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塩ビ工業・環境協会 第25回総会 会長挨拶

2022年5月17日

 5月17日に塩ビ工業・環境協会 第25回通常総会を開催いたしました。今年度は役員の改選期にあたり、桒田守会長(東ソー(株) 代表取締役社長 社長執行役員)、吉池 悦雄 副会長((株)カネカ 執行役員)が新しく就任いたしました。

 以下に、桒田新会長の挨拶を掲載いたします。

 5月17日に開催されました弊協会第25回総会におきまして、斉藤会長の後を受け「塩ビ工業・環境協会」の会長を拝命いたしました東ソー株式会社の桒田(クワダ)でございます。また、副会長には株式会社カネカの吉池様が就任いたしました。新体制においても、会員一同、力を合わせて塩ビ産業の益々の発展のため尽力いたしますので、皆様の一層のご助力・ご指導をお願い申し上げます。

 1998年5月に発足した当協会は、塩化ビニル(以下、「塩ビ」)に関する正しい理解を広め、塩ビ工業の健全な発展に寄与することをめざし、今日まで活動してきております。1995年の塩ビ樹脂の需要は、日本では185万t、世界全体では2077万tでした。2021年では日本は99.6万t、世界全体では約4880万tと推定されています。この26年間で日本では塩ビ需要量が54%に減少し、世界全体では2.3倍に増加したことになります。また、2019年の人口一人当たり年間の塩ビ樹脂消費量は日本が9.0kgに対し、韓国は20kg、台湾が17kg、続いて米国が16.7kg、中国で14kgでした。一方、消費の少ない国としては、フィリピンが1.8kg、インド2.5kgなどです。

 先人達の塩ビ工業に対するたゆみない努力により、塩ビに関する正しい理解が広がってきている一方、未だに誤解されている状況も目にすることを鑑み、より一層の広報活動ならびにリサイクル推進などの取り組みが必要であると思っております。

 さらに、2022年4月1日の「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環法)」施行をはじめ、塩ビ樹脂を含むプラスチック全般に対してはますます厳しい目が向けられています。2022年度も地球環境問題の視点に立つことが一層重要視されることは間違いなく、環境と経済の両立という難題に取り組んでいかねばならないことは想像に難くありません。特に、塩ビをはじめとするプラスチックやプラスチック加工に使う添加剤に対する各種規制の導入への動きが激しさを増し、プラスチックに関する包括的な資源循環体制が強化されると予想されます。使い捨てプラスチックとして使用される塩ビ製品は限定的とはいえ、塩ビの存在がリサイクルの妨げになるといった塩ビ忌避・排除の動きにつながらないよう、留意していかねばなりません。

 このような背景のもと弊協会は、LCAや製品寿命の観点での塩ビ製品の優位性や、これらの特長による循環経済実現への貢献を積極的にアピールしてまいります。具体的には、製品の製造段階に加え、長寿命性の製品がもたらす省エネルギー効果や、建築物の開口部周辺に使用する塩ビ製建材の優れた断熱・遮熱性能によるカーボンニュートラル(CN)実現への貢献などを広く知っていただくことに注力いたします。

 まず、広報活動としては、塩ビ製品の需要拡大やSDGsへの貢献を目指して、塩ビに関係する環境・規制動向の情報収集と、行政・関連団体・企業・メディア・消費者等に対し訴求力のある広報・啓発活動を推進いたします。また、塩ビに関する正しい理解を広めるため、環境イベントへの参加や出前授業等のプラスチック教育を積極的に推進してまいります。

 次に建材の開発・普及活動としては、国策となった2050年CN実現に向けて、窓周辺に用いる塩ビ製建材の省エネ・CO2排出削減性能を実証、広く情報公開し、また、樹脂製建具の防火性能に関わる試験、認証を簡略化することで、樹脂窓のコスト低減や塩ビ製建材の開発促進と需要拡大を目指してまいります。

 リサイクル推進活動としては、樹脂窓分野において再生材料を使用するための環境づくりに注力し、リサイクルシステムの社会実装に向けた準備を行います。また、関連団体と共同で塩ビ製品のマテリアルリサイクル率を一層向上させるための検討や、プラスチックリサイクルにおける塩ビ・塩素の分離技術開発を中心に、リサイクル支援制度の対象案件を幅広く探り、支援してまいります。

 また、各種の国際会議に参加し、欧米、アジアの塩ビ関連業界団体と連携して、塩ビや塩ビ製品に関する不当な規制や差別等に適切に対応し、グローバルな塩ビ産業振興活動を推進してまいります。特にアジア太平洋地域での活動をリードし、アジア地域の塩ビ市場の発展を力強く支援いたします。加えて、関連団体等とのより一層の連携強化や、会員各社との情報共有に努めてまいります。

 私ども塩ビ工業・環境協会は、わが国の塩ビ工業のより一層の発展に向け、関係各位のご指導を仰ぎながら、会員の皆様と共に歩んでまいりたいと存じます。会員の皆様には、なお一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 最後になりましたが、会員の皆様のご健勝とご清栄をお祈りいたしまして、ご挨拶とさせていただきます。

桒田 守