塩ビ樹脂の基礎物性

 図表1は一般的な硬質塩ビ製品、軟質塩ビ製品の性質を示したものです。成形時に加えられた添加剤の種類と配合量によって成形性、機械的および熱的性質などの特性値の幅を拡大することが可能になります。

他樹脂との機械的物性の比較はこちらから

図表1.塩ビ樹脂の性質

塩ビ製品の性質
出典:Modern Plastics Encyclopediaの各年版による

機械的物性

 塩ビ樹脂は極性があるので、分子鎖間の相互作用が強いため機械的物性に優れています。機械的な強度を比較する一つの目安として引張り応力~歪み曲線(S-S曲線)によりプラスチックを分類することができます。図表2のように硬質塩ビ製品は硬く強い樹脂製品であり、軟質塩ビ製品は軟らかく粘り強い樹脂製品です。

図表2.S-S曲線のタイプによるプラスチックの分類

S-S曲線のタイプによるプラスチックの分類
出典:プラスチックス,46(5),90(1995)

具体的な機械的物性

 塩ビ樹脂の具体的な機械的物性について以下に示します。

引張り強さ

 塩ビ樹脂の引張り強さを他の汎用樹脂と比較したものが図表3です。引張り強さは試験片の両端部に引張り荷重を加えたとき、試験片が破断するときの単位断面積当たりの最大応力で表されます。
(試験片の両端を引っ張って破断する力の強さを表す指標。)

図表3.各種プラスチックの引張強さ

各種プラスチックの引張強さ
出典:工業調査会「新版プラスチック材料読本」(1993)

引張り弾性率

 塩ビ樹脂の引張り弾性率を他の汎用樹脂と比較したものが図表4です。引張り弾性率はヤング率ともいわれ、単位断面積当りの引張り応力と応力方向に生じる伸びとの比で表されます。数値が大きい方が応力による伸び変形が小さく、硬い樹脂です。
(試験片を引っ張ったときの伸びにくさを表す指標。バネ定数のようなものに相当。)

図表4.各種プラスチックのヤング率

各種プラスチックのヤング率
出典:大阪市立工業研究所 編「実用プラスチック用語辞典」より作成

曲げ強さ

 塩ビ樹脂の曲げ強さを他の汎用樹脂と比較したものが図表5です。曲げ強さは2支点で水平に支えられた試験片の中央部に垂直加圧荷重をかけた時に、試験片が破断するときの最大応力で表されます。
(試験片を折り曲げたときに破壊する力の強さを表す指標。)

図表5.各種プラスチックの曲げ強さ

各種プラスチックの曲げ強さ
出典:工業調査会「新版プラスチック材料読本」

圧縮強さ

 塩ビ樹脂の圧縮強さを他の汎用樹脂と比較したものが図表6です。圧縮強さは上下を試験板で挟んだ試験片に垂直加圧荷重をかけた時に、試験片が破壊したときの単位加圧面積当りの最大応力で表せます。
(サイコロ状の試験片を圧縮して、破断したときの力の強さの指標。押しつぶしに対する抵抗力。)

図表6.各種プラスチックの圧縮強さ

各種プラスチックの圧縮強さ
出典:大阪市立工業研究所他編「プラスチック読本」