APVN(アジア太平洋塩ビネットワーク)は、メンバーであるアジア太平洋地域の塩ビ関連会社と連携し、環境問題を通して塩ビの普及活動を行っています。中でも塩ビパイプの普及活動は現在の最重要課題であり、VECは塩ビ製品の普及とアジア太平洋地域の水資源確保のため、この活動を積極的に支援しています。
ある調査レポートによれば、世界のプラスチックパイプは2012年までに年間4.5%の伸びがあると予想され、特に中国、インドなどアジア・太平洋地区、東ヨーロッパ、ラテンアメリカ、アフリカでの需要が大きく伸びると期待されています。プラスチックパイプは軽量でコスト的に他の素材より優位であり、耐食性も高いことからかつてのコンクリートや金属パイプが使われていた分野においても使用が拡大しています。こうしたプラスチックパイプ需要のうち、塩ビパイプは約3分の2(2007年)を占めていると同レポートでは記しています。
なお、経済産業省の資料によれば、日本は、2007年のプラスチックパイプの素材別使用比率は、87%が塩ビです。
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会議風景 |
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VEC講演資料より |
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米国塩ビパイプについての講演資料より |
さて、このたびフィリピンのAPVNメンバー会社から、2月12日、13日、セブ島とマニラで開催される塩ビパイプ普及活動に向けた講演会にて、「日本の塩ビパイプリサイクル事情について」の講演依頼がありました。如何に長寿命の塩ビパイプでも、建物の解体や施工時の端材が廃棄物として排出されるため、そのリサイクルについて世界で重要性が高まっています。日本では、古くから一部の塩ビパイプを塩ビパイプに作り変えるいわゆる「パイプtoパイプ」のリサイクルが行われ、パイプリサイクルの先進国です。1998年以降、塩化ビニル管・継手協会は、建物の解体現場から出る使用済み塩ビパイプを含めた全国的なリサイクルシステムを構築し、更なるリサイクルを推進しています。
今回のフィリピンでの講演会に向け、VECでは塩化ビニル管・継手協会の協力を得て講演資料をとりまとめ、セブ島での30th PAWD National Convention会議では、フィリピンのメンバー会社の技術マネージャーがその資料を用いて講演を行いました。また、マニラ市内で開催された産業界や政府関係者との会合には直接参加して、日本の塩ビパイプリサイクルへの取り組みについて説明しました。また、今回APVNの要請により米国のパイプ協会より技術専門家が講師として参加し、「北米の塩ビパイプの経験」について講演を行い、米国では、経年劣化した金属パイプから大量の飲料水が漏水しており、その代替材として耐久性と施工性の良さから塩ビパイプが使われている事例が紹介されました。会合には、水道局などのフィリピン政府関係者をはじめ、塩ビパイプ製造会社や建築関係者、環境NGOらが50人以上集まり、熱心に耳を傾けてくれました。講演後、参加者からフィリピンでの使用済みパイプ収集システムの構築についてアドバイスを求められ、その意識の高さがうかがえました。また、リサイクルパイプの用途等のパイプ関連のみならず、塩ビの環境貢献などについて幅広い質問が寄せられ、多くの関係者と塩ビに関する正しい情報を共有する大変良い機会となりました。VECはAPVNの中心メンバーとして、今後も塩ビ普及活動を通じてアジア太平洋地域の社会発展の支援を積極的に推進します。(了)
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