“エコマーク”っていったい何?読者の皆様は全員お分かりのことと存じますが、“エコマーク”は、日本初の“環境ラベル”として約20年前に誕生いたしました。“エコマーク”は、ISOでタイプI環境ラベル(第三者認証)に分類され、(財)日本環境協会の登録商標になっています。現在、日本の“環境ラベル”は、“エコマーク”のほかに、LCAデータを表示する“エコリーフ”や各メーカーが独自の基準に基づいて表示する“自主ラベル”がありますが、これら環境ラベルの草分け的存在と言っていいでしょう。ちなみに、世界のタイプI環境ラベルには、ドイツの“ブルーエンジェル”やアメリカの“グリーンシール”等があります。
ところで、この“エコマーク”皆様も一度はご覧になったことがあると思います。身近なところでは、ノートやファイルといった文具・事務用品で良く見かけますが、エコマークの対象となっている商品は、日用品や衣服、家具から太陽電池に至るまで、約50の類型があり、実際にエコマークのついた製品は約5000ブランドに上っております。これまではどちらかと言うとオフィス用品や生活用品が中心でしたが、昨年、商品類型No.123「建築製品」の改定が行われ、我々の住環境を支える「建築資材」や「建築設備」を対象に、数多くの建築製品が追加されました。今回の改定で、その中心となったのが“塩ビ建材”です。塩ビを主要な材料として使用する「建築資材」や塩ビ製品を部材として使用する「建築設備」で、新たに10製品がエコマーク対象製品となり、その認定基準が制定されました。塩ビ建材のエコマーク対象製品は、これまで「タイルカーペット」や「上・下水道材(再生硬質塩化ビニル管)」がありましたが、今回の追加分10製品とあわせて合計12製品となりました。新たに対象となった製品には、「排水・通気用硬質ポリ塩化ビニル管」、「ビニル系床材」、「ルーフィング」、「プラスチックデッキ材」等がありますが、これらは、塩ビの特徴である、耐久性やリサイクル性の高さが評価されたものであることは言うまでもありません。
もともとエコマークは、商品の「生産」から「廃棄」にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられます。正に“丈夫で長持ち、おまけにリサイクルが容易な”塩ビにとって、うってつけの環境ラベルと言えます。ところが、1999年、当時吹き荒れた塩ビバッシングの嵐の中で、塩ビを使用した製品は、エコマークの対象から外されてしまうという不幸な出来事がおこりました。今現在でも、電気電子製品を中心に塩素系樹脂の不使用表示や使用を制限する基準が見られることは残念でなりません。
しかし、ダイオキシン問題が解決されたことを背景に塩ビに対する再評価が進み始めた2005年に、商品類型No.118「プラスチック製品」の改定が行われ、塩ビを使用した製品に関する基準が明文化されました。この中で、「使用済み製品の70%を回収し、その内70%をリサイクルする」ことが基準化されましたが、「20年以上使用する製品についてはこの原則を適用しない」旨の除外規定が設けられました。すなわち、塩ビ製品の中でも建材のように長期間にわたって使用される製品は、ズバリ“エコ”であることが認められたわけで、LCAの観点からも理にかなったものと言えます。今回新たに制定された「建築製品」の認定基準は、このNo.118「プラスチック製品」の考え方に基づいています。但し、使用済み製品を回収するための仕組みや再生材を定められた比率で混合使用することは製品毎に義務付けられています。
昨今再生紙を始めとする“エコ偽装”問題が発覚し、エコマークやグリーン調達そのものへの信頼が揺らいでおりますが、技術的根拠に基づかない基準作りや商品の認定が、結果として偽装という社会悪を生んだものと思われます。こうした中、塩ビ建材は、新たに制定された認定基準に基づいて各建材メーカーが、これまで培ってきた技術力を背景に、積極的に自社の商品の認定を取って頂く段階に入りました。先行している「タイルカーペット」については、既にエコマーク認定商品が数多く世に出ておりますが、これらの中には、LCAの効果をアピールするためにエコリーフの認証を受けている商品もあります。CSRや環境経営が叫ばれ、環境に対する姿勢や取り組みが企業の行方を左右する時代になって参りましたが、建材メーカーの方々は、今回の認定基準制定をチャンスと捉えて、是非、積極的にエコマークを取得して頂きますようお願い申し上げます。(了) |
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