NO.216
発行年月日:2009/03/12

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トピックス
◇PVC News No.68を発行します
塩化ビニル環境対策協議会

随想
環境と虚業ビジネス(連載24)
国際連合大学 上野 潔

編集後記

トピックス
◇PVC News No.68を発行します
塩化ビニル環境対策協議会

  3月16日に塩化ビニル環境対策協議会(JPEC)はPVC News No.68を発行いたします。本号は環境省小林局長の、家の環境と地球環境についての特別寄稿を巻頭に、「トップニュース」では東京大学の樹脂サッシ試験採用について、視点・有識者に聞くのコーナーでは鹿島建設(株)米谷様にご登場いただきました。また、「リサイクルの現場から」では「大栄環境グループ」の取組を「塩ビ最前線」では塩ビの良さを使った義手をご紹介しています。

No.68の構成は以下の通りです。
特別寄稿
  『家は小さな地球。家の環境を守ることが地球環境を守ること』
 環境省総合環境政策局 小林 光 局長
トップニュース1
  『東大本郷キャンパス本部棟に樹脂サッシを試験採用』
トップニュース2
  『リサイクル支援制度の新たな採択案件決まる』
 真夏の副音になるか、塩ビのリサイクル材が作り出す人口の木陰
視点・有識者に聞く
  『いま、建材リサイクルに求められること』
 鹿島建設(株)安全環境部 米谷 秀子 氏
リサイクルの現場から
  『持続型社会の実現に向けた大栄環境グループの取り組み』
塩ビ最前線
  『佐藤技研の「塩ビ製装飾用義手」』
広報便り
  『展示会』
 エコプロダクツ展に出展

掲載記事をいくつかご紹介致します。

 本号には環境省の小林局長より寄稿頂きました。
 「家は小さな地球。家の環境を守ることが地球環境を守ること」と題して、家の住環境をきちんと守ることが地球環境を守ることに繋がり、快適で健やかな暮らしに繋がると述べられています。樹脂サッシを使うことでオフイスや住宅からのCO2排出の削減に効果があることを、環境省に設置した樹脂サッシの内窓の定量評価を使い紹介頂きました。

 「視点・有識者に聞く」のコーナーは『いま、建材リサイクルに求められること』と題し、鹿島建設株式会社の米谷秀子氏のお話です。建設リサイクルの本格的な実現に向けて、鹿島建設でのゼロエミションに取り組まれています。「安全と環境こそ企業活動の基盤」であり、現場運営の土台と強調されています。

 「塩ビ最前線」はあまり知られていない福祉分野で活躍する塩ビ製の義手を紹介しました。塩ビ製義手の歴史は古く昭和30年頃からすでに開発が始まり製品化されていました。塩ビならではの着色性や加工性を利用し、リアルな質感を出されています。

『PVCニュース』はJPECのホームページから、最新号、バックナンバー共にご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/
ご講読を希望される方は、下記メールアドレスまで、送付先・TEL・希望部数などをご連絡下さい。
info@vec.gr.jp

随想
環境と虚業ビジネス(連載24)
国際連合大学 上野 潔

  大変な経済危機が世界を震撼させています。一昨年の世界企業ランキングを見ると上位を占めたのは、金融、石油、自動車の御三家でした。素材も電気電子もそして世界の政治もこれらの巨大産業界に支配されていたことがわかります。日本には製造業を重視して、金融や保険などの仕事を軽視する風潮がありました。物を作らない人々が高い収入を得て贅沢な暮らしをし、政界にも影響を及ぼすことへの反発です。来年の世界企業ランキングがどう変化しているのか興味が高まります。

 ソフトウエアやサービス業など第3次産業へのシフトを推奨する風潮が日本でも高まっています。確かにひたすらものづくりに励む姿が若者には受け入れられなくなっています。大学の工学部でも電気、機械、素材などの基礎工学部門の人気は下がる一方でした。昨年初めにはサービス工学研究センターが独立行政法人の産業技術総合研究所に新設されました。第3次産業が科学的に研究され躍進することは先進国の証拠でもあるようですから、それは歓迎することなのかもしれません。

 最近進出著しいのが、認証ビジネスです。昔から企業や団体の経理については、第3者による監査が行われ、公認会計士など権威ある資格者によって信用が保障されていました。ビルの構造計算も素人では判定できないので、指定確認検査機関が、建築基準法に基づき、建築確認の認証をしています。企業の優良度合いを示す格付け会社も米国発の認証ビジネスの範疇です。いずれも無条件では信用できないことがわかりました。
 民間規格であるISOの環境規格や品質規格を民間の認証機関が行うのは当然かもしれません。環境審査員の資格は筆記試験や実務経験を含む厳密な要件を満たさなければ、得られません。だからこそ信用できるのですが、最近は環境ラベル、環境報告書、LCAなどの分野での認証ビジネスも増えています。一般市民からすれば、「自己宣言」などといわれても、見つからなければ平気で嘘をつく企業が続出する現状では信用できる第3者による認証が欲しくなるのも当然です。
 問題はその認証機関が信用できるかどうかです。企業も、数百万円払えば認証が得られ、社会的信用が得られて売り上げ増加になるのなら安いものだと考えるのです。ここ数年ISO規格の認証を得た「立派な会社」の不祥事が続きました。ISO規格の認証は、その会社の製品や経営者を保証したわけではないのですが一般の人は製品や経営者まで認証を得たものと勘違いします。

 もうひとつの分野が手数料ビジネスです。電話の通話料金、銀行の振込み料金、役所での証明書発行料金などは古くからある典型的な手数料です。有名な家電リサイクル料金にもリサイクルプラントが必要とする処理料金だけでなく、全国に構築されている家電リサイクル券システムを維持するための手数料が入っています。いづれも手数料が無ければ制度が成り立たないのです。
 米国は金融分野でサブプライムローンをはじめ多数の手数料ビジネスを発明しました。そして欧州は環境に関する手数料ビジネスの発生地です。最近欧州で運用が開始されたREACH規制(Registration Evaluation Authorization Chemicals)の登録は環境に関する手数料ビジネスです。これでフィンランドの拠点には3000人の新たな雇用が生まれています。カーボンフットプリントや環境ラベルの登録料は認証ビジネスだと言われるかもしれませんが手数料ビジネスとの区別は曖昧です。

 数年前から、工場などの製造事業所だけでなく本社や営業所などの事務部門や大学、自治体などもISO14001の認証を得ることが流行ってきました。
 日本だけではなくタイの多くの大学でもISO14001の認証を得ているとのことでした。タイの若い大学講師に「何の目的で大学が認証を得るのですか?」と意地悪質問をしたら、「私たちの大学では毎年学生を社会に送り出しています。その学生の品質を保証するために認証を得ているのです。」との答えが返ってきました。
 大学の工学部や医学部では、危険な化学物質の取り扱いや、保管、廃棄処理に無神経では困りますし、電気や紙の無駄使いだけでなく遵法も重要なので環境監査の意義があると思っていましたが、タイの大学の先生の答えには意表を突かれました。
 日本なら「学生を製品扱いしている」と非難されるかもしれませんが、責任感のある率直で真摯な言葉でした。利益を目標としない大学や自治体でも無駄は削減すべきですが、遵法や学生の質、住民サービスへの意識の存在などこそ認証の重点対象にすべきだと思いました。

 今年は未曾有の経済危機の年です。虚業ビジネスというと悪いイメージですが、欧州は環境分野で認証ビジネスと手数料ビジネスを巧妙に創生しています。誰もが従わざるを得ないので経済危機にも強いビジネスです。
 この機会にこそ、高度化された社会システムを維持するために本当に必要で不可欠な手数料ビジネスや認証ビジネスを峻別することが重要であると思います。(了)

前回の「EPRの誤解(連載23)」は、下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/212/index.html#zuisou
バックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

編集後記
  国連大学上野先生の連載は、通説に対して一寸おかしいぞ、といつも鋭いメスをいれてくださいます。今週の認証ビジネスに絡んだ随想も興味深いものでした。タイの若い大学の先生の「大学が認証を取得するのは学生の品質を保証するためです」の真っ当な言葉に大学の役割についてあらためて考えさせられました。
 3月も来週はもうお彼岸。街を歩いているとどこからともなく沈丁花の香りが漂ってくる季節になってきました。これから3月下旬にかけては、卒業式のシーズン。品質(?)を保証された学生さんでも就職できかねない厳しい時代ですが、早くこういう時期が過ぎて景気が回復するのを願うばかりです。(丸茶)

VEC関連URL
●家族で学べるページ https://www.vec.gr.jp/kids_new/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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