NO.08
発行年月日:2006/06/15

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トピックス
◇新築家屋でも、塩ビ製品起因の室内空気汚染はありません。
塩ビ壁紙、塩ビ床材からの可塑剤(DEHP)放散量は、指針値のたかだか2%程度

随想 
古代ヤマトの遠景(8)—【歴史の改竄】—

信越化学工業(株) 木下清隆

お知らせ
編集後記

トピックス
◇新築家屋でも、塩ビ製品起因の室内空気汚染はありません。

塩ビ壁紙、塩ビ床材からの可塑剤(DEHP)放散量は、指針値のたかだか2%程度


 生活水準をぎりぎり切り詰めて資金を貯め、念願の新居を手に入れる。これは誰しもが思い描く、人生の一大事業の一つでしょう。
 そうやって、喜び勇んで入居した新居で、頭痛が続いたりクシャミや鼻水が止まらなかったり、身体の調子を崩すケースがままあるようです。世にいう、シックハウス症候群です。

 こういった症状に対応すべく、厚生労働省が1997年より順次、室内空気中化学物質濃度の指針値なるものを設定して、この濃度以下になるよう啓発しているのはご存知でしょう。対象となる化学物質13種類の中に、塩ビ製品と関係のある、可塑剤の一種フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(以下DEHP)が含まれています。このDEHPは、建材として利用される、塩ビ壁紙や塩ビ床材に配合されているものです。DEHPの室内濃度指針値は、120μg/mと設定されました。

 「やっぱりそうか。塩ビというのはこんな所でも悪さしているんだ。だから、塩ビ製品なんて使わないのが一番だぞ。」
 なんて声が聞こえてきそうですが、チョッと待った、お立会い!

 厚生労働省がこの13物質を名指しして指針値を作った理由が、指針値設定時に明確にされています。DEHPを何故指定したか? その理由は、「広い用途に利用されており、広い範囲で検出されていること」および「パブリックコメント時の要望が強かったから」というものでした。つまり、シックハウス症候群に関係ありとも、環境ホルモン性があるとも、一言も触れていないのです。
 さらに、この厚生労働省の指針値設定に対応して、東京都では1999年から2000年にかけて、都内の住宅やオフィスビルのDEHP濃度を測定・調査しました。その結果、調査した92例の住宅室内空気濃度は最高値でも2.4μg/m、50例のオフィスビルでの最高値も0.83μg/mと、指針値の2%以下でした。

室内空気サンプリング風景
 このデータだけでも、塩ビ建材に掛けられた疑いを晴らすには充分なのでしょうが、私たちは独自に突っ込んだ確認実験をしました。2003年末から2004年末にかけて、塩ビ製品業界や、可塑剤業界と共同で、2階建てのモデルハウスの室内に、塩ビ壁紙や塩ビ床材を施工し、施工後1年間に渡って室内空気中のDEHP濃度を追跡測定したのです。
 その結果は、施工後数ヶ月間の室内濃度は1μg/m前後でしたが、その後若干下がり、0.6μg/m前後で推移しました。この結果は東京都の調査結果ともほぼ似通い、指針値のほぼ2桁ダウンで、DEHPの安全性の更なる証明となるものでした。

 この実験結果は2005年度に日本建築学会および室内環境学会で報告され、関係者の関心を呼びました。特に、大手ハウスメーカーなどでは、このデータなどに基づき、塩ビ建材の再評価に踏み切るケースが多く、住宅用建材としての塩ビの良さが見直される傾向が出てきています。
 塩ビ建材には、シックハウス症候群との関わりはなさそうです。どうか、安心してお使いください。

 厚生労働省の「13物質を指定した理由」は下記に掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0107/h0724-1.html

 日本建築学会で発表された資料はこちらからご覧頂けます。
[PDF] 建築学会学術講演梗概集(543KB)

 室内環境学会の総会で発表された資料はこちらからご覧頂けます。
[PDF] 室内環境学会講演集(621KB)

随想

古代ヤマトの遠景(8)—【歴史の改竄】—

信越化学工業(株) 木下清隆


 前回、蘇我氏が自分たちの出自を韜晦するために、『帝紀』『旧辞』を改竄したと述べたが、具体的に何をやったかである。その一端が先に述べた天皇の水増しである。神武天皇以下九名の天皇を創作した。更に倭国の建国を西暦紀元前660年に遡及させた。これは辛酉(しんゆう)革命説に基づいていると言われている。

 古代において年と日は、それぞれ干支を用いてカウントした。干支は良く知られているように60回周期となっている。年の場合は60年周期となるが、これを1元といい、21元を1蔀(ぼう)という。1蔀、即ち、1260年毎の辛酉年に革命がおきるという思想である。

 蘇我氏は推古9年が辛酉年に当ることから、この年を起算年として1蔀前の昔に神武天皇による革命、即ち倭国の建国が行なわれたと定めたらしい。
 推古9年は西暦601年になることから、神武建国は紀元前660年になる。初代倭王は、卑弥呼の後継者、壱与の後に誕生した可能性があると考えられることから、その誕生は260年頃と推定される。
 この260年から数えると神武即位はおよそ900年前になる。この900年間に9代の天皇を創作して配したことになる。従って、古い天皇ほどその没年齢が高く、軽く100歳を超えることになる。

崇神天皇陵
 このような非現実的な問題の発生をものともせずに、蘇我氏は新しい皇統譜を作り上げた。その最大の理由は、現実の歴史上の倭王ではなく、その創作上の天皇に自分たちの系譜を結びつけることにあったからである。
 蘇我氏が選んだのは第八代の孝元天皇である。古事記によれば、この天皇を祖とする氏族は32氏に及び、一人の天皇にぶら下がる氏族の数としては最大である。
 更に神武から開化天皇までの、創作されたとみなされる9代の天皇を祖とする氏族は、144氏にもなる。これら氏族が仮想の天皇を祖としているということは、歴史上の天皇より遥かに古い歴史を彼等が持っていたということである。具体的にいえば、紀元260年以前に彼等の祖は、特定の地域で勢力を持ち始めたと解釈されよう。要するにそのルーツは、縄文時代・弥生時代に遡るということである。
 当然、彼等の祖は地方の名も無い人物のはずである。それが、蘇我氏の計らいで天皇家に繋がることが出来るのである。こんなチャンスは千載一遇である。恐らく彼等は蘇我氏に対し、土地の寄贈でも何でもやったに違いない。
 しかし、こんなでたらめな系譜でも、一旦出来上がるとそれなりに真実らしく見えてくるものである。だから9世紀初頭に撰上された『新撰姓氏録』にはもっともらしく、その系譜が記載されたのである。

 このように天皇家は神武天皇に始まることになり、そのことが書紀には、「始馭天下之天皇」と書かれている。これは「はつくにしらすすめらみこと」と読まれている。
 ところが驚いたことに、もう一人初代の天皇が存在し、そのことも記録されている。それは第10代の崇神(すじん)天皇である。この天皇については「御肇国天皇(はつくにしらすすめらみこと)」と記されているが、読みは同じとなっている。
 このように書紀には二人の天皇が初代のように書かれているが、古事記では崇神天皇のみに「初国知らしし御真木天皇」が冠されている。

 このような記録を見る限り、素直に解釈すれば崇神天皇が初代の天皇ということになる。この人物が壱与の後継男王、即ち初代倭王とみなされることになるが、記紀に残されている崇神天皇の事跡をそのまま、初代倭王の事跡とすることは出来ない。それは二人が置かれている時代背景が全く異なっているからである。(続く)

前回の「古代ヤマトの遠景」は、下記からご覧頂けます。
☆    古代ヤマトの遠景(7)・・・【蘇我氏】

上記以前の「古代ヤマトの遠景」のバックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

お知らせ
【NEW】 上越市環境フェア2006 出展案内

 樹脂サッシ普及促進委員会では、環境保全・改善について市民の意識高揚を促すための総合的な普及活動の場として開催される、「上越市環境フェア2006」に出展し、塩ビサッシ、塩ビサイディングのご紹介を致します。

・日 時 2006年6月25日(日)
9:00〜16:00、入場無料
・場 所 上越市市民プラザ
上越市土橋1914−3
・主 催 上越市
・目 的 1.市民への環境配慮型商品の普及啓発
2.省エネ・ライフの推進
3.グリーン購入の推進
4.関連企業同士の情報交換及び連携

【NEW】 NHK総合テレビで環境ホルモンに関する番組を放送。

6月28日(水)20:00−20:43に放送される「ためしてガッテン」にて、環境ホルモンが取り上げられます。
『?にお答えします 環境ホルモン』と題して、視聴者から寄せられた疑問・質問に答えます。
是非、ご覧下さい。

番組の詳細は以下のアドレスよりご覧頂けます。
http://www.nhk.or.jp/gatten/schedule/index.html

PVC Newsが6/19に発行されます。

 PVC News 57号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されます。
記事の一部をご紹介致します。

   ■トップニュース
    高まる、塩ビ製品の環境評価

   ■視点・有識者に聞く
    メディアは 「科学」 をどう伝えるべきか
     読売新聞 編集委員 小出 重幸氏

   ■リサイクルの現場から
    リファインバース(株)のタイルカーペット再資源化事業

   ■インフォメーション(1)
    塩ビサイディングはエコ建材。環境の実態が明らかに

   ■インフォメーション(2)
    省エネ住宅の切り札 「樹脂サッシ」 の最新事情

その他、塩ビに関する最新情報をお届け致します。

・PVC Newsバックナンバーは、
塩化ビニル環境対策協議会のHPよりご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/
編集後記
 数日前、所用で休暇を取って出かけて帰ってきたら、家人が色をなしてお出迎え。「どうした?」と聞いたら、「あなた、大変よ!」と。
 曰く、H2の留守に某警察署のAと名乗る人物から電話があり、「ご家族の自動車が某市某町の信号機付近で交通事故を起こした。ついては事故の内容をご連絡する」とか。聞くと、うら若き女性に怪我をさせたという。
 最初はうろたえかかった家人、気を取り直して(電話の主も新人風で、蚊の鳴くような声だったせいもあるらしい)「ところではねた人は誰なの?」と聞くと、「H2」とのことで名前はちゃんと調査済みだった様。
 ところが家人、その瞬間、思わず高笑い。相手もギョッとしただろうが家人曰く「ちょっとぉ、ウチのH2は自動車の免許持ってないわよ!」。途端に電話はガチャンと切れたそうです。

 いやあ、世の中、怖いですねえ。皆様も注意してくださいよ。
 自動車の運転ができないというのも、たまにはいい事あるもんだ。(H2記)

先週の編集後記についての読者からのお便り・・・[編集後記後]

メルマガの編集後記に階段の登降の話がありましたが、私の経験から一言。現役時代は地下鉄丸の内線・銀座線(日比谷線)と比較的浅い古い路線、エスカレーター、エレベーターなしの駅を、ついでに言えば暖冷房もほとんどないのを使っていましたが、家を出てから勤務先まで、そして若干の外歩き、帰宅まで、何度か数えてみましたが、大体一日300から350段を上がり、それだけ下っていた記憶です。まあ気にも掛けずに20階のビルを上下していたことになりますか。
階段一段の上り下りは平坦地10歩分のエネルギーを使うと何か読んだことがありますから、これだけで6,000歩分、我が家から最寄駅まで900歩、事務所まで500歩、往復で2,800歩、それに昼食に出たり何だかで、通勤時代はあわせて一日1万歩は軽くこなしていたことになります。今は駅に行けばエスカレーターを探し、万歩計などで、まだかと思うなど哀れなものです。
気張らずに精々ガンバッてください…(伊澤様)

先週の編集後記をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.vec.gr.jp/mag/082/index.html#kouki

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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