NO.130
発行年月日:2007/05/31

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トピックス
◇「地球にやさしい塩ビ需要の拡大」実現
 − 土屋会長 VEC総会後懇親会にて強調 −

随想

一流の技術者とは?(連載6)

国際連合大学 上野 潔

お知らせ
【NEW】エネルギーソリューション&蓄熱フェア 2007
     出展案内
【NEW】時代にあった高性能・高耐久住宅は?
     =ハイクオリティな家づくりセミナーのご案内

編集後記

トピックス
◇「地球にやさしい塩ビ需要の拡大」実現
 − 土屋会長 VEC総会後懇親会にて強調 −

 塩ビ工業・環境協会になってから記念すべき10回目の総会・懇親会を5月25日に開催しました。懇親会には報道関係、官庁、関係業界などから100名を超える方々に参加いただきました。冒頭、土屋会長は懇親会で今後のVEC活動の5重点課題について説明し、これらの活動を通して、減退傾向にある国内需要を関係者のご支援を得て「地球にやさしい塩ビ需要の拡大」を実現したいと挨拶しました。続いて、来賓の経済産業省製造産業局 照井次長から祝辞をいただき、前田副会長の発声で乾杯を行った後、歓談に移りました。VEC役員とのなごやかな内にも活発な議論がなされ、大変盛況に終わりました。
 以下に、土屋会長の挨拶を掲載いたします。

塩ビ工業・環境協会 会長 


VEC  土屋会長
懇親会風景
 本日はご多用中にも拘りませず、このVEC総会後の懇親会に、経済産業省製造産業局の照井次長をはじめとして関係官庁の皆様、塩ビユーザー・商社の皆様、マスコミ各社の皆様そして塩ビに関し何時もお世話になっている皆様、多数ご出席賜り、誠に有難うございました。
 まず、塩ビ並びにVECに対する日頃のご理解とご支援に厚く御礼申し上げますとともに、新しい年度を迎えるに当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。

 昨年度の懇親会でご説明いたしましたが、VECは四つの重点課題に取り組んで参りました。
 まず第一点目は、リサイクルへの取り組みでございます。リサイクルについては、塩ビ加工会社の皆様と構成している塩化ビニル環境対策協議会・JPECと協同して「リサイクルビジョン」をとりまとめ、先ほどマスコミの皆様に発表致しました。
 このビジョンを取りまとめる過程において、私共が認識していた以上に塩ビをリサイクルしている、またはリサイクル出来る手段や施設が数多く存在し、稼動しているのだということを再認識でき、大変有難く、また頼もしく感じた次第でございます。
 さらに、昨年には年26千トンと大きな処理能力を持った「ビニループ・プラント」が稼動したことも私どもにとっては明るい話題でありましたし、キャパシティの大きい「セメント工場でのクロルバイパス設備」も出現してきております。VECとしては、関連業界の皆様とともに、今後5年間で20億円の資金をこのリサイクルの進展のために投じていくとともに、関連の皆様に対するリサイクルに関する情報提供や、リサイクル品の市場拡大にも積極的に取り組んでいく所存であります。

 第二点目は、建材分野での市場拡大であります。VECでは、従来から各地での展示会やセミナーなどでサッシ・サイディングの有用性についてアピールして参りました。地球温暖化問題が益々注目されるようになった今日、その有用性が評価され、昨年10月環境省の本庁舎に塩ビサッシの内窓が採用されました。これは環境問題における誤解により苦難の道を歩んできた塩ビ業界にとっては実に画期的な出来事でございました。冷暖房の省エネルギーに格段に優れた塩ビサッシの普及に大きな弾みがつくものと期待しています。

 第三点目、四点目は、塩ビ忌避に対する継続的対応と、関連諸団体との連携強化でございます。これらにつきましても、的確な情報発信により、「国土交通省の建築設備設計基準」や「ユーザー企業のガイドライン」が修正されつつあるなど、一定の成果を挙げつつありますし、マスコミ関連でも、日経エコロジーに「塩ビ復権」の特集を組んでいただく等、ご理解が一層進んだものと考えております。また、先程のリサイクルビジョンでご説明いたしましたJPECとの協調のように、内外の関係諸団体との連携も更に進められたものと考えております。

 これら4つの重点課題を更に進めるために、今年度は次の5点を重点課題として定めております。
 第一点目は、「リサイクルビジョンに基づき、塩ビ加工団体の皆様と協力して、最終需要家への働きかけを強化し、リサイクル問題に起因する塩ビ忌避の解消をはかる」ことでありますが、これは先程申し上げたとおりでございます。

 第二点目は、「塩ビが、地球環境を保持し、持続発展的な社会を実現するに当たって有用なサステイナブルな素材であることを、これまで以上に発信し、塩ビに対する偏見が一掃されるよう取組む」ということであります。塩ビは原料の約6割が地球上に無尽蔵に存在する食塩であり、原油価格の高騰によって他のプラスティックに対し価格優位性は歴然たるものがあり、また、耐久性に優れ、ライフサイクルが長く、省資源に最もかなう樹脂であります。地球環境に対する塩ビの優れた特性を、一般消費者やユーザーの皆様にご理解いただき、我々自身もさらに深く理解して、需要喚起を図っていきたいと考えています。

 第三点目は、「従来に引き続いて、サッシ・サイディングを中心に、建材分野での塩ビ市場の拡大を図る」ことでございます。環境省で作っていただいた良い流れを一層加速できるように取り組んで参りたいと存じます。

 第四点目は、「国内外における塩ビに対する不当な規制や忌避に的確に対応し、世界的に塩ビ産業の振興活動を推進するため、海外諸団体との国際的連携を強化する」ことであり、最後に第五点目は、「工場関連環境保安問題への取り組みや、関連諸団体との協働を円滑かつ効率的に進める」ことであります。

 これらの活動を通して、減退傾向にある国内需要を反転させたいと存じますが、ここにご出席の皆様のご理解とご支援を得て、「地球にやさしい塩ビ需要の拡大」を実現したく、そのことを最後にお願い申し上げましてご挨拶とさせていただきます。
 本日は誠に有難うございました。

随想
一流の技術者とは?(連載6)
国際連合大学 上野 潔

 昔は、一流の会社には一流の技術者が集まりました。一流会社に入ることに学生は憧れ、大学や高校も誇りにしました。すべて過去形で書いたのは、最近とてもそうとは思えない広告宣伝を一流会社が始め、とても恥ずかしい製品を一流といわれた会社が製造し始めたことです。残念ながら、環境と健康の分野にそれが目立つような気がします。そのような製品は、「安井至の市民のための環境学ガイド:http://www.yasuienv.net/」に時々紹介されているのを皆様もご存知でしょう。
 一流の会社には、効果の疑わしい現象には疑問を持つ技術者がいて、試作はしても売り出すのを止める管理者がいて、売れさえすればよいとする宣伝を許可しない経営者がいたものです。「恥ずかしい」という気持ちを上から下まで持っていたのでしょう。

 環境も健康も科学的な因果関係がはっきりするのに時間と労力がかかります。地球温暖化も、オゾンホールの拡大も、危険物や発ガン性物質の特定も、科学的な検証には費用と専門知識が必要です。そこから「疑わしいものは因果関係がはっきりしなくても排除しよう」という予防原則の考え方も生まれました。しかし、予防原則の本来の趣旨とは異なる、いかがわしい健康食品や健康器具、環境製品が付け入る余地を生んでしまったようです。昔はそういう製品には一流会社はかかわりませんでしたし、騙されたほうが恥ずかしい思いをしたものです。
 「省エネ製品」、「小型軽量化」、「リサイクルしやすい製品」が求められることは当然であり、「資源の無駄遣いをやめる設計」は言うまでも無く普遍的に必要なことです。しかし最近は、びっくりするような一流企業が地球環境や健康を考えた製品を売り出しています。そういうことを話題にした本が良く売れ、テレビや新聞も報道します。その効果は本当だろうかと疑問を持っても受け入れられない雰囲気になったのでしょうか?

 私は従来から企業の存続には「遵法」「同業他社との競争」「市場での勝利」の3点が必要であると主張しています。しかし「法律に違反さえしなければ」「他社がやっているのだから」「市場で売れるのなら」という判断基準だけで行動してしまう企業トップとそれに従う技術者が増えたのではないでしょうか。「そんなものは作ったら恥ずかしい」「そういう企業にいることが恥ずかしい」「世間に顔向けできない」「研究室や同窓会に顔を出せなくなる」などという発想がなくなってしまったようです。

 野火のごとく広がる風評被害や、科学的な論拠のない忌避運動が起きたとき、経営者や技術者は真実を追究して戦っているのでしょうか?「鉛フリーはんだは環境にいいから」「塩ビを使わないから環境に優しい」「新聞に書いてあるから正しい」「NHKで放送されたのだから」という雰囲気になっていないでしょうか?
 入社したときは一流だった技術者諸君に早く目覚めてほしいものです。(了)

前回の「製造文化の闘い −欧州WEEEの見直しが始まる−(連載5)」は、下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/128/index.html#zuisou 

お知らせ
【NEW】エネルギーソリューション&蓄熱フェア 2007 出展案内

 下記の要領にて「エネルギーソリューション&蓄熱フェア  2007」が開催されます。
 塩ビ工業・環境協会、樹脂サッシ普及促進委員会、樹脂サイディング普及促進委員会にて出展します。
・日  時

:2007年6月6日(水)〜8日(金) 10:00〜17:30

・場  所 :インテックス大阪4号館
・主  催 :蓄熱フェア実行委員会
・入場料 :無料
・エネルギーソリューション&蓄熱フェア
       2007のホームページをご覧下さい。
       http://www.kepco.co.jp/chikunetsu/

【NEW】時代にあった高性能・高耐久住宅は?
     =ハイクオリティな家づくりセミナーのご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し講演を行ないます。
セミナー後には、実際に塩ビサイディングでリフォームを行なった住宅の見学会も行う予定です。
(こちらのセミナーは、建築士会継続能力開発(CPD)制度認定プログラム(3単位)です。)

・日  時

:2007年6月18日(月)13:00〜18:00(受付12:15)

・場  所 :ビッグパレットふくしま 小会議室2,3
 福島県郡山市安積町日出山字北千保19−8
・主  催 :株式会社日本住宅新聞社
・参加費 :無料

・参加申込み締切り:6月11日(月)
       (定員70名になり次第、締切らせて頂きます。)

 ※参加希望の方は下記までお問合わせ下さい。
      株式会社日本住宅新聞社
        電話:03(3823)2511

編集後記
 今総会ではVECの今後の活動方針として、リサイクルへの取組を重点課題のトップに取り上げ、同時に発表したリサイクルビジョンに基づき活動し、塩ビの需要回復を図っていくとされました。「塩ビ工業協会」から「塩ビ工業・環境協会」に変わった頃はダイオキシンが大きな社会問題となり、塩ビがこの原因であると言われ、塩ビの国内需要は大きく落ち込みました。このイメージがTR/焼却時の問題として未だに残存し、塩ビ業界は苦しめられてきました。今回のリサイクルビジョンの中では、多くの施設で問題なく塩ビを処理していることが述べられ、このイメージも払拭されるのではないでしょうか。
 石油節減の面で元々サステイナブルな塩ビは、リサイクルにより更にサステイナブルにできるとも述べています。VECになってから10年目の今年は、今までの受身、守りの活動から、需要回復を目指したより積極的な活動へと変わっていく節目の年ではないでしょうか。以下にリサイクルビジョンの要約を掲載しておきます。(可)

リサイクルビジョン
—私たちはこう考えます—

(1) 塩ビは3Rに適した素材です。
(2)

塩ビ産業界は、環境合理性、経済合理性に基づいて、社会に貢献する塩ビのリサイクルシステム構築を推進します。

塩ビリサイクルシステムの拡充と技術開発のため、今後5年間で20億円以上の資金を投入します。

塩ビリサイクル活動の窓口として、リサイクルに関する相談受付と情報の提供を行います。

塩ビリサイクル品市場の拡大を推進します。

リサイクルビジョンについては下記URLをご覧下さい。
またこの作成経緯、内容などについては次号でご紹介する予定です。
https://www.vec.gr.jp/topics/new74.htm

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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