NO.117
発行年月日:2007/02/22

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トピックス
◇我輩は猫砂、猫のトイレである。
  壁紙の新しいリサイクル、ペット用品素材への再資源化

随想
価格破壊と産業破壊−価格破壊が環境を壊す?(連載2)
国際連合大学 上野 潔
お知らせ
ENEX2007 第31回地球環境とエネルギーの調和展 出展案内
建築・建材展2007 出展案内

編集後記

トピックス
◇我輩は猫砂、猫のトイレである。
    壁紙の新しいリサイクル、ペット用品素材への再資源化

 今年も沢山の年賀状をいただきましたが、ワンちゃん、猫ちゃんと一緒の家族写真を印刷したものもいくつかありました。ペットも家族の一員であり、ペットというよりも家族を癒してくれる大事なパートナーなのでしょう。それだけにホームセンターをのぞくと昔は考えられなかったような多種多様なペット商品が並んでいます。避妊後の雌猫ちゃん、去勢後の雄猫ちゃん専用フードといった商品があるのにはびっくりしました。
 こうしたペット関連商品のなかで広い売場面積を占めている商品に“猫砂”があります。“猫砂”といってもペットを飼っておられない方には耳新しい言葉かもしれませんが、要は猫ちゃんのトイレに使う吸収素材のことなのです。

我輩は猫砂のユーザー様である
ペット商品コーナーの様々な猫砂
 昭和30年代、我々団塊と呼ばれる世代が小中学校の時分、我が家でも犬、猫を飼っていました。犬の餌は朝ご飯の残りに味噌汁をかけたもので済ませていたし、猫は自力で調達していたのでしょう、餌をやった記憶はありません。犬の生活圏は家の外、猫は家の内外で生活していました。彼らのトイレは、犬は犬小屋の周辺、猫は自分の縄張りのどこかであり(我が家の猫は物置の炭俵のうえがお気に入りのトイレだったようで、火鉢にくべた木炭の強烈な臭いに悩まされた)、ペットフードや“猫砂”とは無縁の時代でした。
 こうしたペット達の生活環境は年とともに大きく変わり、特に都会のマンションでは彼らの生活圏も室内に限定され、密室空間でペット(パートナー?)と一緒に快適に過ごすにはトイレ空間が必要となってきます。今日のトピックス“猫砂”が誕生してきた背景もここにあります。

 “猫砂”にはシリカ等の無機系、紙系、木質系、おから系など、いろいろありますが、その中でも最近、特に伸びてきているのが紙系のものだそうです。表面に抗菌処理を施し、防臭機能をもたせ、軽くて、吸水力があり、ほこりが発生しにくいなどの理由から伸びているのだそうです。またマンションでペットを飼う人には若い女性やお年寄りが多く、軽くて持ち運びが楽ということも大事な点なのです。

 何故、今回“猫砂”を取り上げたか、といいますと、最近伸びているこの紙系の“猫砂”の原料素材に塩ビ壁紙の工場端材が適していることがわかり、主要素材のひとつに使われるようになってきたからです。工場端材だけでなく、発生量の多い新築やリフォーム現場からの施工端材、廃材なども使用が検討されているときいています。塩ビと紙からなる塩ビ壁紙が建材としてお役目を果たした後、今度は“猫砂”として再びお役に立てるわけです。マテリアルリサイクルの進んでいる塩ビ製品のなかで、これまで比較的リサイクルがむずかしいとされてきた壁紙の新しいマテリアルリサイクルが生まれつつあります。

随想
価格破壊と産業破壊−価格破壊が環境を壊す?(連載2)
国際連合大学 上野 潔

 企業人も自宅に帰れば一人の消費者です。だから少しでも価格が安いことは歓迎です。
 昔からよくいわれるのが、家電製品の修理費用の高さです。ビデオなどは修理すると2万円、新品を買うと1万円で買えると言われます。そんな人に私はこう言います。「修理する人はあなたのお父さんやご主人かもしれませんよ。」「引取り修理して配達すればその人件費だけでも当然そのくらいはかかりますね。しかも修理技術には専門の資格が要るのですよ。」「美容室に行けばカット、パーマ、洗髪、カラーリング、美顔術で3時間かけて2万円払うでしょう?」これで大抵は納得していただけますが、「でも修理は高い!!すぐ新品を買わせようとする。」というのが正直な感想でしょう。

 本当は、修理費用が高いのではなく製品価格が安すぎるのですが、そんな説明は通用しません。自動車の修理費用にたいする不満が少ないのは保険が普及していることもありますが、やはり新車の価格が高いことにあると思います。300万円の車のドアが凹めば30万円くらいは当然と思いますよね。しかも保険を使えば1万円くらいで済むのです。
 全ての製品が日本国内で組み立てられていれば、電気製品の購入価格はいまの10倍くらいになることでしょう。日本は海外の安い労働力で組み立てた製品を輸入して購入しているのです。そんな経験をアメリカはとっくに味わってきました。修理は高くて遅い。(いや、アメリカの修理費は安いと言う在住経験者がいるかもしれませんがアメリカの人件費は意外に安いのです。)

 実は、同じ悩みがリサイクルプラントでこれから起ころうとしています。当然のことながらリサイクルプラントは、自国で廃棄された使用済み製品をリサイクルします。(まさか、組立ては海外だからリサイクルも海外に持って行けばよい、なんて言わないでしょうね。)
 優れたリサイクルプラントでは、手解体工程が重視されます。環境先進国といわれる欧州のリサイクルプラントは機械破砕と自動選別が主体です。人手を掛けないということ以上に、多くの国から成り立つEU(今年から27カ国)は、製品種類も多く、分解しにくく、製品ごと、企業ごとにリサイクルを評価することが困難だからなのです。

「家電リサイクル」
(エアコン、テレビ、
冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機)
 90種類を超える電気電子製品を対象にして、社会コストミニマムを考えたEUのリサイクル方式では、環境配慮設計(DFE:Design For Environment)などのメーカー個別のインセンティブは働かないのです。日本の家電リサイクルでは、企業ごと、製品ごとのリサイクル指標が毎年公表されています。10年後を目指して日本の企業は製品の易分解性(DFD:Design For Disassembly)や、環境負荷低減のためにプラスチックの素材自己循環(Closed−loop Recycling)を実現しつつあります。

 このような、システムに対して「コストを安くしろ!!」と要求すれば答えは簡単です。
 日本企業が従来からもっとも得意としてきた「安く、早く、大量に」の思想でリサイクルの人手を減らし「自動化まっしぐら」しか方法はありません。これから、定年が延長され多くの企業で65歳まで人々は働けるようになります。将来は海外からも、もっと沢山の労働者が日本に来るようになるでしょう。家電リサイクルプラントでは、既に2、300名を超える直接の新規雇用が生まれています。おそらくプラント周辺の間接雇用や技術開発に関わる研究者を入れるとその数倍の雇用が発生していることでしょう。
 民間企業ですから効率をもっと上げることは当然のことですが、日本が世界に誇るリサイクルプラントは、熟練した労働者の手による手解体が主流になっていいのではないかと思います。

 新製品を購入する時とは異なり、使用済み製品のリサイクル料金には多少の費用を払うことに理解をしてもいいのではないでしょうか?
 塩ビ業界などのプロセス産業の皆さんとは一味異なる価格感だと思いますが、感想をお聞きしたいものです。

 前回の「塩ビ復権と組立産業の心配(連載1)」は、下記からご覧頂けます。
 https://www.vec.gr.jp/mag/114/index.html#zuisou

お知らせ
ENEX2007 第31回地球環境とエネルギーの調和展 出展案内

[大阪会場]
 ・日 時:2007年2月22日(木)〜2月24日(土)
      10:00〜17:00
 ・場 所:インテックス大阪2号館
       大阪市住之江区南港北1−5−102

 ・目 的:1.省エネルギー・新エネルギーの最新技術の紹介と、
        導入促進・機器普及のための最新情報や導入事例情報の提供
      2.生活者に対する省エネルギー意識の醸成と実践行動の動機付け
 ・主 催:財団法人 省エネルギーセンター
 ・入場料:無料
 ・プラスチックサッシ工業会に協力し、樹脂サッシ普及促進委員会
  にて出展致します。
 ・ENEX2007 ホームページをご覧下さい。
http://www.enex.info/


建築・建材展2007 出展案内

 快適・健康・安全な住環境・商環境の実現に向けた様々な情報を発信する、建築・建材展が以下の通り開催されます。
 樹脂サッシ普及促進委員会では、社団法人日本建材・住宅整備産業協会のブース内に出展し、内窓取り付け実演を実施する予定です。

 ・日 時:2007年3月6日(火)〜3月9日(金)
      10:00〜17:00(最終日のみ16:30終了)
 ・場 所:東京ビッグサイト  東5・6ホール
      東京都江東区有明3−21−1
 ・主 催:日本経済新聞社

 ・入場料:当日一般 1,500円
      下記HPより事前登録頂くと無料となります。
      (3月5日(月)まで)
https://www.shopbiz.jp/pages/t_index.phtml?PID=0005&TCD=AC

 ・建築・建材展2007のホームページをご覧下さい。
http://www.shopbiz.jp/top/index_AC.html?PID=0003&TCD=AC


編集後記
 2月も後半となり通常ですと、寒さも峠を越えてと言うところですが、今年は暖冬かつ気温の変動が大きく、挨拶文にも困ってしまいますね。地球温暖化については賛否両論ありますが、このような状態が続くと今まで考えていなかった人も、温暖化対策について考え始めるのではないでしょうか。こういうと”あっ、サッシの話が始まるな”と思われるでしょうから、この話は終わりにします。
 随想では環境コスト、産業構造などを家電リサイクルと結びつけて紹介されました。リサイクルでは易分解性設計を含め日本が世界をリードしているようで家電業界にエールを送りたいですね。
 また、紹介されている猫砂もおもしろいですね。昔は本当の砂を使用していたことを覚えていますが、塩ビ壁紙がこのようなものに使用できるなどとは思いもしませんでした。今、ひょんなことから文鳥を飼っていますが、鳥かごにも使えるのではと考えている次第です。(可)

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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