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安定剤の働き

 塩ビ樹脂は170~180℃程度の温度になると分子中の塩素、水素が脱離して塩化水素の発生が顕著になり、いったん分解すると分子構造に不安定な部分ができるため、塩化水素の脱離が促進され、連鎖的に分解が進行します。塩ビ樹脂の加工は加熱、軟化させて行うので、熱履歴による塩化水素の発生を抑制し、加工時の分解を抑える必要があります。安定剤は、塩ビ樹脂から最初の塩化水素の脱離を防ぎ、分解の連鎖反応をくい止める目的で加工時に添加されます。

 また、塩ビは製品として使用されている段階で、わずかですが光(紫外線)や酸素により脱塩化水素が引き起こされます。あるいは、二次的に発生する金属塩化物などによりさらに脱塩化水素が促進され、結果として、変色したり物性の低下を起こしてしまいます。これらの劣化抑制を目的として、紫外線吸収剤や酸化防止剤が安定剤といっしょに使用されています。