リサイクルビジョン
塩ビ業界の取組み リサイクルビジョン-私たちはこう考えます-
塩ビ製品のリサイクルに関する考え方を「リサイクルビジョンー私たちはこう考えますー」の形でまとめ、塩ビ製品のリサイクルをさらに進展させるための環境づくりに取組むことを表明しています。
リサイクルビジョン
OUR VISION FOR PVC RECYCLING
-私たちはこう考えます-
塩ビは省石油型の樹脂で、耐久性が高く、長年にわたり使用される製品が多いのが特徴です。さらに、マテリアルリサイクル性能等に優れ、環境特性に優れた素材です。
塩ビ産業界は、環境合理性、経済合理性に基づいて、社会に貢献する塩ビ製品のリサイクルを推進します。
- 2007年5月
- リサイクルビジョン策定
- 2007年12月
- 塩ビリサイクル支援制度運用開始
- 2008年7月
- フォローアップ(1年目)発表
- 2008年12月
- リサイクルビジョン改訂
- 2009年7月
- フォローアップ(2年目)発表
- 2010年7月
- フォローアップ(3年目)発表
- 2011年7月
- フォローアップ(4年目)発表
- 2011年10月
- 各論一部改訂
- 2012年6月
- リサイクルビジョン改訂
- 2014年4月
- データ更新(MR)
- 2015年3月
- データ更新(エネルギーリカバリー)
- 2015年12月
- データ更新(MR, エネルギーリカバリー)
- 2016年11月
- データ更新(MR)
- 2019年6月
- データ更新(エネルギーリカバリー)
リサイクルシステムはここまで進みました
1. 多様な排出形態に適した様々なリサイクルの仕組みを排出者の皆様と協力し進めてきた塩ビ業界の取組み
塩ビは、添加剤の配合や他素材との複合化により様々な性能を発揮するため、硬質製品から軟質製品にわたる幅広い用途で使われています。その製法、及び、使用の形態は製品により様々です。塩ビ製品の環境特性を最大限引き出すには、それぞれの製品の特長を活かして用途選定することと、回収方法を含めて適切なリサイクル手法を採用することが重要です。
塩ビ管や農業用ビニルフィルムのように、均質な素材からなる製品で、通常の使用で大きな質の劣化を伴わない製品群は、マテリアルリサイクルが有効です。繊維等の素材と合わせて製品となっている複合素材、例えば、壁紙や床材などでは、良質の樹脂部分(コンパウンド部分)を分離することで、マテリアルリサイクルの道が拓けます。他方、汚れが落ちにくいもの、或いは、経年劣化している製品は、マテリアルリサイクルよりは、フィードストックリサイクル、或いは、エネルギーリカバリーを選択する方が環境負荷を小さくできる可能性があります。
いずれの場合でも、端材や使用済み製品を効率的に回収し、処理を行うこと、そしてそのためのシステムを構築することが重要なポイントとなります。
<塩ビのリサイクル方法>
- マテリアルリサイクル:MR
- フィードストックリサイクル :FR(ケミカルリサイクルとも言う)
- エネルギーリカバリー
2. マテリアルリサイクル(MR)の進展
① 進んでいるMR
塩ビ製品は、他の汎用プラスチックと比べて、MR比率が高いのが特徴です(2012年、塩ビ28%、全プラ22%)。
塩ビ管・継手、農業用ビニルフィルムは、古くから使用済み製品の再利用が進み、それぞれ排出量のほぼ6割、7割が回収され再使用されています。
タイルカーペットでは、使用済み製品の塩ビコンパウンドの分離・再利用が進んでいます。
② MRの新たな展開
回収製品を使用した様々な製品が登場しています。例えば、硬質塩ビ製品を、フラクタル形状の日除けの材料として使用する技術が開発されました。木の葉による日陰を人工的に模倣したもので、その効果は検証済みです。散水、剪定、枯れ葉処理等のメンテナンスの必要がなく、ヒートアイランド化の防止と、持続的発展に寄与する技術として注目されています。壁紙のリサイクル製品としては、コースターやマットなど、繊維分も合わせてリサイクルする技術が開発され、一部商業化されています。
3. フィードストックリサイクル(FR)も可能です
①使用時の劣化や汚れ、複合材や異物混入のため、MRに適さない使用済み製品の場合は、塩ビ製品を化学的に変化させて再利用するFRが適用できます。
②ロータリーキルン炉、二軸押出機による脱塩化水素およびガス化等の手法により、塩ビ製品を原燃料とすることが技術的に可能です。その過程で、塩酸として塩素分を回収することも可能です。プロセスで発生した熱も回収して有効利用できます。
4. 塩ビ製品を受入れるエネルギーリカバリー施設も増えています
① 分別収集が困難な混合廃棄物等でも、エネルギーリカバリーまたは適正な焼却処理が可能です。
塩ビ製品もしくは塩ビを含む廃棄物を受け入れて適正に焼却処理することができる施設は、把握している範囲で全国に47施設あります。これら施設の廃プラ処理能力は約8千トン/日と見積もられます。そのうち34施設でエネルギーリカバリーが行われています。
② 塩ビ樹脂を約10%含む建設系混合廃プラスチックについても、エネルギーリカバリーができることを関連業界と共同して実証しました。
さらなるリサイクルのために技術開発・体制、インフラ整備を進めています
1. 塩ビ製品リサイクルの技術・システム開発、調査研究の促進
塩ビ工業・環境協会において、塩ビ製品リサイクルのための技術・システム開発を促進するため、『リサイクル支援制度』を2007年に開始し、リサイクルの新たな可能性を広げてきました。今後とも、継続して技術・システム開発・拡充に積極的に取り組んでいきます。
また、リサイクルによる環境負荷低減効果を定量的に評価するため、LCA手法に基づく評価、及び塩ビ製品のリサイクルの動向等についての調査を進めます。
2. 製品に即した回収・処理の仕組みの整備
姿、形、使われ方の多様な塩ビ製品の環境特性を引き出すためには、それぞれの製品に適合した回収・処理の仕組みを作り上げることが重要です。
管・継手では、塩化ビニル管・継手協会が1998年から、全国をカバーすべくリサイクル拠点作りに取組んでおり、2012年3月末には、90拠点とネットワークを組んでいます。管・継手にとどまらず他の塩ビ製品の受入を行っている拠点も多くあります。農業用ビニルフィルムでは、フィルムメーカーと全農が、1999年に「農業用フィルムリサイクル促進協会(NAC)」を設立し、協力してリサイクルに取り組んでいます。床材においては、インテリアフロア工業会が、環境省の「広域認定」を取得して製品回収の促進に取り組んでいます。樹脂窓においては、日本サッシ協会、樹脂サッシ工業会、塩ビ工業・環境協会の三団体が合同WGを組織し、これから排出が増加することが予想される樹脂窓枠のリサイクルモデル事業に取り組んでいます。
3. 様々な塩ビ系廃プラスチックのリサイクル施設の情報を提供するとともに皆様のリサイクル活動の相談窓口となります
先進的なリサイクルシステム、MR・FR・エネルギーリカバリーなどのリサイクル技術や施設の調査を継続的に行い、その情報を提供します。
排出形態に応じたリサイクル方法や施設の選定について、皆様の相談窓口となります。
<相談窓口>
塩ビ工業・環境協会
電話でのご相談:環境・広報部 リサイクル担当
電話番号 03-3297-5601
インターネットからのご相談:https://www.vec.gr.jp/contact/
4. 国内のリサイクル品市場を拡大するためにさらなる努力を続けます
政府、地方自治体や各企業で、塩ビ製品を再評価して購買基準を見直す動きが顕著になりつつあります。私たちは、リサイクル塩ビ製品の市場であるグリーン製品の拡大に向けて、引き続き塩ビ製品の認定や再評価を働きかけます。
- グリーン購入法の特定調達品目にリサイクル塩ビ製品の登録を増やすよう関連企業とともに活動します。
- エコマークなどの認定ラベル製品の認定基準の改定を働きかけ、リサイクル塩ビ製品の認定を促進します。