◇塩ビターポリンの雨水貯留槽 − わずかな費用で都市洪水を予防 − |
(株)ナショナルマリンプラスチック 吉田貴裕
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JR立川駅のホームの下に当社の雨水貯留用水槽が設置されます。7月中に完成予定です。
大気が不安定になるこの時季、ごく短時間に狭い範囲で大量の雨が降る。地面に、屋根に、ビルの屋上に落ちた雨は、流れて下水道に集まる。設計流量を超えオーバーフローすると地盤の低い所へ溜まる。いわゆる都市型洪水のシナリオです。ここ数年、特に被害が目立ちます。
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JR駅ホーム下に設置された
「マリンタンク」 |
各方面で、その対策が実施されているようですが、その一つとして今回の当社の雨水貯留水槽「マリンタンク」があり、JR立川駅の他にも首都圏のいくつかの駅に既に導入されています。駅構内に降った雨を直接下水道に流さず、一旦溜める。洪水が懸念される天気の時の対応策です。塩ビ製でシンプルな構造、設置の簡易性、耐久性、比較的安価なことまで含め、目的に対して高性能と言えるでしょう。今回設置されたのは直径3,000mmのものが3基、4,000mmのものが7基、合計10基の貯留水量は100t余り100m四方の平地に10cm程の水位になる計算となります。この水が一部の小さな低地に集まったら・・・。
ヒートアイランド現象も集中豪雨の原因の一つと考えられています。その抜本的な対策なら、大規模な工事や施設が必要です。「降れば洪水降らねば渇水」を課題にその水の利用までを研究されているところもあるようです。
これに対して、貯留水槽の設置はお金をかけないですむ最もストレートな対策法であり、他の建物でもこの方法や応用が広がればいいなと想像を膨らませています。
もう一つ、6月初旬、石巻市にて「北上川下流水防演習」(水害・洪水を想定した防災・救助等の訓練)が行われ、これまでの土嚢に代わる新アイテムとして「越水止めすいのう」を出展しました。増水した河川の水位が堤防を越える「越水」を食い止める為のもので、必要な箇所にポータブルに移動できますし、圧倒的な存在感に信頼性を感じていただけると思いました。
前記の「マリンタンク」も「越水止めすいのう」も、特にこの梅雨時季の非常用製品ではありますが、「水」に関わる生活環境とプラスチック製品に今後益々の可能性を実感しました。
環境問題の対策の一端として製造の立場から思いを巡らせているところです。(了) |
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ポンプで水を注入して使う「越水止めすいのう」 |
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