく動きがあります。是非、この分野でも塩ビ防水シートの特長が活かされて、住み良い環境つくりに貢献できれば素晴らしいことと思いました。(了)

メルマガ42号はこちらからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mail-magazine/20020704.htm

随想
極めて個人的な中国観/中国リサイクル産業現地調査から(第4回)
  −中国人は皆商人、案内料が5元から30元に急騰−
株式会社産業情報研究センター 調査・情報室長 林 廣和

 中国人はしたたかな民族である。中国訪問調査でのささやかな体験を紹介してみたい。初めて上海を訪れた観光客が必ず行ってみると言われる豫園を歩くと、黒いプラスチック袋を提げて路上を往来している人を必ず見かける。彼らが携えている黒いプラスチック袋には、たいてい空のPETボトルが入っている。その日、私は豫園の通りを歩き始めて5分もせずにプラスチック袋を持った初老の男性に出会った。声をかけると、彼は回収したPETボトルを仲介者に0.006元で売るという。仲介者のところまで案内してほしいと頼むと、5元で案内するという。金額の問題ではなく、ちょっとためらったが、5元支払って仲介者のところに案内してもらった。仲介者は、豫園百貨の傍の駐車場の自転車置き場の一角にいた。陽射し避けの付いた帽子を被った中年の女性であった。足元には、今日、買い取ったと思われるPETボトルの入った黒い袋が幾つか置いてある。我々を案内してきた初老の男性が女性に何か説明し、“さー何でも聞いて”という風な仕草をした。

 通訳のZさんに、ここで買い取ったボトルをどこに持っていくのかを尋ねてもらうと、自分は回収ショップに雇われているので、回収ショップに持っていくと言う。そこで回収ショップまで連れて行ってほしいと頼むと、女性は少しためらっている様子で返事をしなかった。やっとのことで聞き出した彼女の話しによると、回収センターに持って行くのは、夕方1回と言う。数が多いときは手で持っていけないでしょうと尋ねると、その時は自転車にリヤカーを取り付けて運ぶとのこと。早速、回収ショップに案内してもらいたいと頼むと、30元を要求してきた。豫園ではPETボトルの買い取り価格の相場(彼女のような仲介者の取り分)は1本0.1元である。仲介回収者は100本集めても10元にしかならない。
 回収ショップに案内するだけで30元はいかにも高いので値下げ交渉をしたが、女性が言うには、本来彼女はここに居なければならない。我々を案内するためこの場を離れるには、知り合いに少しの間ここに居てもらう必要がある。これを頼むため、お金も渡さなければならない。だから、30元以下では駄目。おそらく先ほどの初老の男性が自分はここに案内するだけで5元受け取ったことを話したのであろう。

 中国人は13億国民が総商人ではないかと思うことがある。以前、で自転車に乗った人に道を尋ねた時、10元を要求され、通訳の中国人が呆れたことがある。寧波では、こんなこともあった。繁華街の道を歩いていて、猿を連れて散歩している老人とすれ違った。同行者の1人が珍しがってカメラを構えると、老人がすかさず猿に何か合図を送り、猿が見事な宙返りをやってみせた。老人は我々に手の平を差し出し、お金を要求したのである。世界の人口は65億人とされ、5人に1人は中国人である。中国国外に居住する華僑を含めるとさらに中国人の数は増える。我々は良き購買者になるのか、はたまた彼らに物品を供給する卸問屋の立場に立つのか、いずれにしても彼らと無関係に存在することはできなさそうである。

回収ショップで見たペットボトル
ショップ店頭に野積されているボトル
 話を戻すと、時間がもったいないので、結局、30元を払い、ショップに案内してもらった。彼女は自転車、我々は徒歩である。ショップまでは近いということであったが、中国人の言う“近い”とか“すぐそこ”といった言葉ほど当てにならないことはない。やはり15分はかかった。ショップは、数年前に見付けたものよりかなり小規模なものであった。ショップの経営者らしき人に、どこに売るのかを聞いてもらうと江蘇省や昆山方面に販売しているとの返事であった。経営者の携帯はこの間も休む間もなく鳴り続けている。

 豫園周辺には、こうした回収ショップが30軒前後あるという。個人が回収し、仲介者によってショップが買い上げ、再生処理業者に販売するという極めてシンプルな中国の廃プラスチック回収システムの原型的な構造がここにある。(続く)

 編集部注:1元=約15円

前回の「極めて個人的な中国観」(第3回)−通訳求む−は、下記からご覧いただけます。
https://www.vec.gr.jp/mag/176/index.html#zuisou
上記以前のバックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

お知らせ

北海道洞爺湖サミット記念
 環境総合展2008 出展案内

 下記の要領にて「北海道洞爺湖サミット記念環境総合展2008」が開催されます。
 塩ビ工業・環境協会にて出展し、塩ビサッシに関する情報発信を中心に、製品展示・パネル説明・パンフレット配布等を行います。

・会  期  2008年6月19日(木)〜21日(土)
・時  間 6月19日(木)  10:00〜17:00
6月20日(金)  10:00〜17:00
6月21日(土)    9:30〜16:00
・場 所  札幌ドーム
・入場料 無料
北海道洞爺湖サミット記念環境総合展2008のホームページをご覧下さい。
http://www.do-summit.jp/kankyouten2008/

PVC News65号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。

◇トップニュース1
環境省オフィスの全ての窓が「塩ビサッシ」に
◇トップニュース2
「塩ビリサイクル支援制度」の第1回対象案件決まる!

最新号、バックナンバーとも、こちらからご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/

ご希望の方には、発行ごとにお送り致します。送付先を連絡下さい。
info@vec.gr.jp

編集後記
 先月、都内のあるホテルで開かれた会議の会場は3階でしたが、外を見るとベランダ風の部分が立派な庭園になっていて、思わず見とれてしまいました。今週のトピックスにあるように都市部だからこその屋上緑化なのでしょうが、緑を見るとなんとなく落ち着きます。
 屋上緑化のことで、ある建設会社の方に話しを伺ったことがあります。手間を掛けないのがいいことだ(?)と、ノーメンテナンスの屋上緑化を目指したところ、ひと夏を過ぎると植物は全て枯れ、失敗してしまったそうです。植物も生き物、手をかけないわけには行かないのが当然です。現在は、メンテナンスを少なくする管理法の模索を試行錯誤しているそうです。(HI)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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