NO.219
発行年月日:2009/04/02

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トピックス
◇小学生向けの出前授業風景
 −全国の12校に、「エネルギーとCO2」の環境授業−

随想
地球語(連載25)
(独)科学技術振興機構 上野 潔

編集後記

トピックス
◇小学生向けの出前授業風景
 −全国の12校に、「エネルギーとCO2」の環境授業−

出前授業の様子
出前授業の様子が掲載されました
  全国の小学校10,000校に、生徒用「かんきょうワークノート」と先生用の副読本「環境最前線」を配布し、環境に関する「出前授業」の案内をしたところ、東京、埼玉、神奈川、広島、新潟、大阪、宮城の各都府県の13校から希望が寄せられ、今年1月から3月に掛けて、既に12校で出前授業を行いました。受講された延べ人数は、生徒数916名、先生27名、保護者約40名に上ります。
 先生役は、4年前から中学、高校、大学生向けに「出前授業」を行っているベテランの木下と、その指導を受けて初めて担当した一色の二人です。二人はVECの広報担当であることから当然の役割を引き受けましたが、その他、担任の先生との日程調整や教材の準備・発送等を女性事務員が担当しました。

 今回の出前授業のテーマは「エネルギーとCO2の話し」で、ろうそくを使った燃焼実験によるCO2の発生、各種プラスチックの製品紹介、世界地図での資源国探し、一日に使用する石油量の簡単な計算問題などを盛り込み、飽きの来ない工夫を行いました。事前に、火気使用の可否、大型世界地図の有無、パワーポイントでの説明に対応した機器の準備などを確認し、状況に応じた対応が欠かせませんでした。

 当日は、事前に調べた地図を頼りに、教材に使うプラスチック製品サンプルを入れた袋を下げて、授業の30分前までに現地に到着するように心掛けました。最寄りの駅から歩く場合が多く、地元の商店街・住宅地・畑などを通っていくと、それぞれの小学校の生徒が育っている環境が分かり、授業を受ける生徒達の顔が浮かんできます。迎えて頂く先生方も、どんな講師が来るのか分からず不安げに待たれておられる様子で、お会いしたときには、初対面ながら、お互いにホットする場面も多々ありました。早速に、担当の先生との擦り合わせや、授業をする場所での下準備を行い、生徒の登場を待ちます。授業の場所は、教室・講堂・体育館・理科実験室・視聴覚室・多目的室・音楽室など学校によって様々です。対象の生徒は学校によって4年生或いは5、6年生と多様で、クラス毎や2−3クラスを纏め、総合学習、社会科、家庭科などの授業時間が当てられていました。授業参観日と重ねて保護者が参加された小学校もありました。

 元気の良い挨拶で、いよいよ授業が始まります。初めは緊張した様子で聞いていますが、エネルギー資源の枯渇問題やその多くを海外に依存していること、貴重な石油の大半を燃やしてCO2を発生していることなどを説明すると身を乗り出して聞き入り、ろうそくによるCO2の発生実験を始めると目が輝いてきます。持ってきたサンプルのプラスチック製品を取り出して手渡すと、不思議そうに眺めたり、触って見たりします。子供達が驚く様子に、選んで持ってきた甲斐があったと感じる時間です。
 実験も交えた説明が終わると、質問の時間になります。難しいテーマのため質問も無いのではと思っていると、次々に素直な質問が飛び出し、情報の引き出しから取り出して答えるのも楽しみな時間です。今回の出前授業で、子供達が身の回りの生活を考える機会になった様子で、良かったと思いました。最後に、また、大きな声で「ありがとうございます」と感謝の言葉を聞き、こちらも感謝の気持ちで一杯になりました。

 授業後に校長先生とお話しをすると、どの学校も子供の自発性に熱心で、日頃から環境問題への取り組みをされていることに感心しました。環境問題は幅広い知識と専門性の高い内容を要求されるケースが多く、担任の先生がカバー出来ない話題もあるため専門家を呼んで講義する傾向が増えているそうです。また、どんな授業を行っているかを理解して頂くため、保護者にも参加して頂くようにしておられるとのこと。将来を担う子供たちを教育し、育てていくことのご苦労と、その情熱に頭が下がる思いでした。

 協会に戻ると、出前授業をした小学校から、授業の感想文を送って頂くことがあり、その内容にまた感激しています。また、メディアが出前授業を取材されて、その授業内容が地域ニュースに掲載されたこともあります。出前授業を続けていく原動力になります。
 今後も、社会貢献の一環として、小学校を初め、中学校、高校、大学向けの出前授業を続けて行きたいと思っています。テーマには、「プラスチックの基礎知識」、「エネルギー資源と地球温暖化問題」、「プラスチックとリサイクル」なども取り上げ、生徒たちのレベルに合わせた内容にしたいと考えています。塩ビはプラスチックのひとつとして説明するだけで、これまでの経験を活かした広義の環境情報を提供することで、子供達が何かを考え、何かを始めるキッカケ作りになれば良いと考えて行っています。是非、一期一会の「出前授業」を受けて見たいと思われる先生は、当協会にお申し出下さい。楽しみにお待ちしています。(了)
info@vec.gr.jp

随想
地球語(連載25)
(独)科学技術振興機構 上野 潔

  昨年の新聞に、中国で中国版「地球語」作りに励んでいる元英語教師の話が紹介されていました。本来の地球語(Earth Language)は、Ms.Yoshiko McFarlandによって提案された視覚言語のようですが、中国人も外国語には苦労していることがわかります。

 国際連合の公用語は英語、フランス語、ロシア語、スペイン語、中国語そしてアラビア語の6ヶ国語です。アラビア語は戦勝国以外で唯一後から国連公用語に追加されました。日本の国連分担金は米国の22%についで16.6%で、他国を圧倒していますが(3位ドイツ8.6%、4位英国6.6%、5位フランス6.3%、イタリア5.1%、カナダ3%、常任理事国の中国は2.7%で9位です)残念ながら国連以外の世界の機関でも、日本語は公用語として認められていません。国連以外の国際機関でも圧倒的に多い公用語は英語とフランス語です。先ほど戦勝国と書きましたが、普段話されている世界の言語別人口で言えば、中国語8億人、スペイン語3億人、英語4億人、アラビア語2億6千万人、そして日本語は1億2千万人ですから公用語に採用されないのはやむをえないことかもしれません。

 国際連合の上級職員に日本人が少ないのは、採用条件である「最低2ヶ国語の公用語が堪能である人」が少ないからとも言われています。たしかに身の回りにも2ヶ国語が堪能な人は殆ど見かけません。最近の大学では第2外国語がなくなったそうですが、外交官を目指す場合は高校の頃からフランス語を習得しておくと将来有利といわれます。
 海外での会議や学会では当たり前のように英語が使われます。私が学生の頃は(40年以上前ですが)エスペラント語が未来の国際用語としてまだ盛んでした。
 残念ながら英語がビジネスや学問の世界では「地球語」になってしまったようです。英語の論文で発表をしなければそもそも世界の人に読んでもらえないからです。英文の記録が残っていないとノーベル賞をはじめ世界の学界や知的財産権の先陣争いの戦列から外されてしまいます。

 最近の若い人は皆英語が達者ですが、中国の幹部クラスの人には英語が通じない人が沢山います。文化大革命で英語教育が排斥されたのが響いているとのことですが、最近はまったく違います。若い中国人は英語の発音も綺麗です。でもタクシーは駄目ですね。
 ウイーンは観光都市ですから殆ど何処でも英語が通じますが、タクシーとなると英語はもとより最近ではオーストリアの国語であるドイツ語もできない東欧からの出稼ぎの運転手がいるのにびっくりします。国際都市であるジュネーブのタクシーでは、フランス語が勢力を誇っています。
 アメリカは当然ながら英語なのですが、私にはさっぱり聞き取れません。スピードがやたらに早いのです。アジア人の英語はさらにわかりません。一番わかりやすい英語は日本人の英語です。目をつぶって聞くとすぐわかります。海外の会議で英語のほかにフランス語や中国語ができると相手の見る目が変わります。会議中のひそひそ話が消えます。相手に内容が判ってしまうからでしょう。国際会議で日本語の唯一の利点は、日本語でひそひそ話しをしても決して相手にはわからないことでしょう。でも、韓国や台湾に行ったときは日本語が良くわかる人がいることがあり冷やりとします。

 重要な国際会議では、必ず専門の通訳をつけるのが原則のようです。フランスの大統領もドイツの首相も相手の話す内容は全てわかっているのに、皆イヤホンをつけています。通訳のおかげで一呼吸置いてから話すことができるのです。英語の達者な日本の総理大臣が過去にもいましたが、自慢げに通訳無しで話をするのにはまったくひやひやです。天気の話くらいならよいのですが。
 自分にできないことを人に勧めるなといいますが、若い人には外国語に堪能になることを心から勧めます。世界が広くなりますからね。但し小学校から教えても意味は無いと思います。論理的な思考を鍛えるためにはまず日本語を正しく学ぶことが必須ですからね。

 さて、私も国際連合大学との契約をこの3月で任期満了により終了いたしました。学内は決して公用語で溢れていたわけではありませんが、4月からの勤務先は日本語世界なのでずいぶん気持ちが楽になります。私の知っている塩ビ工業界の諸兄は、ビジネスで世界に雄飛されたためか、皆英語が達者でした。どこで習得されたのでしょうか?(了)

前回の「環境と虚業ビジネス(連載24)」は、下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/216/index.html#zuisou

バックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
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編集後記
  小学生のときに熱心に植えた杉の木が大きく育ち、お陰で、家内共々花粉症に悩まされるこの頃です。家内は耳鼻咽喉科で目薬と花粉症の薬をもらい、わたしはアメリカから持ち帰った薬を飲んでいます。期せずして、その薬は同じもので、英国産の錠剤でした。朝に飲むと24時間効果があり、マスク要らずの一日を眠くもならずに快適に過ごせます。その錠剤の箱には、薬の成分と使用上の注意事項が細かく記載されています。手に入れるのに、日本では医師の許可が必要ですが、アメリカでは近所の薬屋で自由に買えます。自己責任の中で判断していく社会と、囲いの中で安全に過ごせる社会との違いかも知れません。何事にもリスクとベネフィットがあり、正しく判断できるように、的確な情報の提供をすることが前提です。メルマガでの情報提供でも、そのことに心がけて行きたいと思っています。(円行)

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