レスポンシブル・ケア
塩ビモノマー(VCM)や塩ビ樹脂を製造するにあたり、一般環境や作業環境を良くするために塩ビ業界が自主的に取り組んできた活動、二塩化エチレン(1,2-ジクロロエタン,EDC)および塩ビモノマーの排出量とダイオキシン排出量の削減と現状についてご紹介します。
VEC会員各社がレスポンシブル・ケアの精神に則り、PRTR制度の下、さらに一層の排出削減に取組んでいることをご理解いただきたいと思います。
1.EDC/VCMの排出削減への取組み
1970年代に米国で発生した塩ビモノマーの発がん問題を契機に、国内では、1975年、塩ビモノマー製造工程における発がん問題への対応のため、労働安全衛生法により作業環境管理濃度(作業環境幾何平均2ppm以下、重合槽内5ppm以下)が定められ、塩ビ製造各社はVEC(当時の塩化ビニル工業協会)を中心に労働安全衛生確保のため作業環境の改善に努めるとともに、一般環境への影響の未然防止の観点から、1980年には排出自主管理基準を定め業界が一丸となり排出削減に取組んできました。
その後、化学物質による一般環境への影響の未然防止の観点から、事業者による自主管理対策の促進をはかることを目的に1996年5月、大気汚染防止法の改正が行われ、VCMおよびVCMの原料であるEDCを含む12物質が排出削減優先取組物質に指定されました。これを受け、EDC、VCMの排出自主管理基準の見直しを実施、技術開発や設備の改修、新設を行うなど6年にわたり排出削減に取組みました。その結果、2003年(自主管理計画最終年)において基準年である1995年比でEDC94%(2290t/年→137t/年)、VCM82%(1866t/年→339t/年)の大気への排出量の削減が実現できました。(下図参照)
また、環境省では大気環境評価のため一般環境における大気環境濃度の指針値(ガイドライン)を設定、年平均でVCMは10μg/㎥、EDCは1.6μg/㎥以下の大気環境指針値が決められました。毎年、地方公共団体によりそれぞれ400余りの測定地点で大気環境濃度の測定が行われていますが、2007年度の測定結果ではVCMの平均値が0.081μg/㎥、EDCの平均値が0.15μg/㎥と大幅に指針値を下回っている状況が報告されています。
なお、1999年に公布された化学物質排出把握管理促進法のPRTR制度においてEDCが第一種指定化学物質にVCMが特定第一種指定化学物質に指定され、2002年度から前年度の排出量や移動量実績について都道府県などへ報告することが義務付けられています。
以上のように、大気汚染防止法による排出自主管理計画は2003年に終了していますが、その後もVEC会員各社はレスポンシブル・ケアの精神に則りPRTR制度の下、さらに一層の排出削減に取組んでいます。
<年表>
| ◎1974年 | 米国でVCMの発がん問題発生 |
| ◎1974年 | VCM排出削減対策開始 |
| ①労働衛生対策 1975年労働安全衛生法施行令 ②食品衛生対策 1977年食品衛生法告示 ③一般環境対策 |
|
| ◎1980年 | 「排出自主管理基準」制定 |
| ◎1988年 | 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づく難分解性試験実施 |
| ◎1996年 | 大気汚染防止法改正 EDC/VCMが有害大気汚染物質優先取組み物質に指定される |
| ◎1997年 | 第一次削減計画実施 |
| ◎2000年 | 第二次削減計画実施 |
| ◎2003年 | VCMの大気環境指針値設定(10μg/㎥) |
| ◎2007年 | EDCの大気環境指針値設定(1.6μg/㎥) |
<削減設備投資額>
| ①1975年~1996年 | 250億円 |
| ②1997年~1999年(第一次) | 86億円(EDCを含む) |
| ③2000年~2003年(第二次) | 90億円(EDCを含む) |
VCM・EDCの大気排出量推移及び削減のための投資額
![]() |
2.塩ビモノマー製造施設からのダイオキシン類排出
2001年1月のダイオキシン類対策特別措置法の施行により、焼却炉の他産業活動により発生する施設として、種々の施設が「特定施設」に指定されました。塩ビモノマー製造施設(EDC洗浄工程)もその一つで、毎年、ダイオキシンの排出量の報告が義務付けられています。塩ビモノマー製造施設からのダイオキシン類排出量の推移を表に示しました。1997年と比較するとかなり削減されており、今後も塩ビ業界ではこの削減に努力していきます。
なお、ダイオキシンについてはダイオキシンの項もご覧下さい。
塩ビモノマー製造設備からのダイオキシン類排出量推移 |
(暦年)(単位:g-TEQ) |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
2003 |
2004 |
2005 |
2006 |
2007 |
2008 |
2009 |
0.74 |
0.73 |
0.75 |
0.39 |
0.87 |
0.45 |
0.40 |
0.28 |
0.32 |
0.36 |
0.28 |
0.19 |
0.37 |
出典:環境省 ダイオキシン類の排出量の目録 |
