NO.110
発行年月日:2006/12/28

今週のメニュー

トピックス
◇金龍の舞、三社祭、流鏑馬から浮世絵まで
浅草仲見世のシャッター壁画、塩ビフィルムで見事にお色直し

随想 
亀の冬眠
日本ソーダ工業会 坂本明雄
お知らせ
【NEW】VEC HPを更新致しました。

編集後記

トピックス
◇金龍の舞、三社祭、流鏑馬から浮世絵まで

浅草仲見世のシャッター壁画、塩ビフィルムで見事にお色直し

 最近、「格差社会」なぞという言葉がよく取り上げられます。国家政策の所為なのか、個人の考え方の差なのか、富めるものはますます富み、貧しきものはますます貧しくなる世の中になりかけている、のだそうです。
 関係ないかもしれませんが、最近地方都市を訪ねると、中小地方都市の、特に駅前商店街の寂れ様は、往時を知るものにとっては目を覆いたくなる程です。
 その寂れ様を名付けて「シャッター商店街」とか。昼間も夜も、一日中シャッターが下りて要するに開店休業、の商店が並んでいる駅前商店街が増えているのです。

昼間の浅草仲見世
 話し変わって東京は台東区浅草の仲見世通り。浅草の観音様を祭った浅草寺の境内に、100軒近い商店が並んでいて、連日老若男女が詰めかけ、大賑わいを続けています。日本人だけでなく、欧米始め東南アジアやアフリカからも大勢お参りに来ていて、通りを歩いていると聞きなれない外国語が飛び交っているのです。「シャッター商店街」とは大違い、正反対の栄え様なのですが・・・。

 つい先日12月4日の新聞に、この浅草仲見世通りの商店街のシャッターに17年前に描かれた壁画(シャッター画?)が「お色直し」した、という記事が載っていました。1989年、平山郁夫東京芸大名誉教授の監修で製作され、「浅草絵巻」と題されたこの絵巻、なんと長さ400m、高さ2.3mで、仲見世通り89店舗のシャッターに延々と描かれていたのだそうです。
 その絵巻が今回新しくなった、原画も浅草公会堂で公開されている、と聞いたので、早速見に行きました。

浅草公会堂の原画展示
シャッター画:金龍の舞
 公会堂に展示された原画は一の巻から四の巻にまで分けられ、花火、薪能、白鷺の舞、浮世絵、金龍の舞、桜、三社祭、四万六千日、流鏑馬、出初め、など仲見世での年中行事に因んだテーマで描かれたものでした。この絵巻が仲見世通り400mのシャッターに描き広げられているのです。
 なかでも素晴らしい、というか迫力があるのは金龍の舞。毎年春に、観音様を慕う金龍の所作を舞にした行事が行われる、その模様を絵にしたものですが、うねりくねる龍の様子が見事に捉えられていて、一見の価値はあるように思いました。
 年末にかけては午後8時頃から、このシャッター画のためにライトアップしています。一度見に行かれてはどうですか?

 え? 何でそんなことをこのメルマガに載せるのかって? よくぞ聞いてくれました。実は今回の「お色直し」、どうやったかというと、従来は色ごとに小さなシールを作ってそれをシャッターにいちいち貼り付けていたのだそうですが、今回は「技術の進歩により」、「シャッターの絵を写真に撮って加工し、塩ビフィルム(幅90cm、高さ2m)に転写してそのフィルムをシャッターに貼り付けた」のだそうです。この400mのシャッター画、ぜーんぶ塩ビフィルムなんですよ!!

 塩ビのフィルムは耐候性に優れている上、今回の様に写真を直接フィルムに印刷して鮮やかな色合いを出すこともできる素材でもあるのです。塩ビは加工性が良く、様々な手法でいろいろな技術が応用でき、生活の広い分野で社会のお役に立っている素材です。
 以後も何卒よろしくごひいきのほどを。

随想
亀の冬眠
日本ソーダ工業会 坂本明雄

 東京の紅葉と言えば、やはり銀杏でしょうか。京都のもみじには叶わないまでも、街路樹の銀杏が真っ黄色に染まり、さながら黄色いクリスマスツリーとなります。歩道を埋め尽くした黄色い枯れ葉の中に佇む、黄色に染まった光景は、これもまた見事です。
 今年は紅葉が遅くなりましたが、例年ですと11月に入ると、私の近所でも桜や欅などが少しずつ色付き始めます。この季節が近づくと、特に休日は落ち着かなくなります。見事に紅葉した銀杏並木を見に行くためではなくて、紅葉した葉っぱを探すためなのです。

 それは、私が飼っている、10才はとうに超える2匹の亀を冬眠させるためなのです。以前にも亀の話をここで書きましたが、毎年12月に入ると、この亀を冬眠させるための準備をするのです。春から秋までは、泳ぎ回れるような比較的大きなたらいに入れて飼っているのですが、11月になると急に餌を食べなくなり、動きも鈍くなります。そうなると、一匹ずつバケツに移して冬眠の準備に入るのです。
 冬中二階の狭いベランダに置いておりますが、下町の密集地に建っている我が家は、南向きと言えどもあまり陽が当たりません。もしも、水温が氷点下近くにまで下がると、亀の命にかかわります。このため、枯れ葉を入れて水温の低下を防ぐという訳です。布団代わり、ですかね。もう10年以上も続けています。

 この枯れ葉探しが、しばらくは紅葉の時期の休日の日課となります。しかし、枯れ葉ならなんでも良いという訳ではありません。これまでの経験からして、もちろん独断ですが、桜の葉っぱが一番適していることを知りました。桜、銀杏、欅、プラタナス、秋楡、エンジュなど、落葉樹はいろいろありますが、葉が小さ過ぎたり、大き過ぎたり、また水に浸かっている間に腐ったり、中には発酵してきつい匂いを生じるものもあり、亀の身体に合いません。
 私が住んでいる東京都江東区には、桜の木はたくさん植えられていて、探すのに事欠きませんが、桜ならなんでも良いかと言うと、そうは行きません。虫の食っていない、しなやかで、見るからにきれいな葉っぱでないとだめなのです。カラカラに乾いたものは使えないので、できるだけ枝から落ちたばかりのものを探します。日当たりの良い公園や土手など、名所と言われるところに植えられている木ではなく、団地の陰にひっそりと植えられている木や、群から離れてひとり寂しくぽつんと植わっている木に、きれいな葉が多くあります。・・・なんとなく人間にも当てはまるような気がします。

 このような条件に合う桜を探すのですが、紅葉のし始めではなく、綺麗に色づく後半が良く、終わり頃ではすっかり枯れてしまって、だめになります。このため、落ち葉の状況はどうなのかと、およそ1か月の間、休日となると近所をウロウロすることになります。
 最初の状況調査には自転車で行き、桜の木とその下の地面を、自転車を止めてはなにげなく見て回ります。そして、実際に拾いに行く時は流石に一人では行けずに、愛犬の協力を仰ぎます。散歩を装い、犬を無理矢理連れ回すこととなります。一生懸命落ち葉拾いをしていると、近くにお年寄りや子供がいようものなら必ず、何に使うのですか、押し花にするのですか、と声を掛けてきます。中には一緒に拾ってくれる人もいます。そんな時は「別に」と曖昧に応えて、すぐにその場を去ることにしています。

冬眠前
冬眠準備完了
 拾ってきた落ち葉を1週間ほど水に漬けておくと、黄色も赤も皆脱色して焦げ茶色の葉に変わります。何度か水を替えるうちに、多少発酵したような匂いもなくなります。これで、腐らず形を残したまま春まで保つことができます。桜餅の葉として食べられる位ですから、きっと亀にも良い、と勝手に思っているのですが。
 できるだけ密集させるために、1枚1枚、葉柄を切った葉を、バケツ2割ほど入れた中に水を加えて、6分目ほどの水量にします。亀は喜んで(?)、葉の中に潜り込みます。冬眠の準備完了です。春まで気持ちよく寝ていられる・・・かどうかは知りませんが。

 ところで、今年は、熊に襲われる事件が多く報道されました。個体数の増加が原因とも言われていますが、満足に冬眠すらできなくなってしまった自然状態にも問題があるように思います。巡り巡って、人間が自然からしっぺ返しを受けているようにも感じます。
 熊も人間も、自然を敵にしては生きて行けない筈です。何ppbも大切かもしれませんが、センセーショナルなことばかりに目が向けられて、自然を守る、作るという本質を忘れているようにも思えます。亀から大分飛躍してしまいましたが、この辺で失礼致します。

前回の亀のお話は、下記からご覧頂けます。
近くて遠い都会の自然

お知らせ
【NEW】 VEC HPを更新致しました。

 12月20日付けで、VEC HP「塩ビの生産出荷データ」の更新と「トピックス」への最近のVEC活動の掲載を致しました。
 それぞれのアドレスよりご覧頂けます。

 ・11月度の塩ビの生産出荷データ
https://www.vec.gr.jp/enbi/seisan.htm

 ・トピックス
  1.環境省「チーム・マイナス6%」WEBサイトに「樹脂サッシ」記事掲載
  2.APVN本格活動開始——インドのムンバイで総会を開催——
  3.PVCニュースNo.59を発行——全面カラー化、装丁一新——
https://www.vec.gr.jp/topics/index.html

編集後記
 2006年も余すところ今日を入れて後4日となりました。例年どおりなんとなく落ち着かない年末の日々が続いているのはH2だけでしょうか。

 さて、この前出した「二段ぞなぞな」、感想は如何でしたか。「多摩勝馬」様から素晴らしい回答を頂戴しました(108号の編集後記後参照)。百人一首だの平城京だの古風な発想とメトロなどの近代着想が入り混じって、素敵な調和を作っていましたね。
 ついでながらH2作の「ぞなぞな」をお送りしましょう。お分かりかな?
 答:お年玉・・・・・・ハズバンド、羊の歯草、今居ない
 答:初日の出・・・・・・グリーンの、土のうしろのCのあと
 答:年賀状・・・・・・想っても、探さないぞよ、愛娘

 で、いきなり話は変わりますが、このメルマガ、今年はこれでお終いです。来週はお休みを頂いて、新春1月11日(木)に再開します。ただし、H2は今日を最後にこのメルマガの編集業務から(も)引退です。思えば2001年9月6日に第1巻第1号を発信してから延々5年と3ヶ月あまり、通算198号に渡ってお付き合いいただき、誠に有難うございました。
 次号からはVECの東事務局長以下、(比較的)若々しい編集メンバーで取り組むこととなります。引き続きの、いや倍旧のご声援とご支持をよろしくお願い申し上げます。

 え? H2はどうするんだって?えへへ〜、どうしましょうかねぇ。
 これまた日経「私の履歴書」で味の素会長の江頭邦雄さん曰く、余生は「晴耕雨読」ならぬ、「晴ゴ雨ゴ」つまり「晴れたらゴルフ、降ったら囲碁」だとか。じゃあ、H2は?うーん、うーん、どうしょう。
 とりあえず、江頭さんの向こうを張って、「晴ゴロ雨ゴロ」、日夜ゴロゴロでもしましょう。(H2記)

先週の編集後記についての読者からのお便り・・・[編集後記後]

氷の下から芽を出して健気に咲いている花を見て力づけられた話に涙を流さずに、何に涙を流しましょう。ちと、オーバーですが、そんな気持ちです。理由なんてわかりません。訳のわからない涙を流す。それもまた、いいではありませんか。…(やはり年の所為ですかね様)


先週の編集後記をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.vec.gr.jp/mag/109/index.html#kouki

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

■メールマガジン登録解除
メールマガジンの送信希望登録・解除アドレスが変更になりました。

メールマガジンの送信希望登録・解除は下記URLよりお願いします。
https://www.vec.gr.jp/mag.html
■プライバシーポリシー
当協会の個人情報保護に関する考え方については、
下記のページをご覧ください。
https://www.vec.gr.jp/privacy/index.html

◆編集責任者 事務局長  東 幸次

■東京都中央区新川1-4-1
■TEL 03-3297-5601 ■FAX 03-3297-5783
■URL https://www.vec.gr.jp/  ■E-MAIL info@vec.gr.jp