NO.214
発行年月日:2009/02/26

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トピックス
◇フィリピンの塩ビパイプ普及活動を支援

随想
古代ヤマトの遠景(33)—【狗奴国制圧】—
信越化学工業(株) 木下清隆

お知らせ
建築・建材展2009 出展のご案内

編集後記

トピックス
◇フィリピンの塩ビパイプ普及活動を支援

  APVN(アジア太平洋塩ビネットワーク)は、メンバーであるアジア太平洋地域の塩ビ関連会社と連携し、環境問題を通して塩ビの普及活動を行っています。中でも塩ビパイプの普及活動は現在の最重要課題であり、VECは塩ビ製品の普及とアジア太平洋地域の水資源確保のため、この活動を積極的に支援しています。

 ある調査レポートによれば、世界のプラスチックパイプは2012年までに年間4.5%の伸びがあると予想され、特に中国、インドなどアジア・太平洋地区、東ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アフリカでの需要が大きく伸びると期待されています。プラスチックパイプは軽量でコスト的に他の素材より優位であり、耐食性も高いことからかつてのコンクリートや金属パイプが使われていた分野においても使用が拡大しています。こうしたプラスチックパイプ需要のうち、塩ビパイプは約3分の2(2007年)を占めていると同レポートでは記しています。
 なお、経済産業省の資料によれば、日本は、2007年のプラスチックパイプの素材別使用比率は、87%が塩ビです。

会議風景
VEC講演資料より
米国塩ビパイプについての講演資料より
  さて、このたびフィリピンのAPVNメンバー会社から、2月12日、13日、セブ島とマニラで開催される塩ビパイプ普及活動に向けた講演会にて、「日本の塩ビパイプリサイクル事情について」の講演依頼がありました。如何に長寿命の塩ビパイプでも、建物の解体や施工時の端材が廃棄物として排出されるため、そのリサイクルについて世界で重要性が高まっています。日本では、古くから一部の塩ビパイプを塩ビパイプに作り変えるいわゆる「パイプtoパイプ」のリサイクルが行われ、パイプリサイクルの先進国です。1998年以降、塩化ビニル管・継手協会は、建物の解体現場から出る使用済み塩ビパイプを含めた全国的なリサイクルシステムを構築し、更なるリサイクルを推進しています。

 今回のフィリピンでの講演会に向け、VECでは塩化ビニル管・継手協会の協力を得て講演資料をとりまとめ、セブ島での30th PAWD National Convention会議では、フィリピンのメンバー会社の技術マネージャーがその資料を用いて講演を行いました。また、マニラ市内で開催された産業界や政府関係者との会合には直接参加して、日本の塩ビパイプリサイクルへの取り組みについて説明しました。また、今回APVNの要請により米国のパイプ協会より技術専門家が講師として参加し、「北米の塩ビパイプの経験」について講演を行い、米国では、経年劣化した金属パイプから大量の飲料水が漏水しており、その代替材として耐久性と施工性の良さから塩ビパイプが使われている事例が紹介されました。会合には、水道局などのフィリピン政府関係者をはじめ、塩ビパイプ製造会社や建築関係者、環境NGOらが50人以上集まり、熱心に耳を傾けてくれました。講演後、参加者からフィリピンでの使用済みパイプ収集システムの構築についてアドバイスを求められ、その意識の高さがうかがえました。また、リサイクルパイプの用途等のパイプ関連のみならず、塩ビの環境貢献などについて幅広い質問が寄せられ、多くの関係者と塩ビに関する正しい情報を共有する大変良い機会となりました。VECはAPVNの中心メンバーとして、今後も塩ビ普及活動を通じてアジア太平洋地域の社会発展の支援を積極的に推進します。(了)

随想
古代ヤマトの遠景(33)—【狗奴国制圧】—
信越化学工業(株) 木下清隆

  倭国連合軍は、最大の難関であった伊勢国を破った。彼らが有する地勢上の優位性に卑弥呼軍は半世紀にわたって翻弄され続けた。それに終止符を打ったのが、初代倭王の新しい戦略だったとここでは想定している。この勝利により、倭国連合軍には東国制圧の道が開けることになり、この後、狗奴国と全面戦争へ突入することになる。

伊勢神宮 内宮境内
  このように伊勢国制圧は倭国連合にとってきわめて重要な事件であったといえるが、これに関する記事は、記紀のどこを探しても一言も出てこない。その理由は史実の流れに対する記紀の記述が逆行しているからである。記紀では天照大神を宮廷から出したのが崇神天皇時代、伊勢に遷座させたのが垂仁天皇の時代ということになっている。ところが、日本武尊(やまとたけるのみこと)による東国制圧はその次の天皇である景行天皇の時代とされている。要するに、崇神・垂仁・景行と続く三代の天皇の時代の話となっているのである。
 後で触れるが、日本武尊は初代倭王をモデルとして創作された古代の英雄と考えられる。従って、天照大神の伊勢遷座は東国制圧より、時間的には後になるのである。ところが天照大神の伊勢遷座を垂仁朝としたため、景行朝の日本武尊は天照大神の坐す伊勢国を攻撃する筋書きになってしまうことになった。これはどう考えてもまずい。そこで、書記の撰述者は日本武尊が東国制圧に向かうに際し、伊勢神宮で祭祀を務める「倭媛(やまとひめ)」に会い「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」を貰い受けるという話を創作し、伊勢国攻略の話を消し去ったのである。

 この時代、東国は東国で一大連合国家を構築していたといった考え方もあるが、東国は西国とは異なって、文化的にはワンテンポ遅れていたと見られることから、東国の統一はまだ図られてはいなかったと考えられる。従って、倭国連合軍は大国狗奴国と直接対峙することになった。当然、狗奴国も濃尾平野を中心に周辺に割拠する豪族たちの連合体であったと考えられるが、その盟主たる豪族がいたことは当然考えられる。この一大決戦がどの程度まで行われたのかは分かるはずもないが、どうも最終戦までは持ち込まれなかったようである。最後は休戦協定が結ばれ和解した可能性が強い。その理由は、狗奴国側から恐らく盟主たる豪族の娘と思われる女性が、倭王へ献上されているからである。その娘の名前を「宮簀媛(みやずひめ)」と云う。宮簀媛といえば「日本武尊」の妃となった女性で、尾張氏の出身であることはよく知られている。ここで問題となるのは日本武尊の素性である。専門家の間でも日本武尊は創作上の人物とするのが大勢であるといえるが、特定のモデルを想定するといった考え方より、当時の英雄全体をモデル化したとするのが、一般的のようである。

 しかし、ここでは日本武尊のモデルは存在し、それは初代倭王であると考えている。ただ、誕生に当たってのモデルは初代倭王と考えられるが、この日本武尊には、その後継倭王たちの事跡も多数取り込まれており、その意味で複数の倭王たちの功績を代表している人物といえる。なぜこんな人物が創作されたのかは謎であるが、その理由としては、倭国創建時の記録がほとんど失われ、わずかな記録・伝承しかなかったこと、記紀そのものが倭国の歴史の忠実な記録として編纂されたものではなかったこと、等が考えられる。要するに、ある英雄の記録の断片がある、しかし、記紀の中にその人物の事跡を埋め込もうとしても、その場所がない。あるいは無理に挿入しようとすると、記紀編纂の趣旨に合わなくなるといった問題が起きたということである。このため、日本武尊といった素性不明の英雄を創作し、その中に史実的には数百年にわたる、多くの倭王たちの事跡をその中に放り込んだということである。(続く)

前回の「古代ヤマトの遠景」は、下記からご覧頂けます。
古代ヤマトの遠景(32)・・・【伊勢国制圧】

上記以前の「古代ヤマトの遠景」のバックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

お知らせ
建築・建材展2009 出展のご案内

 快適・健康・安全な住環境・商環境の実現に向けた様々な情報を発信する、建築・建材展が以下の通り開催されます。
  塩ビ工業・環境協会、樹脂サイディング普及促進委員会は、「健康・エコロジー建材ゾーン」に出展いたします。

・日 時 2009年3月3日(火)〜3月6日(金)
10:00〜17:00(最終日のみ16:30終了)
・場 所 東京ビッグサイト 東5・6ホール
(VEC小間番号:AC5117)
・主 催 日本経済新聞社
・入場料 当日一般 1,500円
下記HPより事前登録いただくと無料となります。
 https://www.shopbiz.jp/w/?page=Prereg&action=form&expo=ac
・建築・建材展2009のホームページをご覧下さい。
 http://www.shopbiz.jp/top/index_AC.html?PID=0003&TCD=AC

編集後記
 天気が安定しない日が続き、例年より早い季節の変わり目を感じさせます。今週のトピックスは、久しぶりの海外活動状況でした。いろいろと環境負荷の少ない製品が見直されている昨今、塩ビがアジアの経済発展に貢献できることを願っています。
 さて、ある新聞に、3月22日開催の「東京マラソンのコースを歩いて見れば」という体験記が載っていました。事務所の近くがマラソンコースになっていることに親しみを感じ、またメタボ気味の身体にもいいだろうと先週の週末、スタートとなる東京都庁から日比谷公園までの10kmに挑戦してみました。途中でコースをはずれ、お店を覘いたり寺社に寄ったりのぶらぶら歩きで、足の裏はジンジン、太ももはパンパンでした。しかし、何とも言えぬ心地よさが残り、次回の10kmコースが楽しみになってしまいました。皆さんも挑戦してはいかがですか?(HI)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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