◇建設系廃プラスチックの組成実態調査 −新たな再資源化を視野に実施−
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塩ビ工業・環境協会(VEC)は塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)、社団法人プラスチック処理促進協会(PWMI)と共同で関東建設廃棄物協同組合(関東建廃協)に委託して、去る6月9日から13日までの5日間、光洲産業/光洲エコファクトリーYOKOHAMABAY(横浜市神奈川区)において建設系廃プラスチック(建設系廃プラ)の組成実態調査を行いました。
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入口調査用廃プラ
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出口調査用廃プラ(ベール) |
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選別作業 |
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選別された廃プラ |
建物の新築や解体現場では廃棄物として多種類のプラスチック(廃プラ)が発生しており、中間処理施設に収集・運搬され、選別や破砕などの処理が行われた後、リサイクル施設など次の処理先に搬出されています。今回の調査目的は、現場より排出され中間処理施設に搬入された廃プラ(入口)と破砕、選別などの中間処理した後、セメント、焼却、埋立向けに搬出されている廃プラ(出口)それぞれの組成と量を明らかにすることで建設系廃プラの組成実態を把握することにあります。
こうした調査は初めての試みですが、得られた結果を最大限活用することでこの分野での再資源化の拡大を図り、リサイクルの促進と最終処分(埋立処分)量の削減に繋げるのがねらいです。
対象となる廃プラは、建設系廃棄物のリサイクルの推進を積極的に
進めている関東建廃協の組合員の内、1都2県10ヶ所の主要中間
処理施設から提供を受けました。今回の調査では、入口調査用廃プラ
約50m3と、セメント、焼却、埋立向けの出口調査用廃プラ各10
ベールを使用して、組成調査を行いました。
調査には、関東建廃協の組合員各社の主な中間処理施設から廃プラの選別を担当している方々が毎日20〜25名参加し、選別、計量記録などを行い、VECとPWMIからは日に3〜4名が参加し、選別と写真記録、樹脂の種類判定、分析のためのサンプリングなどを担当しました。この5日間で延べ125人が携わる大掛かりな調査でした。
効率よく行うため、作業は搬入出班・選別作業班・計量記録班の3班に分けて行われました。最初に搬入出班が重機を用いて廃プラを選別場所に移動し、選別し易くするため床面に広げた後、約8名から成る選別作業班がリーダーの指示する品目ごとに選別し、それを所定の容器に収納し、これを計量記録班が種類ごとに計量、記録するという手順です。手馴れた作業でみるみるうちに塩ビ製品の11品目、塩ビ以外のプラスチック製品6品目、その他3品目の20品目が分類、計量されました。樹脂の種類判定は近赤外分光分析によるプラスチック種類判別計を使用しました。これは即座に種類特定でき、樹脂の判定に威力を発揮し、選別精度を高めるのに大いに役立つものでした。また、選別されたもののいくつかはサンプル採取しており、必要に応じて灰分、塩素分や発熱量などの分析を行う予定で、これらの分析結果を加味することで建設系廃プラスチック組成の実態がより明確にできると思っています。
今回参加された関東建廃協組合員各社の選別担当の方々は積極的で、作業後のミーティングにおいて体得した樹脂判別の知見を現行の選別作業改善に活かしたいといった意見が多数出ており、既に今回の経験が現場で役立っていると思っています。現在、サンプルの分析と調査結果の整理をしており、9月には調査報告書としてとりまとめる予定です。この分野でのリサイクルがさらに進むことを期待しています。(了)
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