NO.166
発行年月日:2008/02/28

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トピックス
◇動き出した「塩ビリサイクル支援制度」
  −リサイクルビジョンの実現に向けて−

随想1

補助金 −貰ったお金と上げたお金−(連載13)

国際連合大学 上野 潔

随想2

秋山仁氏の「体験型科学教育のすすめ」について

東京農工大学大学院MOT、
日本化学工業協会広報委員会顧問 瀬田重敏


お知らせ
【NEW】今問題になっている内容のセミナー In 横浜 のご案内
【NEW】VECホームページを更新しました。
建築・建材展2008 出展案内
NEDOの補助金事業公募、締切せまる。

編集後記

トピックス
◇動き出した「塩ビリサイクル支援制度」
  −リサイクルビジョンの実現に向けて−

 リサイクルビジョンの実現をめざす取組みの大きな柱である「塩ビリサイクル支援制度」がいよいよ動き出しました。この制度の創設については昨年9月のこの欄(No.146)で既にご紹介しましたが、第1回目の公募が昨年12月に締め切られ、塩ビのリサイクルに取組んでおられる各方面の企業から応募していただき、様々な取組みがなされていることをあらためて認識しました。提案された案件はマテリアルリサイクルやフィードストックリサイクルの技術開発やその実証試験に関するものなどで、これまで再資源化が困難であった塩ビの複合製品のリサイクルに新しい道を切り拓く可能性を秘めたものや新しい切り口からリサイクルを考え直してみようといった興味深い内容のものです。

メルマガNo.146:https://www.vec.gr.jp/mag/146/index.html#topics

 1月に入って申請された企業の担当の方に直接お会いして、技術内容や開発計画の狙い、計画の実現性、期待効果などをお聞きし、必要に応じて関連する施設や現場を訪問して見せていただき、確認作業を進めてまいりました。
 選定に当たっては塩ビ業界の関係者だけでなくリサイクルの技術、事業に精通した外部の有識者からなる評価委員会を立上げ、審議していただくことになっていましたが、その評価委員会も1月はじめに委員長を含む6名の委員の方々が決まり、2月20日に委員会が開催され、各案件に対して貴重なご意見、コメントをいただきました。

【評価委員会のメンバー】
委員長:
化学技術戦略推進機構 理事長 中島 邦雄 氏
委 員:
東北大学大学院環境科学研究科 教授 吉岡 敏明 氏
産業技術総合研究所 主任研究員 加茂  徹 氏
プラスチック処理促進協会 専務理事 井田 久雄 氏
日本プラスチック工業連盟 専務理事 金子 勇雄 氏
塩化ビニル環境対策協議会 運営委員長 小林 俊安 氏

 この委員会のご意見を踏まえ、協会内の手続きに則り採択案件が正式に決まり、3月末までには申請各社に通知させていただく予定になっています。塩ビ工業・環境協会はこれまで外部の企業、団体と共同してリサイクル技術の開発などの支援活動を進めてきましたが、支援制度を創設して公募案件を選定する方式は、協会にとって全く初めての経験だけに不慣れなことも多く、年明けから右往左往のし通しで何とかここまできました。

 この制度は、塩ビ製品のリサイクルの進展に繋がる技術、システムなど、インフラ整備へ向けた具体策のひとつとして業界として取組むもので、リサイクルビジョンの中でも述べましたように、その狙いは経済合理性のある、地に足のついた塩ビ製品のリサイクル事業をひとつでも多く社会に実現させていくことにあります。リサイクルのためのリサイクルではなく、事業として持続できる真のリサイクルでなければなりません。対象となる廃塩ビ製品の安定集荷、効率的で有効な再資源化技術、再生品の安定した需要など様々な条件をクリアすることが鍵となります。リサイクルの受け皿が増え、塩ビ製品がリサイクルし易い環境にしてゆき、循環型社会の観点からも安心して塩ビ製品を使っていただける環境にしてゆくことが、この制度の目的です。

 「塩ビリサイクル支援制度」は本年から2011年まで続きますが、経済合理性のあるリサイクル事業を創り出す推進力としてこの制度が機能し、リサイクルの進展に繋がるよう努めてまいりたいと思っています。(了)

リサイクル支援制度はこちらからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/recyclesien.htm

随想1
補助金 −貰ったお金と上げたお金−(連載13)
国際連合大学 上野 潔

 貰ったお金はすぐ忘れるけれど、貸したお金、あげたお金は10円でも覚えていると言います。奢ってもらった食事はすぐ忘れますが、奢った場合は昔のことでも覚えているそうです。皆様はどうですか?
 さて、話は大きくなって国の補助金の話です。先日ある中小企業対象の財団の幹部から言われました。必要な金の半分は国が補助してあげるんだよ。こんないい話なのに最近はちっとも企業から補助の申請が無い。国の財政が厳しくなって、補助金も軒並みカットです。ODA予算も毎年削減されています。役所にとってはますます貴重な補助金予算なのに「親の心子知らずだ」と、その財団幹部は嘆いています。貴重な補助金だから(国民の税金を使うんだから)補助した場合の審査やプロジェクト終了後の監査はますます厳しくなります。ここにも当然ながら序列があって、会計検査院、財務省、各省庁、財団、などの順序で、末端に行くほど、仕組みの規則は細かくなり、行動の監視は厳しくなります。

 さて、補助を受ける企業はどうでしょうか?半分も国から出していただいてありがたいとは思わなくて、半分は自分が出しているんだ。(最近は1/3補助も普通)それなのにいろいろうるさい事を言われ、時として非常識な制約を受ける。ODAを受ける途上国になると、「半分は貧しい自分の国の税金を使ったり、自国民から料金を徴収しているのに、何から何までうるさく干渉する」と感じます。多くの場合、日本国政府にではなく担当職員に対してです。自分が金を出しているわけでもないのに、お金を傘に来て威張っていると感じるのです。まさに「代官」が憎まれるのです。
 本当に貧しくて、補助金が砂漠に染み入る水のようにありがたかった時代ではなくなったのかもしれません。でも補助がありがたいことには代わりありません。

 半分もお金を出して、企業や途上国から「よく思われない」「感謝されない」のはまことに残念です。日本も敗戦直後から、大量の援助を主としてアメリカから受けました。
 敗戦以前からも政府援助だけでなくフルブライトの奨学金などは今でも続いています。ロバートケネディーは大隈講堂で吊るし上げの洗礼を受けたのに逆に奨学金を早稲田大学に設立しそれは今も生きています。孤児院で育った少女ジュディ・アボットがあしながおじさんから受けた奨学金に対する義務は、毎月手紙を書くことだけでした。使ったお金の領収書を出せとか、授業に出席した時間伝票を出せなどとは言われませんでした。
 確かに、世の中は信頼だけでは上手くいきません。まして「公金」ともなると厳格な監査によって確認されないと「国民が納得しない」でしょう。しかし、実際はそうではなくプロジェクトを監督する立場の人のために、仕組みが動いているとしか思えない状況が多いようです。

 削減される補助金やODA予算が、何よりも相手にとって役に立ち、そして長い眼で日本の味方になってもらわなければ残念です。「このお金は日本国民の税金です。金額は少ないのですが、どうぞ自由に使ってください」なんて言われたら無駄使いなどしないのではないかと思うのですが、普段厳しいことを言っている上野に似つかわしくないと言われそうですね。でも心のキビってそんな気がするんです。海外に良く出かけ途上国の事情にも詳しい塩ビ関係の皆様はどうお考えですか?(了)

前回の「見えるお金と見えないお金(連載12)」は、下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/162/index.html#zuisou

上野潔様の連載のバックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

随想2
秋山仁氏の「体験型科学教育のすすめ」について
東京農工大学大学院MOT、
日本化学工業協会広報委員会顧問 瀬田重敏

 来る3月9日(日)13時(12時30分開場)より、東京大学駒場キャンパス7号館(743号室)で、「体験型科学教育のすすめ」というワークショップが開催されます。このワークショップは数学者の秋山仁先生を理事長とするNPO法人「体験型科学教育研究所」の活動によるもので、参加費無料、どなたでも参加できます。

 昨今日本の近未来を担う若者たちの理科ばなれが大変深刻で、化学工業各社のCSR報告書には、日本の次世代を担う人々にもっと理科や科学技術に関心を持ってもらうべく、工場地域の技術者たちがボランティアで子供たちを対象に「出前授業」といわれる理科教育に協力している例がたくさん報告されています。

 理数教育は本来どの子にとっても大変面白いものです。秋山先生の講義を受けた若い人たちの多くが数学により強く関心を持つようになり、実際に成績も上がるということのようです。中高生なら誰でも知っていると言って良い秋山先生が、その親御さん達の間にも人気が高いのはまさにそのためでしょう。
 実際に私は昨年12月に浜松町の東芝本社で行われた秋山仁先生の講演会に同席しました。200人の講堂が満員礼どめになる中で、すべて自製の道具を使っての迫力に満ちた、噂に違わぬ熱血講義でした。

 今回のワークショップでは、若い人々、親御さんたち、教員の方々、そして広く教育問題にご関心のある方々に、まずは秋山仁先生、滝川洋二先生(ガリレオ工房)の講義、東芝科学館小宮館長のお話をお聞きいただき、理数教育をともに考えていただこうというものです。ご関心のある方はご参加ください。直接現地にお出でいただいても結構ですが、資料準備の都合上、下記にお申し込みいただければありがたく存じます。尚、ワークショップの結果は後日詳しくお知らせします。

(参考) 参加申し込みおよびお問い合わせ先:「体験型科学教育のすすめ」事務局
NPO法人ティーチングキッズ Tel&Fax 03−3482−8020

お知らせ

【NEW】今問題になっている内容のセミナー In 横浜 のご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し講演を行ないます。

・日 時 :2008年3月18日(火)
 13:00〜17:30 (開場12:30)
・場 所 :横浜金沢ハイテクセンター・テクノコア 1階 会議室
・主 催 :住まいづくり研究会
・後 援 :株式会社日本住宅新聞社
・参加費 :無料(定員:先着100名)
・参加申込み締切り:3月10日(月)
・お問い合わせ:住まいづくり研究会
          電話:092(871)2409


【NEW】VECホームページを更新しました

1.1月度の塩ビの生産出荷データ掲載。
https://www.vec.gr.jp/enbi/seisan.htm
2.トピックスに新しい記事を掲載。
https://www.vec.gr.jp/topics/index.html

建築・建材展2008 出展案内

 快適・健康・安全な住環境・商環境の実現に向けた様々な情報を発信する、建築・建材展が以下の通り開催されます。
 塩ビ工業・環境協会、樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会は、「健康・エコロジー建材ゾーン」に出展いたします。

・日 時 :2008年3月4日(火)〜3月7日(木)
 10:00〜17:00(最終日のみ16:30終了)
・場 所 :東京ビッグサイト 東3・5・6ホール
・主 催 :日本経済新聞社
・入場料 :当日一般 1,500円
 下記HPより事前登録頂くと無料となります。
 (3月3日(月)まで)
https://www.shopbiz.jp/pages/t_index.phtml?PID=0005&TCD=AC

・建築・建材展2008のホームページをご覧下さい。
  http://www.shopbiz.jp/top/index_AC.html?PID=0003&TCD=AC

NEDOの補助金事業公募、締切せまる。

 以前よりお知らせしていました、NEDOの補助金公募の締切が1週間後の3月6日(木)(17:30必着)にせまりました。
 詳細は、NEDO:独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構のホームページをご覧ください。
http://www.nedo.go.jp/informations/koubo/200205_1/200205_1.html

 様々な補助要件がありますが、一つとして、既設住宅のリフォームで『塩ビサッシ+複層ガラス』の内窓を採用する事により、その費用の1/3が補助されます。

編集後記
 “リサイクル支援制度”への第1回応募が出揃いましたが、技術や装置、システムの開発というものは、支援のお金や合理性だけでなく、提案がはらむ夢、希望、未来への共感ぬきには前に進みません。応募側には提案内容の十分な説明が必要ですし、塩ビ産業側も提案を有難く受止め、情報の補完やシステムの形成で汗をかく必要も出てきます。共感にもとづく協働によってこそ提案の輝きも増し、お互いが感謝し合える活きた制度となることでしょう。
 随想にある「帰れケネディ!」の垂れ幕で混乱した会場を救ったのは、ベトナム反戦の論議ではなく、自然に湧き出た都の西北の合唱でした。昭和40年、そのときの学生の心の機微にうたれてロバートケネディ基金が発足したと聞いています。(加地)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  東 幸次

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