NO.223
発行年月日:2009/04/30

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トピックス
◇KOVEC新会長の表敬訪問

随想
長期使用製品の安全点検とラベル文化(連載26)
金沢工業大学・(独)科学技術振興機構 上野 潔

編集後記

トピックス
◇KOVEC新会長の表敬訪問

VEC近くの隅田川の桜シーズン風景
  お隣韓国にもVECと同じように塩ビ樹脂メーカーを中心とした業界団体KOVEC(Korea Vinyl Environmental Council)があることは以前紹介しました。まだ東京に桜が残る4月の初め、この春から会長会社となったHanwha Chemical Corporationより、KOVEC新会長であるSang-Heum, Han氏がVECを訪れ、VEC 関専務理事、APVN 堀事務総長と意見交換を致しました。

 KOVECは設立3年目で、会長会社は2年ごとにHanwha Chemical CorporationとLG Chem, Ltd.が交代で就任しています。KOVEC事務局は環境技術部門と調査研究・広報部門からなり、産業界のみならず行政や学術界などと広くコミュニケーションをとって、塩ビを中心とした環境関連の正しい情報普及活動をしています。また、塩ビのリサイクル推進のための組織も近年内部に設立しました。KOVECは、アジア地域の環境問題を話し合う場として組織化されているAPVNにも加わり、国際活動にも積極的に参加しています。

 他方、韓国内一部にはまだまだ塩ビに関する誤解が根強く、電子・電気業界の塩ビに対する過剰反応への対応にも苦慮しておられるとのことで、今後も日本の経験を参考にしたいといわれておりました。

 リサイクルについても、韓国では近年パイプなどの建築材について一定量のリサイクルができない場合、製品メーカーに廃棄物税が課税されることとなり、塩ビ産業界でもリサイクルへの取り組みが急務となっており、VECも共同で取り組んだリサイクルの実例として、流通業界大手のギフトカードリサイクルの事例を紹介したところ、大変興味を持たれました。

 日本と韓国の距離は非常に近いことから、お互いに今後益々密接な情報交換をしていくことを約束致して、会談を終了致しました。既にKOVECでは、日本の情報がKOVECのホームページで紹介されており、情報普及活動に役立っています。
 KOVECのホームページは以下からご覧になれます。(了)
 http://www.ikovec.or.kr/k_k_loc.asp

随想
長期使用製品の安全点検とラベル文化(連載26)
金沢工業大学・(独)科学技術振興機構 上野 潔

  2009年4月から、「長期使用製品の安全点検・表示制度」が始まりました。安全点検の対象はガス石油機器など9品目、表示制度の対象は扇風機、ブラウン管テレビなど家電製品5品目です。ガス石油機器など安全点検の対象製品を購入した所有者は購入時にメーカーに葉書を送付し、メーカーは点検期間開始前(6ヶ月以内)に所有者に郵送や電子メール等で点検通知を出すことが義務付けられました。家電製品5種については経年劣化による重大事故発生率は高くないものの、設計上の試用期間と経年劣化についての注意喚起等の表示が義務化されています。

  自動車の車検制度は無駄な部分も多く批判が多かったのですが、安全の観点からは高く評価されてきました。車検によって重要保安部品の点検や交換が行われるので、安心して車が使用できるのです。同じ制度がガス石油機器や、電気製品に適用できればガス中毒や火災など不幸な事故は未然に防げるのではという意見が昔からありました。しかし、これらの製品には免許制度や使用年齢の制限はありません。購入しても役所に登録して税金を納める必要もありません。コンセントを差してから、故障するまで事実上メンテナンスフリーで使用されるのです。

 防水加工した電気カーペットの発火事故が報じられていました。防水加工は、カーペット本体部分のみで、電気制御部は防水ではなかったためとのことです。今後は水中でも使用できるような完全防水の電気カーペットが開発されるまで、小さな文字による詳細な注意書きラベルが貼付されることでしょう。
 数年前まで、電気かみそりを水に濡らすなんてトンでもなく危険なことでした。ヒゲ屑を水に流せる機種が発売されて以来、今では殆ど全てが防水電気かみそりになりました。洗濯機など水を使う電気製品の電子回路や電気部品は昔から防水設計がされています。リサイクルプラントでも電気洗濯機の回路基板は防水のため全体が樹脂で固められているので分解することが不可能です。

 メーカーは、製品が不適正に使用されないことを願って(訴訟に耐えられるように?)、細かな注意事項を取扱説明書に記載し、機器に注意ラベルを貼付しています。事故が報道されるたびに内容が追加される傾向があります。取扱説明書やラベルは読まれなければ用を成しません。しかし使用者は殆ど読まないのです。
 最近のエスカレーターには、乗り口と降り口にそれぞれ4つ(多いものでは6つ)ものラベルが貼ってあります。「注意!真ん中に乗ること、ベルトにつかまること。」「危険!ベビーカー禁止、車椅子禁止。」「危険!歩行禁止。」「危険!衣類、長靴巻き込み注意。」などですが、皆様は読まれましたか?移動中にラベルを読むほうがよほど危険です。(私は暇なので、横に立ち止まってじっくり読みましたが)

 メンテナンスは「異常・故障」が発生する前に実施します。自動車、昇降機、航空機、船舶などではメンテナンスが重要なビジネス分野になっています。電気電子製品も寿命管理を行って専門化による適正なメンテナンスをすればもっと長期使用が可能です。
 「異常・故障」が起きてから実施するのがリペアビジネスです。電気電子製品のリペアの不満の多くは、1)コストが高い、2)部品が無い、3)時間がかかる、4)製造者以外のサードパーティーが参入するので品質が信頼できない、5)修理しても機能が遅れているので買い換えざるを得ない。などです。
 逆に言えば、製品を設計製造した製造業がメンテナンスとリペアの分野に本格的に参入すれば新たなビジネスが生まれることを示唆していると思います。これは、従来のサードパーティーによるリユースビジネスとは異なる新たな高度ビジネスです。高齢技能者の雇用にもなり、経済の変動にも影響を受けない先進国型のビジネスだと思います。

 「長期使用製品の安全点検・表示制度」は個人情報保護が厳しく運用される日本ではぎりぎりの制度と言えるかもしれません。しかし電気電子業界は寿命管理と安全安心を車検制度と同じように制度的に担保できる千載一遇の機会を逃したのではないでしょうか?機種によって一定年度ごとの有料定期点検と修理が義務付けられれば新たなビジネスの創出にもなります。何よりも世界に発信できる先進的な3R推進手法でもあるのです。当面は「長期使用製品の安全点検・表示制度」によって、使用者には長期使用製品には点検とメンテナンスが必要であることが広く認識され、製造者には新たな新規ビジネスの芽が誕生することを期待します。(了)

前回の「地球語(連載25)」は、下記からご覧頂けます。
https://www.vec.gr.jp/mag/219/index.html#zuisou
バックナンバーは、以下のアドレスからご覧頂けます。
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編集後記
  たまたまテレビを見ていて、滋賀県の天台寺門宗総本山「三井寺」の特別展が開催されるのを知りました。特に仏像に関心があったわけではありませんが、約20年ぶりの「秘仏公開」ということと、そのご本尊の観音様の「本物」を見てみたいという興味から、柄にも無く美術館へ足を運びました。
 国宝「不動明王像」を始め、仏像・仏画など多くの展示品の最後に、やっと目指す「如意輪観音菩薩坐像」があり、ガラスケースの廻りをぐるぐると回り、「仏像」の様子を事細かに拝見させていただきました。大満足したその時ふと、「観音様にしてみれば、久し振りに外の世界に招き出されたと思ったら、梱包されて運ばれてガラスケースの中に展示され、沢山の人に1日中じろじろと観られるとは、さぞ驚いていることでしょう」と思い、あらためて正面からそのお顔を拝見すると、観音様は穏やかな表情で私たちを優しくご覧になっていらしたのでした。ご無礼をいたしましたと反省し、心の中で手を合わせありがたく拝ませていただきました。
 とても良い経験ができまして、今度はこの休暇中に、上野の博物館に展示されている「阿修羅像」を拝観したいと思っているところです。
 来週のメルマガは休刊いたしまして、次回は5月14日(木)となります。楽しい休暇をお過ごしください。(漠)

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