塩ビを含む廃プラスチックのサーマルリサイクル
廃プラスチックを含んだ廃棄物を積極的にエネルギー源として利用する動きが進んでいます。
この背景には、
① 焼却施設・技術が大きく進歩し、プラスチックを焼却すると焼却炉を傷めるとか、ダイオキシンを発生するとかの問題は解消されたこと
② 化石燃料資源の節約がますます重要となってきたこと
③ サ-マルリサイクル(TR)が環境負荷の低減をもたらす場合が多いこと
などがその理由として挙げられます。
塩ビ工業・環境協会および塩化ビニル環境対策協議会は、1)塩ビを含む建設系混合プラスチックの実証試験や、2)全国のサーマルリサイクル・焼却施設の調査によって、下記の結論を得ています。
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経済財政諮問会議の「循環型経済社会に関する専門調査会」で「サーマルリサイクルも有効なエネルギー回収手段としてマテリアルリサイクルと並んで位置づける」と提言され(2000年)、またサーマルリサイクルはプラスチック製容器包装の再商品化手法の一つとして認められました。(2007年施行)。
塩ビは単一製品ばかりでなく、最近は分離技術の進展で複合製品も含めてマテリアルリサイクルが進展しています。また塩ビに他のプラスチックなどが混在して分離できない場合でも、そのままフィードストックリサイクルすることができます。
一方、様々なプラスチックや可燃物に塩ビが含まれる場合(特に建設系混合廃棄物)には、全てを選別回収することは容易ではなく埋め立てられることも多くなります。このような場合には、サーマルリサイクルを有効に利用することができます。
1.産廃のサーマルリサイクル・焼却施設の充実
年間総焼却能力は、推計(2005年)で約3,000万tですが(図1)、ダイオキシン類対策特別措置法の施行を契機に、国内の産廃焼却施設は大幅に整備され、焼却炉数は大きく減少したにもかかわらず、年間焼却能力は増加しています。
このような産廃焼却施設の充実、大型化を勘案すれば、塩ビを受け入れる設備能力は着実に増えつつあると言えます。
| 図1.産廃焼却施設の推移(平成18年環境省調査による) |
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2.塩ビ廃棄物(または混合廃棄物)を受入れる産廃のサーマルリサイクル・焼却施設の全国分布
| 図2.塩ビ廃棄物の受入れ可能なTR・焼却施設の全国マップ |
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3.塩ビを含む建設系混合廃プラスチックの焼却・発電/実証試験
塩ビ工業・環境協会(VEC)は、関東建設廃棄物協同組合(関東建廃協)、DOWAエコシステム(株)(旧同和鉱業(株))と協力して塩ビ製品を含む混合廃棄物のサーマルリサイクルの実証に取り組み、長期にわたって安定運転ができました。
【実証試験】
・施設: ・廃棄物:
・試験期間: ・試験結果:
・結論: |
エコシステム岡山(株)・流動床式焼却炉、発電 |
| 図3.建設系混合プラスチックのTR処理試験フロー |
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4.セメントキルンでのサーマルリサイクルの今後
セメントキルンでの熱回収効率は80%以上と高く、資源節約に対する貢献は大きく、セメントキルンで代替燃料として利用される廃プラスチックは約30万t(2005年)で、年々増加の傾向にあります。このような廃プラスチック利用の増加にともない、塩ビなどの塩素含有プラの受入れ能力アップに繋がる「高塩素バイパスシステム技術」などの普及と高度化も進展しています。
高塩素バイパスプロセスと塩ビ利用への期待
セメントキルンに投入された廃棄物中の塩素、アルカリ、硫黄などの揮発性成分はキルン系内で循環濃縮されて、トラブルの原因となります。そこで塩素成分をキルン外に排出して、塩素濃度を低下させる“塩素バイパスシステム”が多くのセメントメーカーで導入されています。
・ 通常は1~2%のバイパス率(発生ガス量に対する抜き出し量の割合)ですが、10%程度の高い塩素バイパス率で運転するいわゆる“高塩素バイパスシステム”(図4)も実用化されています。
・ このような塩素処理能力の高い設備では、塩ビを他の廃棄物に混合処理することも可能となってきました。
| 図4.高塩素バイパスシステム |
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5.まとめ
塩ビ混合廃棄物のTR・焼却処理は、マテリアルリサイクルやフィードストックリサイクルを補完するもので、塩ビ製品の種類や排出時の状況に応じて、これらを組み合わせ、資源の節約、環境負荷の低減と同時に経済合理性の追求が塩ビリサイクル実現化のための目標となります。塩ビのTR・焼却処理は、一定の制約があるものの、設備の充実によって、大きく進展しています。このような技術の進捗を背景に、埋立からTR・焼却処理への流れを促進するための仕組みづくりが今後の課題です。
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