NO.066
発行年月日:2006/02/09

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トピックス
◇マッチだけでなくポンプも使い出した(?)マスメディア
 日経新聞のコラム「常識を疑う」の連載に想う

随想 
 古代ヤマトの遠景(4)—ヤマト政権のその後—
信越化学工業(株) 木下清隆
お知らせ
編集後記

トピックス
◇マッチだけでなくポンプも使い出した(?)マスメディア

日経新聞のコラム「常識を疑う」の連載に想う

 テレビや新聞、週刊誌などのいわゆるマスメディアに対して私たちは、失礼ながら根強い不信感を抱いてきました。
 マスメディアには、社会の中の不正やリスクをいち早く見つけ、それをすばやく報道して社会に警鐘を鳴らす使命があります。これは重々分かりますが、一方、メディア自体もビジネスであり、視聴者や読者に見てもらい、読んでもらわないと成り立ちません。こういったことから、マスメディアは不正やリスクに警鐘を鳴らすことは良くやるけれども、いろいろ調査し研究した結果、そのリスクが過大評価だった、そう大きなリスクではなかった、ということが分かった場合にその事実を報道することには極端に消極的なように見受けられるのです。
 ダイオキシンや環境ホルモンの問題にかかる「風評」で手痛い被害をこうむった私たちとしては、「マッチだけでポンプのないマスメディア」と皮肉りたくもなるのです。

 ところが最近、1ヶ月に渡って日経新聞の毎週月曜日に連載された、「常識を疑う」というコラムは、こういったマスメディアの常識を変えた、斬新な企画に思えます。
 新年から4回連載されたこのコラム、第1回目の話題は「水素社会は当分来ない」というもの。第2回「リサイクル資源のムダ」、第3回「後天的な性質も遺伝する」、第4回「大学特許が革新を妨げる」、と続きました。そこではそれぞれの専門家の意見として、「水素が温暖化防止の決め手というのは期待しすぎ」であり、「経済的に成り立たないリサイクルは社会的にも意味がない」、「生物が環境からの影響や訓練によって獲得した形質も子孫に遺伝する」、「基礎的な研究成果を特許化することでかえって技術革新が進みにくくなる」、・・・といった、従来の常識に真っ向から反論する主張が繰り広げられているのです。そして読んでみると、なるほどそうか、と目からウロコが落ちるような話ばかり。

 現代の複雑な社会の中では、真実を究明することが大変困難である事象も多い。然し、ある時点での定説が社会に流れ、その説が信じ込まれてしまう。そのため、不必要な対策をとったり、お金や労力を無駄遣いしたりする。
 そういった現象が多い中、常識を疑ってかかることも必要だ、と教えてくれるこの連載企画はなかなかのものだ、と評価する気になりました。

 そういえば、この連載で取り上げられそうな話題はいろいろありますね。ダイオキシン問題、環境ホルモン問題、酸性雨問題、地球温暖化問題、・・・。ひょっとして、BSE問題、鳥インフルエンザ問題、エイズ問題、これはないか。その気になれば連載はかなり長期化しそうだぞ、と思ったりもしたのですが・・・。

 誤った、あるいは不確実な定説が社会に流された場合、受け取る市民側としては、その定説の正しさ、限界、影響の大きさなどをいろいろな角度から検証する試みを続けるべきですし、むやみに過激な対策に走らないことが肝要だと考えます。そういった意味で、マスメディア側にも、幅広いデータや見解を公平に報道する努力を求めたいところです。今回の連載企画に敬意を表するとともに、是非シリーズものとして企画を継続して欲しいと思いました。

 「珍しくマッチだけでなく、ポンプも使い出したマスメディア」と評したら、ちょっと誉めすぎかな。

随想

古代ヤマトの遠景(4)—ヤマト政権のその後—

信越化学工業(株) 木下清隆

 卑弥呼の死後、邪馬台国はどうなったのか。
 『魏志』倭人伝には、男王を立てたが国中が承服せず千余人が死んだ。そこで卑弥呼の宗女で十三歳の壱与(いよ)を立てたら国が治まった、と書いてある。宗女とは一族の女という意味である。
 ところが、この少女が何年間、女王の地位に就いていたのかは分からない。恐らく短命だったのではないかと想定されている。それは『晋書』と『梁書』によれば倭国は壱与の後に男王が立ち、恐らくその男王が二六六年に晋王朝の爵命を受けたことが記されているからである。壱与が二五〇年頃王位に就いたとすれば、二六〇年前後には退いていると考えられるところから、十年程度の治世だったことになる。
 男王が立った経緯については全く分かっていない。いずれにしてもこの男王から、ヤマト国家の歴史が始まるのではないかとする考え方が、一部の専門家の間には出てきている。初代倭王の誕生である。

高松塚古墳
 ところがこの後、4世紀末まで倭国のことは外国の資料から消える。何も記載されていないのである。従って、初代倭王とその後継者の行動は全く分からなくなる。
 百数十年後、倭国のことが「好太王碑」の碑文に登場するようになって、やっと又倭国の内情が見えてくるようになる。この「好太王碑」は、高句麗の好太王が朝鮮半島に侵攻して来た倭国を、撃退したと記されていることで有名な石碑である。
 その概要は、「百済と新羅は昔から高句麗の属民であったが、倭が辛卯の年(391年)に渡海して、百済と新羅を討ち両国を臣民とした。高句麗王は臣下になったことを非難して396年に百済を討ったが、百済王は399年倭と通じた。400年、倭人の兵が新羅に侵入したので、高句麗王は5万の兵を派遣して、新羅から倭兵を駆逐した。」といったものである。
 これだけでの文章では、その状況はつかみにくいが、とにかく4世紀末に、倭国から半島へ派兵したことだけは間違いなさそうである。しかも高句麗が5万もの兵を繰り出しているところからみて、倭兵も万単位であったと想定される。何のためにこれほどの大軍を派遣したのか謎だらけであるが、この問題については、ここではこれ以上深入りしないことにする。

 この後、5世紀になると倭の五王として有名な、讃・珍・済・興・武が『宋書』に登場する。421年に倭王讃が宋朝に朝貢して始まり、478年の倭王武の遣使で最後となる。約半世紀の間、倭王たちは宋朝に朝貢し続けたことになるが、何のためにこのようなことを始め、なぜこれを打ち切ったのかも謎である。
 朝貢するということは、宋王朝の傘の中に入ることであり、倭王は皇帝の臣下となることを意味する。歴代中国王朝に対し、倭王が臣下の礼をとったのは、この時代で最後となる。これ以降、607年の遣隋使においては、対等外交に転じており、聖徳太子が書いたとされる、「日出る処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙なきや、…」の国書は有名である。

 以上までに、中国・朝鮮の史料としてどのようなものが残されているかを紹介した。次回からは、いよいよ『古事記』『日本書紀』の検討を始めることにして、これまでに述べてきたことと、どのように対応するのかを見て行くことにする。(続く)

このシリーズ「古代ヤマトの遠景」のバックナンバーは下記からご覧下さい。
「古代ヤマトの遠景(1)・・・卑弥呼誕生」
「古代ヤマトの遠景(2)・・・纏向遺跡」
「古代ヤマトの遠景(3)・・・ヤマト政権の誕生」

お知らせ
ENEX2006 第30回地球環境とエネルギーの調和展 出展案内

日 時 2006年2月16日(木)〜18日(土)
10:00〜17:00
場 所 インテックス大阪2号館
大阪市住之江区南港北1−5−102

テーマ 2010年省エネ社会へ
「変わる、変える、私たちの暮らし、しごと」
〜企業と、家族と、地域でエネルギーダイエット〜
主 催 財団法人 省エネルギーセンター
入場料 無料
樹脂サッシ普及促進委員会とプラスチックサッシ工業会にて共催致します。
ENEX2006 ホームページをご覧下さい。
http://www.eccj.or.jp/enex2006/


ひょうじょう展 〜未来はいい“表情”から始まる〜 出展案内

日 時 2006年2月23日(木)〜3月14日(火) ※水曜日(祝日を除く)休館
10:30〜19:00
場 所 リビングデザインセンターOZONE (3F:OZONEプラザ、6F:リビングデザインギャラリー)
東京都新宿区西新宿3−7−1
新宿パークタワー

主 催 「ひょうじょう展」実行委員会、リビングデザインセンターOZONE
入場料 無料

樹脂サッシ普及促進委員会では、樹脂サッシを用いた遊具の提案として、フレームに樹脂サッシを用いた屏風状の鏡の世界を作り、見えたり、離れたりする不思議な世界を表現します。(6F:リビングデザインギャラリー)
2006年3月9日(木)開催のトークイベント会場に、「塩ビ工業・環境協会PRコーナー」を出展致します。(3F:パークタワーホール ホワイエ)
詳細は、ひょうじょう展 ホームページをご覧下さい。
http://www.ozone.co.jp/WebX?13@251.RIqAbGa3bJt.0@.346a1b17
http://www.ozone.co.jp/WebX?13@@.349c6409


勝ち組み工務店育成セミナー In名古屋のご案内

 樹脂サイディング普及促進委員会では、下記のセミナーに参加し、樹脂サイディングの紹介を行うとともに、樹脂サイディングを使用した住宅の見学会も行う予定です。

日 時 2006年2月24日(金)
13:00〜17:30 (受付開始 12:30)
場 所 中産連ビル本館 2階
名古屋市東区白壁3−12−13
主 催 住まいづくり研究会
【愛知建築士会CPD制度認定講習】
参加費 無料
参加申込み締切り 2月20日(月)
(定員150名になり次第、締切らせて頂きます。)
参加希望の方は下記までお問合わせ下さい
住まいづくり研究会
電 話:092(871)2409

編集後記
 ほぼ1年前のこの欄に、「『なぜ勉強しなければならないの?』と子供に聞かれたら、どう答えるべきか」、という話を書いたことがあります。その後、あちらこちらでの飲み会の時にこの話題を出すと、甲論乙駁、議論がおおいに盛り上がったものでした。

 出てきた答えは、「すべからくよく勉学に励み、以って社会に貢献すべし」なんて昔の修身の先生風の回答から、「くどくど言わずにとにかく勉強すりゃいいんだ」という雷オヤジ風の回答、「勉強した方が将来の選択肢が増えて、アンタの為になるのよ」という教育ママ風の回答(これが人気があった)までさまざまでしたが、どれもちょっとH2にはピンと来ません。

 H2自身で考えた回答は、「勉強なんてしないよりした方が好いに決まってる。一方勉強に限らず、ヒトは誰でも『面白い』ことには一生懸命取り組むものである。だから何の為になんて考えるよりは、勉強を『面白くする』工夫をした方が良いのでは」というものです。
 この論からすると、「最近の教育界は、児童や生徒たちを『面白く』勉強させているか?そういう環境を作ってやっているか?」ということが問題になってくるのですが、如何でしょうか。

(たまにはH2もエエカッコしたいもんね。)

(H2記)


VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
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