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可塑剤の種類と使われ方

 可塑剤にはフタル酸系、アジピン酸系、リン酸系、トリメリット酸系など数多くの種類があり、20~30種類の可塑剤が一般的に使われています。その主要なものがフタル酸系です。特にフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)(DEHP)は代表的な汎用可塑剤として広く使われており、その生産量はフタル酸系の約60%(全可塑剤のおよそ半分)を占めています。ただ、近年はDEHPと似たフタル酸ジイソノニル(DINP)の比率が増えています。

可塑剤の生産量に占めるフタル酸系の割合

可塑剤の生産量に占めるフタル酸系の割合
出典:フタル酸系、アジピン酸系/可塑剤工業会,リン酸系、エポキシ系/経済産業省生産動態統計

 可塑剤には塩ビ樹脂とよくなじみ(相溶性)、最少量で必要な軟らかさを実現でき(可塑化効率)、空気中に揮散しにくく(低揮発性)水へ溶け出したり他素材に移行しない(低移行性)などの性能が要求されます。使用する製品に要求される性能に合わせて可塑剤が選択されています。例えば、電線被覆用には通常DEHPやDINPが使用されますが、加えて耐熱性を上げたり他樹脂への移行を抑えるためにトリメリット酸エステルやポリエステルが使用されています。同様に医療機器用途では血液凝固を抑え、使用実績のあるDEHP、食品用ラップにはアジピン酸エステル、乳幼児の玩具にはクエン酸エステルが使用例として挙げられます。もちろん、1種類の可塑剤では対応できないような場合には、それぞれに特徴を持った複数の可塑剤を配合して使用することも一般的に行われています。詳しくは可塑剤工業会のホームページをご覧下さい。

DEHP

フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)とかフタル酸ジ(2-エチルヘキシル)あるいはDOP(フタル酸ジオクチル)と呼ばれます。