NO.178
発行年月日:2008/05/29

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トピックス
◇「地球環境にやさしい塩ビ」
 −菅原新会長 VEC総会後懇親会にて力説−

随想
ジャンプ(連載16)
国際連合大学 上野 潔

お知らせ
【NEW】設計・住宅業者の皆様へ
     今問題になっている内容のセミナー In 神戸 のご案内
エネルギーソリューション&蓄熱フェア2008 『エネ蔵』出展案内
健康・省エネのための住まいを推進するシンポジウム IN 経団連 ご案内

編集後記

トピックス
◇「地球環境にやさしい塩ビ」
 −菅原新会長 VEC総会後懇親会にて力説−

 5月28日(水)に、塩ビ工業・環境協会第11回総会・懇親会を開催いたしました。
 今年度は役員の改選期にあたり、菅原会長((株)カネカ社長)、中原副会長((株)トクヤマ社長)、中村副会長(ヴイテック(株)常務取締役)が新しく就任いたしました。
 以下に、菅原新会長の懇親会での挨拶を掲載いたします。

菅原新会長
会長・副会長
 本日は皆様ご多用中にも拘わりませず、多数ご出席を賜り、誠に有難うございます。本日の懇親会にご列席頂いています、経済産業省製造産業局の照井次長様をはじめ関係官庁の皆様、塩ビ製品業界や商社の皆様、マスコミの皆様、さらには日頃より塩ビについて様々なお世話になっております皆様、平素よりVECの活動へのご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。

 先刻開催されました塩ビ工業・環境協会の第11回総会におきまして、土屋会長の後を受けて、会長の大役を拝命致しました。身の引き締まる思いでございます。塩ビ産業の益々の発展のため、微力を尽くす覚悟でございます。幸いなことに、この度は見識、経験の豊かなトクヤマの中原社長とヴイテックの中村常務に副会長をお引受け頂きました。力を合わせて会務に邁進致す所存でございますので、ご列席の皆々様の一層のご助力、ご指導をお願いするものであります。会長をお引受けするにあたりまして所信の一端を申し述べ、ご挨拶と致したいと存じます。

 一昨日の5月26日、塩ビ工業・環境協会は発足10年の節目を迎えました。この間、歴代の会長の方々、その間第一線で活動された諸先輩の方々、そしてここにご列席の皆様方の多大なご尽力のおかげで、いわれ無き反塩ビの風潮がなりを潜め、塩ビを再評価する動きが出てくる状況にまでなりましたことに、心より感謝申し上げます。

 さて、昨年度の塩ビの国内需要は厳しいものがありました。景気の低迷に加えて、改正建築基準法の影響や公共工事の抑制もあり、住宅着工は前年度を2割近く下回る104万戸となりました。その結果、塩ビの国内需要は前年度比93%の126万トンと大きく落ち込みました。一方で、世界的に見ると塩ビの市場は順調に右肩上がりで拡大すると予測されています。この世界の流れに反して、塩ビの国内需要が10年程前の200万トンから大きく減った日本の現状は、市場構造の変化もあったとは言え、塩ビについての誤解や理解不足により、塩ビの機能や経済性が無視され、他素材への転換が進んだことが一つの大きな要因であります。見直し機運は出てきたものの、需要回帰はその緒についたところであります。

 VECとして本格的な塩ビへの需要回帰と新規用途開拓による塩ビ産業の復活に向けた活動へ強く取り組む時期が、いよいよ来た、と考えております。そこで、次の3つの重点課題に取り組みたいと思います。

 先ず第一は、『塩ビが地球環境に優しい、社会の持続的な発展を支える素材であることを発信し、塩ビはやっぱり素晴らしい、すごい、使いたい、というイメージを根付かせること』であります。近年、行政庁の調達基準、グリーン購入法の特定調達品目、エコマーク製品の基準が塩ビを認めるよう、見直しが進みました。更に、日経エコロジーを皮切りに各種のメディアに塩ビこそ環境特性が優れた有用な材料だと報道して頂けるようになって参りました。一方で、地球温暖化や資源・エネルギーの枯渇が懸念され、石油などが高騰しています。塩ビは石油依存率が低く、他の汎用プラスチックスに比べて圧倒的なコスト優位性があり、経済的にも石油資源の有効利用からも、塩ビの優位性が理解されるようになりました。塩ビ製品のユーザー業界で、塩ビの特性と良さが充分に理解され、塩ビを再び使いたいと言う会社が出ていることは、大きな励みになります。一層効果的な広報をはじめ幅広い活動をして参りますが、塩ビ製品ユーザー企業に納得していただくには、VEC単独ではなく、塩ビ製品業界の皆様と一体となった活動こそ大切であると存じます。どうか宜しくお願い申し上げる次第でございます。

 第二は、『リサイクル支援制度を活用し、関係業界や企業の方々と連携してリサイクルの拡充を図ること』であります。この支援制度には、塩ビと他材料との複合製品のリサイクルという挑戦的な案件も採り上げ、大きな成果を期待しております。今後のリサイクル推進のために、塩ビの特長であるマテリアル・リサイクルなどに取り組むとともに、混合廃プラスチックスについても、関東建廃協をはじめ、各団体や企業と連携して参ります。リサイクルの拡大に王道はありません。地道な努力を積み重ね、関係各位と共にリサイクルの仕組みを拡充して、塩ビ製品のお客様に安心して塩ビを使って頂ける様にする所存でございます。

 第三は、『地球温暖化対策に貢献してゆくために、塩ビ樹脂サッシや塩ビ樹脂サイディングの普及促進を図ること』であります。洞爺湖サミットの機会を活用し、幸先のよいスタートを切り、塩ビ市場の成長につなげて参る所存でございます。昨年度末に、環境省は庁舎の全ての窓に塩ビサッシ内窓を設置し、国土交通省も近々に設置を予定しています。又、今年度のNEDOの塩ビサッシなどを対象とする省エネリフォームの補助金に応募が殺到し、更に、優遇税制も創設されました。今後、一層普及活動を進めて参りたいと存じます。一方、塩ビ樹脂サイディングは長寿命・高耐久・軽量・断熱性など優れた特徴があり、昨年とりまとめた技術情報を活用して、今年度からは塩ビ樹脂サッシと併せて普及促進活動を強化して参ります。

 これら3つの重点課題に加えて、塩ビの環境問題対策と、化学物質管理や工場保安対策について、JPECをはじめ、国内外の各団体と連携し、知恵の共有と、より効果的な活動を目指すことが重要だと考えております。

 これまで申し述べました活動を進めることによって、『サステイナブルな塩ビの復活』を図る所存でございますが、是非とも本日ご列席の経済産業省をはじめ関係行政府のご支援をお願いするとともに、塩ビ関連業界、塩ビ製品をご愛顧いただいていますユーザー業界、マスコミ関係各位のご支援、ご協力をお願い申し上げる次第です。
 最後に、本日ご列席の各社の益々のご発展と、ご参集の皆様のご健康、ご多幸を祈念致しまして、私のご挨拶とさせて頂きます。本日は誠にありがとうございました。

随想
ジャンプ(連載16)
国際連合大学 上野 潔

 先日、国際連合大学で研究者と「途上国の環境教育のレベルを上げる支援方法は無いか?」について話しました。多くの途上国のエリートは海外で学位を取り立派な論文を国際学会に発表し出世しますが、自国の環境教育には熱心ではありません。そしてエリート達はコンピュータや高度の計測器を駆使した研究はするけれど簡単な装置の修理もできないと言われます。(最近の日本にもそういう研究者が増えているようですが)

 本当はそうでなく初等中等教育に熱心な教師が多数必要なのです。環境教育と言っても結局はその国が環境教育を考える余裕が出来るまで待つほうが早いのではないか?だから経済発展こそ支援すべきではないか?明日の食料を得るためには、今日の寒さを防ぐためには、焼畑も農薬も石炭ストーブも必要でしょう。豊かになって初めて環境を考えるのです。つい半世紀前までの日本も同じではなかったでしょうか?
いや、やはりジャンプは必要です。ジャンプ?

 先進国になった韓国には水俣病が発生しませんでした。それは日本が悲惨な経験を発信し、韓国がそれを知ったからなのです。それがジャンプです。綺麗な空気と水を取り戻した日本の規制手法を北京やバンコクにもっと発信しなければならないのです。汚してから綺麗にするのではなく、本当はジャンプできるのです。
 ソウルでは川の上を覆う高速道路を撤去しました。今度は日本が学ぶ番です。日本橋の上の高速道路の撤去が話題になっています。本当は撤去ではなくはじめから通さなければ良かったと思うのですが、当時の日本人は経済発展に高揚していて環境など考えもしなかったのです。

 3月に放映されたNHKのクローズアップ現代「地球温暖化インドのCOを減らせ」によれば、インドの村では太陽光発電装置を設置して石油ランプの変わりに電気照明器具が一戸当り30ルピーで貸与されています。確かにこれなら発電所の新規建設や送電のためのインフラも必要ありません。それがインドのCO増加を防ぐジャンプになっているのです。
 中国やアフリカでは爆発的に携帯電話が普及しています。電波を利用すれば、山河を越えて広大な国土にネットワークを廻らせるための電線ケーブルや電柱などのインフラは不要になります。これもCO増加を防ぐジャンプです。

 国立環境研の藤野博士が解説するように、太陽電池や携帯電話の開発は、発電所や配電網建設を跳び越して、環境負荷低減のジャンプになっているのです。途上国はそれらを開発した先進国に知的財産や製造ノウハウの対価を払うのは当然ですが、それでもこのジャンプによって経済発展を促進しつつ環境負荷低減になっているのです。
 しかし、電気照明の利便性を知ったインドの村の人々は、次の段階では電気冷蔵庫を求め、扇風機をジャンプしてエアコンを求め、バイクをジャンプしてインドの国民車ナノカーを求めるのも自然です。だから結局は発電所や送電網は必要なのですが、そのときまでにはインドはもっと経済発展し、既存のCOを大量に排出する石炭発電所ではなく、ジャンプして日本の高効率発電技術を導入できるようになっているでしょう。

 しかし教育の分野ではジャンプは心配です。私の世代は、真空管式のラジオを自分で組み立てましたが今の学生はダイオードやトランジスタすらジャンプしていきなり情報工学を勉強するのです。恐らく部品を集めてラジオやテレビを組み立てることはできないでしょう。そんなことを大学で教えろなどとは言いませんが、教育の分野でのジャンプは次のジャンプを生まなくなる懸念は無いのでしょうか?

 ジャンプは技術のブレークスルーと同義語かもしれません。筆者はリサイクルプラントがもたらした環境技術のブレークスルーというキーワードで「静脈産業の動脈化」、「プラスチックの水平型自己循環」、「リサイクルプラントから発信されるDFE(Design For Environment;環境適合設計)の革新」をあげてきました。経済が高度に発達し、資源が少なく、国民の遵法意識が高い日本でなければ実現しなかったジャンプだと思います。途上国にとってはまだまだハードルが高いと思いますが、日本のリサイクルプラントの存在が途上国の環境教育のジャンプになることを願っています。

 理不尽なキャンペーン「塩ビNo!」の嵐を体験した塩ビ工業界の諸兄は「悪夢が去った」と安心するのではなく「科学的評価」の重要性と「塩ビの正しい使用法」を、発信し続ける必要があると思います。それが途上国にとってジャンプになるのです。(了)

前回の「プロからのクレームとヤクザからのクレーム(連載15)」は、
下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/174/index.html#zuisou

上野潔様の連載のバックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

お知らせ

【NEW】設計・住宅業者の皆様へ
     今問題になっている内容のセミナー In 神戸 のご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会、樹脂サッシ普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し講演を行ないます。

・日 時  2008年6月13日(金)
13:00〜17:00(開場12:30)
・場 所  あすてっぷKOBE(男女共同参画センター)
2階 セミナー室1・2
・主 催  住まいづくり研究会
・後 援 (社)標語県建築士会【CPD制度認定講習:4単位】
・参加費  無料(定員:先着100名)
・参加申込み締切り:6月6日(金)
・お問い合わせ:住まいづくり研究会
          電話:092(871)2409

エネルギーソリューション&蓄熱フェア2008 『エネ蔵』出展案内

 下記の要領にて「エネルギーソリューション&蓄熱フェア2008『エネ蔵』」が開催されます。
 塩ビ工業・環境協会、樹脂サッシ普及促進委員会、樹脂サイディング普及促進委員会にて出展します。
・日 時  2008年5月28日(水)〜30日(金)
10:00〜17:30
・場 所  インテックス大阪4号館
・主 催  蓄熱フェア実行委員
・入場料  無料
・エネルギーソリューション&蓄熱フェア2008 
 『エネ蔵』のホームページをご覧下さい。
    http://www.enezo.jp/enezo2008/

健康・省エネのための住まいを推進するシンポジウム IN 経団連 ご案内

 下記の要領にて、「健康・省エネのための住まいを推進するシンポジウム」が開催されます。
 このシンポジウムは、関係省庁、産業界、医療界、消費者団体等により、「国民の生命財産を守る」「日本の地球環境問題における責任」「国民から信頼される健康=省エネ改修の仕組み」等について意見交換や協力体制の構築を目指すものです。
・日 時  2008年6月3日(火)
13:00〜17:00
・場 所  経団連会館
・主 催  NPO法人シックハウスを考える会
安全な住環境に関する研究会
・協 賛  塩ビ工業・環境協会 他
・参加費  無料

※ご案内・参加申込書はこちらからご覧ください。(PDF)
      https://www.vec.gr.jp/mag/176/symposium.pdf

編集後記
 まだ、5月末ですが、うっとうしい日が続いています。もう既に初夏とか盛夏の候とか言った方が相応しいように感じられます。うっとうしさを助長させる一因に、気候の影響だけでなく、アジアに集中して起こっている天変地異にあります。ミャンマーでのサイクロン被害、中国での四川大地震です。いずれも、信じられない程の死者数と莫大な被害です。不幸にして被害に遭われた人達のご冥福をお祈りすると共に、早い復興をお祈りしております。
 本来、天災は誰のせいでもありませんが、政権の備え不足や国民無視とか、手抜き工事が被害を大きくしたとかのニュースに接すると怒りを感じずにはおれぬ方々が少なからずおられるでしょう。今後、我が国でも地震の周期からして、東海、東南海、南海、関東などの地震にいつ襲われてもおかしくありません。行政に頼るばかりでなく、一人一人の備えが必要と痛感して、最近、最低限ですが備えを完了させました。(古鍋)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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