NO.196
発行年月日:2008/10/09

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トピックス
◇国際家具見本市で床材・壁紙メーカー健闘
 − ロンシール工業の米国法人シルバー賞受賞 −

随想
古代ヤマトの遠景(29)—【紀直氏】—
信越化学工業(株) 木下清隆

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編集後記

トピックス
◇国際家具見本市で床材・壁紙メーカー健闘
 − ロンシール工業の米国法人シルバー賞受賞 −


 米国では、サブプライムローンの破綻をきっかけに住宅着工件数が減少し、建築市場も厳しい状況にあることは周知の通りですが、そんな状況の中でも、塩ビ床材の売り上げは伸びているとのことです。“Floor Covering Weekly”誌によれば、2007年の米国の床材市場は23.43億US$から21.67億US$へと7.5%減少したにもかかわらず、塩ビ床材の売り上げ高だけが1.88億US$と前年比10.6%も伸びたとのことです。施工面積でも3.24億平方フィート(約3千万平方メートル)と1.3%の伸びです。それは、加工性、耐久性に優れ、コストパフォーマンスが良いためと見られています。

 ところで、1969年から米国シカゴで毎年開催される家具の見本市「NeoCon」をご存知でしょうか?オフィス家具を中心として、インテリア、ファブリック、建材など世界一流のメーカーやデザイナーらが集まり最新の機能やデザインを競い合う国際見本市で、3日間の開催に5万人以上の参加者があるのだそうです。例年、日本のメーカーの参加もあるようで、今年は、6月9日から11日まで開催されました。

 見本市に出展された塩ビ製品の話題を紹介したいと思いますが、機能性やデザインだけでなく、マテリアルリサイクルを意識した作品が目立つようです。例えば、ニューヨーク市BrooklynのParterre Flooring Systems社は、プレユース・ポストユースの塩ビリサイクル品を使って、塩ビの耐久性と柔らかさを持ちつつメタリックや石目調の見た目を兼ね備えた弾性塩ビ床材を出展しました。また、ケンタッキー州Louisville本社のLSI Wallcoverings社は、日本や中国風のデザインにエンボス(浮き出し)加工を施し、リサイクル塩ビを使った壁紙を紹介しています。

 なお、NeoConでは、出展作品を39のカテゴリーに分け、優れた作品に賞を与えています。その受賞作品の中には、ジョージア州CalhounのMannington Commercial社製の床材とカリフォルニア州Carsonを拠点とするLonseal Inc.社(ロンシール工業株式会社の現地法人)の塩ビ製表面仕上げ材(床材と壁張り材の特長を併せ持っている)がシルバー賞を受賞しています。弾性床材カテゴリー部門で受賞したMannington Commercial社製の床材は、切り抜きタイルで、正方形や長方形ばかりでなく、丸型や星型の形状のものがあり、これらのタイルを組み合わせて、従来の塩ビタイルでは不可能であった極めて個性的なパターンを創り出せるというものです。また、Lonseal Inc.社の表面仕上げ材の特徴は、塩ビ床材の機能を壁貼り材へ展開したことにあります。厚さは約1.5ミリと普通の壁紙よりかなり厚く、しかも床材のように三重構造になっているので、弾力性に富み、遮音にも貢献すると見られています。機能性ばかりでなく、6フィート幅のシート状のため、継ぎ目が少なく壁に貼ることができ、美しい仕上がりが可能です。

これらの受賞は、メーカーやデザイナーにとってはこの上ない励みになっているのではないでしょうか?米国の塩ビ床材や壁紙メーカーの健闘を称えたいと思います。日本でも、環境を考慮しながらもこのような機能性やデザインを競う展示会があってもいいような気がします。(了)

NeoCon受賞作品はこちらからご覧頂けます。
http://contract-network.com/

Lonseal Inc.社のHPに掲載されたNeoConの記事はこちらからご覧いただけます。
http://www.lonseal.com/pr.cfm

随想
古代ヤマトの遠景(29)—【紀直氏】—
信越化学工業(株) 木下清隆

日前神宮
国懸神宮
鳥居をくぐり参道を進み、突き当りを左に行くと日前神宮、右へ行くと国懸神宮がある。両神宮が東西に同規模で存在している。
 前回、紀伊国には「紀直(きのあたい)氏」と「紀臣(きのおみ)氏」の二大勢力が存在することを紹介したが、両者の分布は良く分かっていない。紀直氏が名草郡(現在のJR和歌山駅を中心として南方に広がる地域)を中心とした勢力であったのに対し、紀臣氏はこの名草郡を取り巻くようにその勢力圏を広げていた氏族のようだ。前回出てきた竃山(かまやま)神社、日前(ひのくま)・国懸(くにかかす)神宮等はこの名草郡の中にある。
 両氏の興亡は記紀の記録からだけでは明確なことは分からないが、記録上から言えば紀臣氏の方が圧倒的にその記述内容が多い。更に天武十三年(684)に、五十二氏に「姓(かばね)朝臣(あそみ)」が賜与されたが、紀臣氏はその中に入っているのに、紀直氏は外されている。ところがこの紀直氏は、紀伊国の国造に任命されている。これは地元で大きな勢力であったことを意味しており、なぜ彼らが朝臣の姓を賜らなかったのかは謎である。

 次に両氏の祖神を調べてみることにする。『新撰姓氏録(しんせんしょうじろく)』によれば、それぞれの祖神は次のようになっている。
紀臣氏 ・・・ 建内宿禰(たけしうちのすくね)
紀直氏 ・・・ 神魂神(かもすのかみ)
 このうち建内宿禰は、蘇我氏が『帝紀』『旧辞』を改竄し、『古事記原典』とでも言うべき『天皇記・国記』を編纂したときに、創作されたと考えられる国父のような人物である。このとき蘇我氏は、孝元天皇 → 建内宿禰 → 各氏族、と繋がる系譜を創作したが、結果的に二十七氏族が建内宿禰を祖とすることになった。その内容は現存の「古事記」にしっかりと記録されている。この系譜に紀臣氏は乗っかっているのである。このような架空の系譜に繋がっていると云うことは、本来、紀臣氏は自分達の祖神を持っていたが、これを政治的判断で放棄し、建内宿禰・孝元天皇の系譜に鞍替えしたことを意味している。要するに彼等は地元の豪族であり、今ではすっかり忘れ去られたような神を祖神としていたということである。
 これに対し、紀直氏は神魂神を祖神としている。このことは、彼等には全く迷いが無く、先祖代々が祭祀してきた出雲の神を、彼等は祖神とし守り続けていたということである。要するに彼等の出自は出雲なのである。

 このような両氏の祖神問題から見えてくるのは、地元の勢力「紀臣氏」が支配する地に、後から「紀直氏」は入ってきて一大勢力にのし上がっていったという構図である。では、何故彼等が紀伊国に入植して来たのだろうか。この謎は、初代倭王の出自は出雲であったと考えれば簡単に解決される。五瀬命が戦闘で亡くなり名草郡に葬られた。当然、墓守として部下の誰かが残ったはずである。その後、初代倭王が大和の地で徐々に安定した地位を築くようになると、この墓守を補強するために名草郡に出雲の者達を移住させた、といったことが考えられるからである。何のために補強する必要があったのかであるが、それが紀臣氏問題である。紀ノ川沿いに割拠していた紀臣氏の祖達は、大和に向かう初代倭王一行と戦闘をした可能性があるからである。五瀬命は生駒山付近の長髄彦との戦いで負傷し、それがもとで紀伊国で亡くなったことになっている。しかし、実際はこの後の戦闘で負傷した可能性が高い。もし、長髄彦との戦闘で五瀬命がこのあと死に至るほどの傷を負っていたのなら、彼等は最後の出港地である吉備に引き返したはずだからである。ところが、倭王一行は長髄彦の抵抗に遭うと、浪速から紀伊半島を南下する方針を決めている。このことは方針決定時、五瀬命は五体健全であったということになる。そして、南方に舳先を向けたとき、彼等は紀ノ川遡上を目論んでいたはずである。紀ノ川上流の五条辺りまで行けば大和は直ぐだからである。ところが、紀ノ川沿いの勢力、後に紀臣氏といわれるようになる一族は、倭王一行の遡上を阻止した。当然激しい戦闘になる。五瀬命はこのときの戦闘で負傷し、亡くなったと考えられる。倭王一行は、紀ノ川遡上が不可能となれば大和入りの方法は更に南に廻るしかないだけに、必死に戦ったに違いない。ところが、五瀬命が負傷した。一行は万已むを得ず撤退することにした。そして、名草郡で五瀬命を弔うと、一行は最後の手段である熊野川遡上のルートに向かう。

 ここで問題となるのは、紀臣氏はなぜ倭王一行の大和入りを阻止しようとしたのかである。理由は定かではないが、出雲の王が女王台与の後継王として推戴されたことに反対だったということであろう。恐らくこの王位継承に不賛成の地方の豪族・首長は数多くいたはずで、その代表格が長髄彦ということであり、記録には残されていない勢力の一つが紀臣氏であったということであろう。
 初代倭王が大和でその地位に就いたころ、名草郡の状況がどのようなものであったかは全く分からないが、何れにしても紀臣氏は健在であり、五瀬命の陵墓を守るためには更に出雲の人々を名草郡に入れる必要があると、倭王は判断したと云うことであろう。このようにして出雲の人々は、名草郡を中心にして徐々に勢力を拡大していったものと考えられる。(続く)

前回の「古代ヤマトの遠景」は、下記からご覧頂けます。
☆ 古代ヤマトの遠景(28)・・・【日前・国懸神宮】

上記以前の「古代ヤマトの遠景」のバックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

お知らせ

ハイクオリティな家づくりセミナーin新潟のご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し講演を行ないます。

・日 時  2008年10月16日(木)
13:00〜17:15(受付12:15)
・場 所  新潟商工会議所(5F 51号室)
・主 催  株式会社日本住宅新聞社
・後 援 (社)新潟県建築士会【CPD制度認定講習:3単位】
・参加費  無料
・参加申込み締切り:10月9日(木)先着90名
・お問い合わせ:株式会社日本住宅新聞社
          電話:03(3823)2511


編集後記
 暑さも去り急に涼しくなってきました。8月末に剪定した薔薇も、新しい芽が伸び、蕾が付き、花が付こうとしています。秋の花は春と異なり、虫に食われることも少なく長く楽しめるため、期待して待っています。振り返ると、今年の夏は暑く、後半雨が多かったこともあり、農薬を撒くタイミングを誤ってしまいました。少し前には病気で葉のほとんどを取らざるを得なくなり、まるで枯木みたいになっていました。
 足下では物価が上がり、株価が下がり、景況が悪くなっているように感じます。政局も安定せず、すっきりしませんね。米国の金融界で発生した病気が世界に蔓延したことが始まりでしょうから、小生の薔薇と同じにならない様、適切な薬を、時期を誤らずに早く撒いてもらいたいものです。(可)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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