斉藤会長新年ご挨拶
2022年1月6日
皆様、明けましておめでとうございます。平素は塩ビ工業・環境協会の活動に多大なるご理解とご支援を賜りまして、誠にありがとうございます。新年にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。
2021年も新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るった一方で、ワクチン接種の加速や各種の対策が奏功し、経済的には顕著な回復傾向が見られるなど、徐々にwithコロナの生活に馴染んできたように感じます。
国内では、様々な困難を乗り越えて東京オリンピック・パラリンピックが開催され、日本選手の活躍に勇気づけられた一年でもありました。GDPは2020年のマイナス4%台から緩やかに回復し、2021年のGDPは3%程度と見込まれています。私ども塩ビ業界は、2021年前半こそやや低調であったものの、米国、インド等の急激な需要回復に伴い後半は生産・出荷共に順調に回復しました。各種原材料価格の高騰といった懸念材料はあるものの、今後とも昨年10月に発足した新政権の経済政策には大いに期待したいところです。
以上のような背景のもと、当協会が注力して参りました活動の内容と本年の方針について簡単に紹介させて頂きます。
まず広報活動では、ホームページのコンテンツを充実させつつ各種展示会へのオンライン参加に注力しました。同時に、他の協会や団体のホームページにもリンクを掲載いただくなど、コンテンツへのアクセス性を高める工夫を施しました。オンライン展示会では、参加団体の中でもアクセス数がトップを争うなど、一定の成果を挙げたと考えております。次に、コロナ禍で制限を受けていた取材や面談、出前授業も徐々に対面での実施が可能となり、積極的に対応しました。国内外で地球環境や化学物質規制への関心が高まる中、自動車メーカーほか、各業界団体・企業からの要請を受けて塩ビや可塑剤をはじめとする各種添加剤に関する情報提供、意見交換を実施、塩ビに対する正しい理解を広げられたと感じています。さらに2021年は、「生活を豊かにするPVC製品」をテーマに、前回と同様、上市後5年未満あるいは近々上市予定の製品を対象としたPVC AWARD 2021を開催しました。多くの方々に関心を持っていただき、幅広い分野から応募がありました。受賞作品はPVC Award公式ホームページで紹介し、2022年1月11日に表彰式を行います。なお、1月21日~1月30日の間、東京丸の内のGOOD DESIGN Marunouchiで展示会を開催いたしますので、ぜひ足をお運びください。
次に建材関連では、樹脂窓の一層の普及や窓周辺での新たな塩ビ製品の開発に引き続き注力しました。また、当協会はこれまで、耐候性に優れた樹脂窓の開発をより一層促進するために新たな促進耐候性試験方法のJIS化に取り組んできました。2021年11月に正式にJISとして制定されたことで、樹脂窓メーカーでの開発の加速に大いに貢献できるものと期待しております。さて、世界的にカーボンニュートラルへの要求が激しさを増し、わが国でも2050年にカーボンニュートラル達成という目標が政府から打ち出されました。樹脂窓はその優れた断熱性能で、特に冬季の省エネルギー効果が期待され、関係各所の協力を得つつその効果を検証中です。一方で、夏季の省エネルギー効果を高めるためにはシャッターやブラインドといった遮熱性を有する付帯設備が効果的であり、当協会はこれら付帯設備での塩ビ樹脂製品を新たに開発する検討に取り組んでいます。さらに、住宅を含む建造物でのゼロ・エネルギー化を総合的に検討すべく、学識経験者、住宅建材メーカー、関係省庁等のご協力のもと、2021年11月に新たな検討会を設置し、ライフスタイルや健康・快適性も考慮した検討を進めることとしました。カーボンニュートラルの実現に向け、省エネルギーへの要求は高まる一方です。当協会は樹脂窓をはじめとして、塩ビ製品の一層の普及に努めます。
他方、海洋プラスチックごみ問題等、プラスチックに対するネガティブイメージを払拭するためにも、リサイクル活動の重要性は益々高まっております。当協会では、先行する欧州の例を参考に樹脂窓のリサイクル活動を進めて参りました。2021年は行政や現地の専門業者様のご協力も得ながら、北海道内で回収~解体~再生をシステム化する検討を進めており、引き続き各々の工程が抱える課題を着実に解決して参ります。一方で、プラスチック廃棄物の輸出入を適正に管理すべく施行された改正バーゼル法によって一時的に混乱、停滞した廃棄物市場の声にも対応しました。すなわち、国内輸出業者の疑問点や留意点などに関して規制当局との意見交換でその対応を明確にし、情報提供を行うこと等により新たな輸出手続きのスムーズな施行に貢献して参りました。円滑な取引きが実現するよう、引き続き注視して参ります。さらに、コロナ禍でしばらく中断しておりました塩ビ建材連絡会議を2021年11月に再開、各製品群のリサイクル状況に関する現状を確認しました。塩ビ樹脂製品の優れたマテリアルリサイクル性をより一層アピールするには、やや頭打ち感のあるマテリアルリサイクル率をさらに高める努力が求められると感じており、各製品団体や協会の皆さまと共に進めて参る所存です。
カーボンニュートラルやリサイクル等持続可能な社会の実現のための課題の克服は塩ビ業界も例外ではありません。一方で、塩ビ樹脂はLCAやマテリアルリサイクル性など、他の樹脂と比較しても有利な点が多い素材であり、このことをより多くの方々に知っていただくことも当協会の重要な役割です。本年も塩ビ製品の普及促進に資する活動を鋭意進めて参る所存ですので、引き続き関係各位のご協力をお願い申し上げます。
最後になりましたが、塩ビ事業に携わっておられる各社の益々のご隆盛と、皆様のご健勝を祈念致しまして、年頭の挨拶とさせて頂きます。
塩ビ工業・環境協会
会長 斉藤 恭彦