NO.187
発行年月日:2008/07/31

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トピックス
◇建設系廃プラスチックの組成実態調査
−新たな再資源化を視野に実施−

随想
古代ヤマトの遠景(27)—【神武東征譚】—
信越化学工業(株) 木下清隆

お知らせ
【NEW】VECホームページを更新しました。
「からだにいいこと」webに塩ビサッシムービー掲載

編集後記

トピックス
◇建設系廃プラスチックの組成実態調査
−新たな再資源化を視野に実施−


 塩ビ工業・環境協会(VEC)は塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)、社団法人プラスチック処理促進協会(PWMI)と共同で関東建設廃棄物協同組合(関東建廃協)に委託して、去る6月9日から13日までの5日間、光洲産業/光洲エコファクトリーYOKOHAMABAY(横浜市神奈川区)において建設系廃プラスチック(建設系廃プラ)の組成実態調査を行いました。

入口調査用廃プラ
出口調査用廃プラ(ベール)
選別作業
選別された廃プラ
 建物の新築や解体現場では廃棄物として多種類のプラスチック(廃プラ)が発生しており、中間処理施設に収集・運搬され、選別や破砕などの処理が行われた後、リサイクル施設など次の処理先に搬出されています。今回の調査目的は、現場より排出され中間処理施設に搬入された廃プラ(入口)と破砕、選別などの中間処理した後、セメント、焼却、埋立向けに搬出されている廃プラ(出口)それぞれの組成と量を明らかにすることで建設系廃プラの組成実態を把握することにあります。
 こうした調査は初めての試みですが、得られた結果を最大限活用することでこの分野での再資源化の拡大を図り、リサイクルの促進と最終処分(埋立処分)量の削減に繋げるのがねらいです。

 対象となる廃プラは、建設系廃棄物のリサイクルの推進を積極的に 進めている関東建廃協の組合員の内、1都2県10ヶ所の主要中間 処理施設から提供を受けました。今回の調査では、入口調査用廃プラ 約50m3と、セメント、焼却、埋立向けの出口調査用廃プラ各10 ベールを使用して、組成調査を行いました。

 調査には、関東建廃協の組合員各社の主な中間処理施設から廃プラの選別を担当している方々が毎日20〜25名参加し、選別、計量記録などを行い、VECとPWMIからは日に3〜4名が参加し、選別と写真記録、樹脂の種類判定、分析のためのサンプリングなどを担当しました。この5日間で延べ125人が携わる大掛かりな調査でした。

 効率よく行うため、作業は搬入出班・選別作業班・計量記録班の3班に分けて行われました。最初に搬入出班が重機を用いて廃プラを選別場所に移動し、選別し易くするため床面に広げた後、約8名から成る選別作業班がリーダーの指示する品目ごとに選別し、それを所定の容器に収納し、これを計量記録班が種類ごとに計量、記録するという手順です。手馴れた作業でみるみるうちに塩ビ製品の11品目、塩ビ以外のプラスチック製品6品目、その他3品目の20品目が分類、計量されました。樹脂の種類判定は近赤外分光分析によるプラスチック種類判別計を使用しました。これは即座に種類特定でき、樹脂の判定に威力を発揮し、選別精度を高めるのに大いに役立つものでした。また、選別されたもののいくつかはサンプル採取しており、必要に応じて灰分、塩素分や発熱量などの分析を行う予定で、これらの分析結果を加味することで建設系廃プラスチック組成の実態がより明確にできると思っています。

 今回参加された関東建廃協組合員各社の選別担当の方々は積極的で、作業後のミーティングにおいて体得した樹脂判別の知見を現行の選別作業改善に活かしたいといった意見が多数出ており、既に今回の経験が現場で役立っていると思っています。現在、サンプルの分析と調査結果の整理をしており、9月には調査報告書としてとりまとめる予定です。この分野でのリサイクルがさらに進むことを期待しています。(了)

随想
古代ヤマトの遠景(27)—【神武東征譚】—
信越化学工業(株) 木下清隆

 前回、考古学上の初代倭王である出雲神門地方の王と、「国作り神 話」の中の大己貴命との間に何か接点がありそうだとの話をしたが、 今回はその続きである。

 先に紹介した「国作り神話」の中に、大己貴(おおあなむち)命と 少彦名(すくなひこな)命とは協力して国作りをしていたが、途中で 少彦名命が黄泉の国に行ってしまう話があった。記紀共に同様の記述 があり、書紀ではその場所が特定されていることから、何かの史実が 反映されているのではないかと先に示唆した。史実の方はさておき、 実は記紀にはこれに類似した話が別にあり、今回はそのことを述べる ことにしたい。それは「神武東征譚」である。

 神武東征譚とは、初代天皇とされる神武天皇が、「東に良き国があ る」といって日向国から大和に出向き、ここに攻め入る話である。と ころが、この話は基本的に大きな問題を含んでいる。それは日向国が 大和国を滅ぼして新しい王朝を拓いたとするなら、これは内乱である。 ところが神武一行は大和に入るまでの間、途中で一度も戦闘を行って いない。従って「東征」なる語は適切ではなく、「東進」程度が適切 であり、専門家の一部にも同様の指摘がある。これに対し、もし、大 和以外の西国が日向国を代表とする連合体だったとするなら、大和へ は連合軍の大部隊が攻め入ったはずである。ところがそのような記述 は全くない。生駒越えするときに長髄彦(ながすねひこ)に反撃され、 すごすごと引き返し、紀伊半島を南下して熊野に向っている。このよ うなことから、神武東征譚は神武天皇のモデルとなったヤマトの王が、 西国から大和に向かった話ではないかと想定して、解釈し直すことが 可能となる。

竈山神社
 こののち、長髄彦との戦いで負傷した天皇の兄、五瀬命(いつせの みこと)は死亡し、紀伊の竈山(かまやま)付近で葬られる。この命 を祀る神社を竈山神社と言うが、現在はJR和歌山駅の南約3km程 のところにあり、大変な歴史のある神社とされている。このように兄 五瀬命を祀る神社が、長い歴史の中に存在し続けているとされている のに対し、神武天皇本人を祀る神社が明治まで無かったことは先に触 れたとおりである。明治になって神武天皇のために創建されたのが橿 原(かしはら)神宮で、畝傍山(うねびやま)を背にして静まる神社 の結構は壮大であり、流石は明治政府が威信に掛けて建設しただけの ことはある。このような歴史を踏まえると、五瀬命が実在の人物であ る可能性が高いのに対し、神武天皇は創作上の人物であることを示し ていると言えよう。

 この五瀬命と神武天皇との関係は、先に紹介した少彦名命と大己貴 命との関係に類似しているといえるが、その決め手となるのが五瀬命 と少彦名命の落命の場所である。五瀬命は浪速から紀伊に向かう途中 で傷がひどくなり、紀伊国に上がる前後の頃に亡くなっている。これ に対し、少彦名命の落命は熊野の御崎とされていることから、紀伊半 島の最南端辺りと考えられることになる。ところが、一説として淡嶋 の名が出ており、これは現在の友ヶ島とされている。そうであれば淡 嶋は和歌山と淡路島の中間に位置する島だということになる。この少 彦名命の淡嶋落命説の方が信憑性があると仮定すれば、五瀬命の死亡場 所に極めて近くなる。このことから、五瀬命即ち少彦名命は紀伊の沖 合いで傷がひどくなり、その後落命し、竈山付近で葬られたことが、 一つの事跡として想定されることになる。従って、神話の方の少彦名 命は“熊野の御崎”といった目くらまし記述で、その場所があいまい にされ、五瀬命とのつながりが生じないように細工がなされたことに なる。

 ここで想定しているように 五瀬命=少彦名命 が成り立ち、かつ 実在の人物だとするなら、大己貴命も実在の人物である可能性が出て くる。要するに、ここで論じていることは次のようにまとめられるこ とになる。

【史 実】 【国作り神話】 【神武東征譚】
 倭 王  大己貴命  神武天皇
 王の親族  少彦名命  五瀬命

 このような類推は、五瀬命を祀る竈山神社の存在感に在ると言える。 記紀にもその陵墓の記載があり、当時既に神社、或いは神社らしきも のはあったと想定される。従って、神社としても千年を遥かに超える 歴史があることになる。このような史実を基にするなら五瀬命は実在 の人物でなければならない。そして、神武天皇も大己貴命も倭国を統 一した実在の王をモデルとして創作された人物であると、考えるしか ないことになる。(続く)

古代ヤマトの遠景(26)・・・【国作り神話】

上記以前の「古代ヤマトの遠景」のバックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

お知らせ

【NEW】VECホームページを更新しました。

6月度の塩ビの生産出荷データ掲載。
日本語版 https://www.vec.gr.jp/topics/index.html
英語版 https://www.vec.gr.jp/english/topics/index.html

「からだにいいこと」webに塩ビサッシムービー掲載

 30代〜40代女性向けの健康生活情報誌「からだにいいこと」の web版に塩ビサッシに関する動画が掲載されました。
(9月中旬までご覧いただけます。)

下記アドレスのページの  <<右上>>  にある
*** 『「塩ビ」のチカラ実感ムービー』 ***
からご覧ください。

http://www.shodensha.co.jp/karakoto/

編集後記
 家内が留守の間に、ごみの仕分けをすることがあり、実際にやってみると色々と迷うことがあります。生ごみ、プラスチック、紙類、酒 ビン、ビール缶、新聞紙等ですが、それらをまとめる包装方法、分類毎の引取り指定曜日、その出し方など複雑です。
 今年の初めまでアメリカテキサス州のヒューストンに住んでいたのですが、そこでのごみ出しは日本と違い別世界の感がありました。ほとんどの家庭には、人が入れる大きさのキャリーボックスがあり、そこに、生ごみ、プラスチック、ビン、空き缶などをひとまとめにして出すだけです。日本の2倍あるゴミ収集車が週に2回来て、ラテン系の作業者が手際よく一気に詰め込んで走り去るのです。今から思えばあのごみはどこに行ったのか心配です。テキサス州は日本の国土の2倍で、ほとんどが平地のため利用可能な土地は膨大で、埋め立てられたのかも知れません。狭い土地と資源の少ない日本はどの国よりもごみの処理に困って来たため、その処理技術とシステムが進んでいます。 この技術を更に磨いて世界をリードしたいものです。(円行)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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◆編集責任者 事務局長  東 幸次

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