NO.097
発行年月日:2006/09/28

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トピックス
◇アイデアいっぱいの農ビリサイクル
茨城県で農ビ回収用の機具が農業アイデア大賞を獲得

随想 
「平積み本書評」その5
信越化学工業(株) 宮島正紀
お知らせ
【NEW】住宅リフォームフェア 出展案内
【NEW】VEC HPを更新致しました。
樹脂サッシ普及促進委員会のホームページがリニューアルされました。
PVC Newsが9/15に発行されました。
第1回再生可能エネルギー2006 サテライトシンポジウムのご案内

編集後記

トピックス
◇アイデアいっぱいの農ビリサイクル

茨城県で農ビ回収用の機具が農業アイデア大賞を獲得

 花や果物、野菜などの栽培に欠かせないビニルハウス。天候や気温に左右されずに豊かな食生活を保証してくれるこのビニルハウスには多くの場合塩ビ製のフィルム、いわゆる農ビが使用されています。

 この農ビは1〜3年程度で新しいものに張り替える必要があるので、大量の使用済み品が出てきます。この使用済み農ビについては30年以上前からリサイクルが進められており、床材や建築土木資材、農業用シートやサンダルなどとして再利用されています。平成15年度のリサイクル率は60%に達しており、マテリアルリサイクルが進んでいる塩ビ製品の中でも特にリサイクル率の高い分野の一つです。

簡単つづら折器
「つづら折り」作業風景
 このリサイクルは、農家がそれぞれ使用済み農ビを地区ごとの集積所まで運び、そこへ回収業者が取りにきて回収工場まで持ち帰ってリサイクルします。
 農家が持ってくる使用済み農ビは、異物の混入を防ぎ、リサイクル作業の円滑化を図るため、一定の形に折りたたみ、いわゆる「つづら折り」の形にしてくることが条件となっていますが、この「つづら折り」のための農家の作業がなかなか大変です。そこで、農家の方々もいろいろアイデアを凝らし、工夫を重ねて対応しています。

 このつづら折り作業を簡素化するアイデアが、この8月、茨城県坂東市のJA岩井主催の「岩井21農業アイデア大賞」に選ばれました。この賞は農業に関するアイデアを競うもので、平成12年から毎年選定されており、今年が第7回なのだそうです。
 岩井農協園芸部会青年部に所属する、岩井七重地区の霜田武さんが考案した、「簡単つづら折器」と称するこのアイデアは、廃材となった塩ビパイプ2本を90センチ幅に立て、これに使用済み農ビを8の字型に巻きつけてつづら折りにするというもの。作業が楽でスピードも速く、作業着が汚れることもなく、また廃材利用のため製作費用もかかりません。審査員からも「製作が容易なので普及性も高い」と評価された由。この7年間、農ビ作業に関するアイデア大賞はこれが初めてだとかで、審査を担当したJA岩井営農課のかたも喜んでおられました。

 茨城県はこの岩井地区を始めとして以前から農ビのリサイクルが進んでおり、平成15年のリサイクル実績は約5,400トンに達しています。同年の日本全国のリサイクル量は約43,000トンですからこの12%を占め、都道府県別ではダントツの熊本県(約10,000トン)に次ぐ全国2位を占めています。
 このような実績を挙げている背景には、農家の方々始め、自治体の関係者、JA関係者その他の協力関係が欠かせません。改善の努力を積み重ねておられる茨城県岩井地区の皆様には、頭が下がる思いです。

 私たち塩ビ業界も、農ビのリサイクル推進のため、農ビの生産メーカーと全農とで構成される農ビリサイクル促進協会(Noubi Recycle Acceleration Council:略称NAC)を中心にリサイクル活動の支援を行っています。
 日本の農業振興のためにも、リサイクルが進んでいるだけでなく、保温性や防曇性に優れ、初期透明性や復元性、こすれ強さなどにも優れている、塩ビの被覆資材を、引き続きご愛顧願いたいと思っています。
 農ビリサイクル促進協会の詳細情報についてはこちらからどうぞ。
http://www.noubi-rc.jp/

随想
「平積み本書評」その5
信越化学工業(株) 宮島正紀

 今回は資源関係の最新本をご紹介します。

『資源インフレ』(柴田明夫著 日本経済新聞社 1,900円)

 2003年頃より諸々の資源価格が顕著に高騰を始めました。石炭、原油、鉄鉱石、アルミ、更には船賃など資源関連価格の一斉の値上げは、平時には前例がない新たなトレンドが始まったことを示しています。この動きに中国経済の急速な離陸が強く影響していることを私どもは知っておりました。しかし、同時に一連の中国の動きには我々がビジネス社会において今まで慣れ親しんできた資本主義のルールとは少し異質な何かがあるとも感じてきました。言うなれば、サッカーの試合で手を使ってはいけないというルールにもかかわらず、一人のラグビー選手が混じりボールを手で扱っているような感覚というようなものかもしれません。

サウジアラビアの海上の
フレアスタック
(写真提供:石油技術協会)
 本年4月に丸紅の経済研究所長の柴田さんが本書を上梓されました。読後、何人もの方に本書を推薦し、部下には必読書として購読を指示しましたが、さて何人が読んだでしょうか?
 私たちが日々直面している資源問題が数字で分かり易く説明されています。中国などBRICsの需要増加で不足する鉄、アルミなどの直ぐには設備的に供給を増やせない一次産品は、時間がかかっても時間の経過と共に需給が緩和されてくるでしょうが、それでも鉱山の開発から精錬所の建設にいたる設備投資額を考えると価格が旧に復することは期待できないかもしれません。問題は現代工業の血液ともいえる石油のように資源を使いきればそれで終わりという限度が見えてきた資源です。
 現在言われている原油の掘削可能量は1兆2000億バレルです。現在一日あたりの使用量は8500万バレルですので、一年あたりでは310億バレルです。現状の水準の使用を続ければ残りは40年分です。著者は一日あたりの使用量が6000万バレルから7000万バレルになるに18年かかったが、7000万バレルから8000万バレルになるのは8年であった。8000万バレルから9000万バレルになるには4年であろうと需要の伸びが加速度的に増加していることを示しています。
 本書から現在世界で起こっている現象を数字で理解いただければ、われわれが直面している問題の大きさが実感いただけるでしょう。
 著者は最終章で、日本は環境と資源節約に貢献できる先進的な技術を蓄積しており、資源の制約も一つのビジネスチャンスになりうると前向きに結んでいます。

『ピーク・オイル』(リンダ・マクウェイグ著 作品社 2,400円)

 本書は、1850年代半ば米国ペンシルバニア州で初めて油田が掘削されてから、最近のイラク侵攻までの150年間の石油事業の歴史を伝記小説のごとく面白い読み物としました。また、本書によるとペンタゴンは「資源枯渇により、絶えざる戦争の時代が訪れる」との報告書を2003年に提出しているとのことですが、著者は「個人的利益を求める少数の巨大な力を持ったものたちが、化石燃料以後の時代に移行しようとする全世界の意思を阻止することは出来るのだろうか?」と述べることで、石油を握るメジャー石油会社の力の源泉と行動
を明らかにしようとします。
 本書はメジャー石油会社の営利主義に対する批判と石油を通じ世界の覇権維持を狙う米国に対する批判という立場で政治的偏向も幾分か感じられますが、それなりに興味深く石油産業とその葛藤の歴史を学べます。
 本書に加え、『石油の歴史 ロックフェラーから湾岸戦争後の世界まで』 (ダルモン・カリエ共著 白水社クセジュ文庫)も石油産業の歴史を分かり易く説明しています。

特に、次のような疑問を持ったならこの本はお奨めです。
・ロックフェラーはどのようにして石油王になったのか?
・何故、アメリカでSUV(スポーツ多目的車)がこれほど売れているのか?
・ベネズエラのチャベスとはどのような大統領か?
・OPECはどのようにして石油の支配権をメジャー石油会社より取り戻したのか?
・イラク戦争の本当の理由は米国による石油資源確保が目的ではなかったのか?
・原油資源の減少が今後の世界情勢にどのような影響を及ぼして行くのか?
・地球温暖化に対する米国政府、メジャー石油会社の考え方はどうか?

『石油最終争奪戦』(石井吉徳著 日刊工業新聞社 1,900円)

 大仰な題名の本ですが、著者は東大で資源開発工学の教授をされ、その後国立環境研究所の所長をされていた方で石油掘削の専門家です。
 著者は石油資源論に止まることなく、資源を通じ独自の文明論を展開しています。特に、エネルギーの形が文明の形を決めると。例えば、我々は学校で蒸気機関の発明により産業革命がもたらされたと学びましたが、有限である森林の薪炭の制約から逃れ、石炭にエネルギー源を転換したことが、18世紀の産業革命の本質であり、即ち これは燃料革命であったと。
 さて、本書は、まず資源とは何か?と問いかけます。「濃縮されて、大量にあり、経済的な位置に(入手が容易な位置に)あるものが資源である」と定義します。その上でエネルギーの質を、いくらの「入力エネルギー」を使っていくらの「出力エネルギー」を取り出すかと計算しこの値の大きなものが良質のエネルギーであるとします(これをEPR=Energy Profit Ratioと称しています)。
 例えば、メタンハイドレードは日本近辺の海に大量に存在すると言われていますが、分散して存在していますので収集の技術が進歩するまでは我々の使える資源にはなりません。メタンハイドレードを収集するエネルギーと、メタンハイドレードより得られるエネルギー量を比較すれば、とても割に合わないということになります(即ち、EPRの悪いエネルギーとなります)。
 石油も陸地のもの、浅い海のものは既に掘削されています。今後は深海の高深度のものしか手に入らなくなってきています。
 我々人類は容易に手に入る(=EPRの高い)石油をどんどん使い果たしました。今後は入手に従来以上にコストの掛かる(=EPRの低い)エネルギー源に頼らざるを得ません。地熱発電、風力発電、太陽光発電といっても施設を作り運転するエネルギー量(建設費と補修費)とそこより得られるエネルギー量を比較するとかなり割の合わないのもになります。
 すると、最近の資源価格の高騰も、地政学ファクターにより資源価格が高くなっているとの通説と異なり、資源の枯渇を知り有限の資源の争奪戦をするから紛争が増加してきているのだとの見方も出てくることになります。(なるほど!)

 ★ ★ ★
 1900年に20億人であった世界人口は、1960年に30億人、1999年に60億人、現在65億人、2050年には91億人となります(国連の推定)。今日既に石油資源の限界が見えてきていますので、我々にとって重要なことは資源の浪費を避け、子孫になるべく多くの資源を残し、子孫が代替エネルギーを開発するまでの間のつなぎを作ってやることと思われます。塩ビ樹脂は原料の6割が無尽蔵の塩であり、また塩ビ製品はリサイクルが容易ですので地球の資源を守るには最適なプラスチックです。塩ビサッシは建物の省エネに貢献しています。意外に知られていない事実ですが、是非知って欲しい事実です。

前回の「平積み本書評」は、下記からご覧頂けます。
☆ 「平積み本書評」その4

お知らせ
【NEW】 住宅リフォームフェア 出展案内

 樹脂サッシ普及促進委員会では、消費者とリフォームのプロとの出会いの場となる、「住宅リフォームフェア」に出展致します。

[甲府会場]
 ・日 時:2006年10月7日(土)〜8日(日)
      10:00〜17:00
 ・場 所:アイメッセ山梨
      山梨県甲府市大津町2192−8
 ・主 催:(株)リフォーム産業新聞社
 ・後 援:甲府市

 ・住宅リフォームフェアのホームページをご覧下さい。
http://www.the-reform.co.jp/fair.html

【NEW】 VEC HPを更新致しました。

 9月20日付けで、VEC HP「塩ビの生産出荷データ」の更新と「トピックス」への最近のVEC活動の掲載を致しました。
 それぞれのアドレスよりご覧頂けます。

・8月度の塩ビの生産出荷データ
https://www.vec.gr.jp/enbi/seisan.htm

・トピックス
 1.まもなく環境省に「塩ビサッシ内窓」登場
 2.好評の報道関係向け資料「塩ビニュースレター」Vol.3
   を発行
 3.第4回住まいと環境・エネルギーセミナー開催
https://www.vec.gr.jp/topics/index.html

樹脂サッシ普及促進委員会のホームページがリニューアルされました。

 「快適+エコを目指す樹脂サッシ」をご紹介している、樹脂サッシ普及促進委員会のホームページを、より親しみやすく致しました。
次のリニューアル・ポイントを是非ご覧下さい。

★インフォメーション欄を新設致しました。
 展示会・セミナー等のイベント情報をご紹介致します。
 http://www.jmado.jp/main.html
★リフォームの内装工事実例をご紹介しています。
 開始から完成までの時間を追った手順と省エネ効果について写真とデータを掲載致しました。
 http://www.jmado.jp/jirei.html
★「断熱効果とコールドドラフト防止」についてご説明しています。
 http://www.jmado.jp/colddraft.html

樹脂サッシ普及促進委員会トップページはこちらからご覧頂けます。
 http://www.jmado.jp/

PVC Newsが9/15に発行されました。

 PVC News 58号(塩化ビニル環境対策協議会)が発行されました。
目次をご紹介致します。

 ■トップニュース(1)
  床材から床材へ/塩ビ床材リサイクルの現状 — インテリアフロア工業会
 ■トップニュース(2)
  塩ビ建材のリサイクル促進へ、3R可能性調査報告書まとまる
 ■視点・有識者に聞く
  対立を超えて、持続可能な社会へ
   国際NGOナチュラル・ステップ・ジャパン代表 高見 幸子氏
 ■リサイクルの現場から
  (株)コベルコ・ビニループ・イースト社の塩ビリサイクル事業
 ■講演会レポート
  安井国連大学副学長、持続可能性実現への道筋を語る
 ■塩ビ最前線
  街に息づく「塩ビバルーン」のあれこれ
 ■広報だより
  ・「エネルギーソリューション&蓄熱フェア’06に」出展
  ・「これからの快適な住い作りセミナー・諏訪セミナー」開催

 以上、内容充実で、塩ビに関する情報をお届けしています。

記事内容は、こちらからご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/index/i_saisin.html

バックナンバーは、
塩化ビニル環境対策協議会のHPよりご覧頂けます。
http://www.pvc.or.jp/

購読を希望される方は、送付先などをご連絡下さい。

第1回再生可能エネルギー2006サテライトシンポジウムのご案内

 10月9日〜13日に幕張メッセにおいて、再生可能エネルギー技術に関わる世界各国の産・官・学の専門家・研究者が一堂に会し、21世紀半ばを視野に入れた技術の方向性を明らかにする「再生可能エネルギー2006国際会議」が開催されます。(http://www.re2006.org
 この会議と併催で産・学・官及び地域の先進的な取り組みを紹介するセミナーが次のとおり開催されます。

 ・テーマ:『再生可能エネルギーを活用した自立分散型
      エネルギー社会システムの構築に向けての提言』
 ・日 時:2006年10月11日(水) 13:00〜17:00
 ・場 所:APAホテル&リゾート東京ベイ幕張
 ・主 催:NPO法人日本環境・防災社会システム推進機構
 ・後 援:(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
 ・参加費:お一人様15,000円(税・テキスト代含む)

 ・お申込/問合せ等の詳細は、以下のアドレスをご覧下さい。
 http://www.cnt-inc.co.jp/energy/seminor.html

編集後記
 「マッチだけ持っててポンプがない」とか「何でもかんでも視聴率第一主義でいいのか?」とか、日頃マスメディアに対して悪態ばかり吐いているH2ですが、最近、そうでもない現象を見つけました。一つは某TVでの「各界代表合唱コンクール」。俳優やら芸人やら落語家やら果ては国会議員団まで出場しての合唱コンクールです。「メンバーが同じ目的のために心を一つにして歌う合唱の良さをもっと社会に広めるべきだ」と考えているH2の心に添った企画でした。この企画、久々のヒット、と見ました。
 もう一つは各社一斉に始めた「飲酒運転取り締まり強化」番組。どうしてこれをもっと前からやらなかったのか、と思うほどです。大賛成です。
 ただし、あんまり一斉過ぎていて、各社申し合わせの結果じゃないの?と勘繰りたくなるのは、H2の悪い癖ですな。(H2記)

先週の編集後記についての読者からのお便り・・・[編集後記後]

一人の赤ちゃんが誕生しました。他の赤ちゃんとどこが違うのでしょうか」。『橋のない川』の作者、故・住井すゑさんは「皇太子殿下がお生まれになった?ヘンですねえ。人間の子でないのかしら。人は生まれた時、みな同じ赤ん坊ではないんですか?」と言いました。今この瞬間も生まれて来る、日本中、世界中の赤ちゃんたち一人ひとりが、あの赤ちゃんと同様に祝福され、豊かな環境で幸せに育てられることを祈らずにはおられません。実態が全くそうでないだけにね。…(まえだなおや様)

「若々しい編集後記を書きたい」とは、半年ほど前にも聞いたような気がします。アウトドア派のH2さんらしくない…。ところで、私は、20年来コンタクトレンズを使っています。実は、そろそろ老眼気味という「若さ」なので、いろいろ思い悩んでいます。…(コンタクトも遠近両用?様)

先週の編集後記をご覧になりたい方は、こちらからどうぞ。
https://www.vec.gr.jp/mag/096/index.html#kouki

VEC関連URL
●VEC 塩ビジュニア https://www.vec.gr.jp/kids/index.html
●塩化ビニル環境対策協議会 http://www.pvc.or.jp/
●樹脂サイディング普及促進委員会 http://www.psiding.jp/
●樹脂サッシ普及促進委員会 http://www.jmado.jp/
●メールマガジンバックナンバー https://www.vec.gr.jp/mag/index.html

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