NO.218
発行年月日:2009/03/26

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トピックス
◇塩ビパイプでビーチアニマル −テオ・ヤンセン展−

随想
古代ヤマトの遠景(34)—【日本武尊】(1)—
信越化学工業(株) 木下清隆

編集後記

トピックス
◇塩ビパイプでビーチアニマル −テオ・ヤンセン展−

  テオ・ヤンセン氏はオランダ人のキネティック(動く美術品)アーティストで、「ビーチアニマル」と呼ばれる大きな人工的な動物のオブジェを制作しています。すべてのビーチアニマルは塩ビパイプが主な材料でチューブと組み合わせて作られており、作品によっては風力を動力として自分自身で動き出すことができます。
 ビーチアニマルを作る際の塩ビパイプは、電線を地中に埋設する際に電線を覆う塩ビ管です。日本ではオレンジ色が一般的ですが、テオ・ヤンセン氏の作品は全てアイボリーです。これはオランダでは電線を覆う塩ビ管が全てアイボリーなためです。
 機械がなくても手で曲げることができ水に強く劣化しにくい、海岸で動かすことが多いので塩にも強いそして安価に購入できるということが、塩ビ管を使用して製作するそもそものきっかけだそうです。

 今回初めてその作品が日本で展示されています。
 日比谷パティオの特設会場では、13点の作品が展示されており、最も大きい作品は10m近くもあります。そのうちの1つの幅3mあるビーチアニマル(アニマリス・ヴァルポリス)は、風力の代わりに人が自分で動かすのを体験することができます。中心部のパイプをつかみ、引くと10〜20ある足が一斉に動き出します。力はそれほど入れなくても、まるでロボットのような動きをします。

 テオ・ヤンセンの言うビーチアニマルは砂浜の生命体、使用済みペットボトルに風のエネルギーを蓄え、風さえあれば半永久的に動く生命体を是非体験して下さい。
テオ・ヤンセン展

公式サイト
■テオ・ヤンセン展
http://hibiya-patio.under.jp/theo/
会場:日比谷パティオ特設会場
期間:2009年1月17日(土)〜4月12日(日)
時間:10時〜21時

随想
古代ヤマトの遠景(34)—【日本武尊】(1)—
信越化学工業(株) 木下清隆

  前回、日本武尊が登場してきたが、この人物は創作された英雄として紹介した。今回はその論拠について説明することにする。
 日本武尊は、景行天皇の皇子として誕生しており、その活躍ぶりは「古事記」「日本書紀」共にこの天皇の項に記述されているが、内容的にはかなりの違いがある。尊の活躍を要約すれば、西国九州の熊襲征伐と東国征伐といえるが、熊襲征伐では共に若い日本武尊が女装し、相手を油断させて刺し殺している。このとき相手は日本武尊の武勇を称え、「日本武皇子」(やまとたけるのみこ)〔古事記では、「倭建御子」〕を贈っている。古事記では熊襲征伐の帰りに更に出雲征伐を行わせているが、書紀にはない。更に古事記では、大和に戻り天皇に帰朝報告をすると、すぐさま東国征伐を命ぜられている。日本武尊は伊勢神宮に参拝し、倭姫命に「天皇は私に死ねとお思いなのだろうか、西国の征伐から帰って間もないというのに」と愚痴をこぼしている。書紀では、西国征伐と東国征伐の間に10年以上の時間的経過があるので、このような愚痴話はない。

日本武尊白鳥陵
  この東国征伐物語の中で一人の華ともいうべき女性が登場する。それが尾張の宮簀媛(みやずひめ)である。日本武尊は大和から東国へ向かう途中、尾張で宮簀媛と出会うが、この媛を残して更に東へと向かう。長い遠征の末に尾張に還った尊は、宮簀媛に再会する。このときの二人の心のときめきを古事記は極めて文学的に表現している。その後、日本武尊は草薙剣(くさなぎのつるぎ)を媛のもとに残して、伊吹山の荒ぶる神を討つために山に入る。ところが氷雨を浴びせられて尊は衰弱し、さまよい歩いて能褒野(のぼの、三重県亀山市)に至り、そこで最期を迎える。このとき日本武尊は後世に大変有名になる歌を残した。

  — 倭は国のまほろば たたなづく 青垣山隠(ごも)れる 倭しうるわし —
この歌の意味は、次のようなものである。
  「倭は、国々の中で最も素晴らしい国だ、その周りを、青垣のように山々が重なり取り囲んでいる、本当に麗しい。」

 天皇は亡くなった日本武尊を哀れみ能褒野に陵を造って葬ったが、尊は白鳥になって飛び去ってしまった。棺をあけるとその遺骸は残らず、衣冠だけが残されていた。白鳥は河内の古市に至ったので、そこに陵を造ったが又白鳥となって飛び去り、天に上ってしまった。このようにして日本武尊はその生涯を終える。

 ところで宮簀媛のところに残された草薙剣であるが、これはその後、宮簀媛が熱田神宮に奉納したことになっている。おそらく最初は簡単な社を作って納め、日本武尊を偲んでこれを祀っている内に、歳月の経過と共に社の構えも立派になり、何時しか熱田神宮と呼ばれるようになったと云うことであろう。この剣が三種の神器である草薙剣である。天智朝にこの剣は新羅の僧によって盗み出され、暫く朝廷が保管していたが、その後返却されている。

 このような記紀における日本武尊の記述を見る限り、どうみても実在の人物とは考えられないことになる。最後の白鳥になって飛んでいったなどと云う記述そのものが、創作された人物であることを示しているといえよう。ところが、残された草薙剣の話だけは奇妙なくらいに現実味があるのである。日本武尊は創作だから、草薙剣も作り話だと云えないこともない。しかし、熱田神宮の歴史は重い史実を物語って居るとしか考えられない。また、盗難にあったという事実が書紀に記載されているぐらいだから尚更である。そこで日本武尊は創作された人物であるが、剣は本物であるとしよう。そうすると、この謎の解決法は、日本武尊にはモデルとなった或る実在の人物が存在し、草薙剣はその人物が保持していたものだったと考えるしかないことになる。では、そのような解釈は可能なのかであるが、検討してみるしかない。その糸口は、日本武尊及びその当時の天皇達の后妃問題にありそうである。(続く)

前回の「古代ヤマトの遠景」は、下記からご覧頂けます。
☆ 古代ヤマトの遠景(33)・・・【狗奴国制圧】

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編集後記
3月26日の桜
予想に反して寒さが戻ってまだ、ちらほら
日曜日のお花見は如何に・・・?
  ここ1週間の4月下旬から5月下旬並の気温というバカ陽気の所為で、桜の開花予想が更に早くなり、東京、横浜は3月21日とか、メルマガが発行される頃が丁度満開ですね。同時に、自動車、電機大手の春闘の結果が報道されていました。100年に一度の未曾有の経済危機との経営者の共通の認識で、ゼロ回答や定昇の一時凍結とかで実質賃下げですよね。経済の萎縮の悪循環にならなければ良いのですがね。実は、2週間ほど前に友人より満開と予想される来週の日曜日(3月29日)に花見しましょうとの連絡をもらっていましたが、散り始めのようですね。憂さ晴らしに、散り始めの儚い桜を見ながら花見酒といきましょう。(古鍋:3月19日記)

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