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桒田会長新年ご挨拶

2023年1月12日

皆様、明けましておめでとうございます。平素は塩ビ工業・環境協会の活動に多大なるご理解とご支援を賜りまして、誠にありがとうございます。新年にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

Covid-19の蔓延が続く一方、withコロナの生活に舵を切りつつ始まった2022年は、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻によって混乱の一年となりました。原燃料価格、物流費の高騰は世界中にインフレをもたらし、わが国でも近年にない円安も相俟って多大な影響を受けました。この非人道的な戦争が一日でも早く終結することを願うばかりです。

さて、2022年度のGDP成長率はほぼ前年度並みの2%強と推定され、私ども塩ビ業界も生産・出荷共におおむね前年度並みになると見込んでおります。いくつかの懸念材料はあるものの、インバウンドを含む国内消費の回復、半導体不足の解消による自動車の生産量回復、緩和的な財政・金融政策による景気の下支えなどにより、今後の成長に期待したいところです。

以上のような背景のもと、当協会が注力して参りました活動の内容と2023年の方針について簡単に紹介させて頂きます。

まず広報活動では、前年度に実施したPVC Award 2021の受賞作品など、特長ある塩ビ関連製品の取材に注力しました。行動制限の緩和によって対面による中身の濃い取材ができたことは幸いでした。今後も魅力ある塩ビ関連製品を皆さまにご紹介できるよう努めて参ります。また出前授業などの青少年教育にも貢献できるよう、引き続き対応いたします。さらに2022年12月には、国内最大級の環境展である第24回「エコプロ2022」展に出展しました。「生活を豊かにするPVC製品」をコンセプトに、身の回りの多くのPVC製品を認識してもらうことに注力すると共に、防災・省エネなどの社会貢献や、医療・福祉分野での活用、さらにはリサイクル性の紹介を軸にサンプル品やパネルを展示しました。コロナ禍により全体的に規模を縮小しての実施でしたが、前回2018年の出展時と比べ、当協会ブースへの来場者の割合は大幅に増え、3日間で5千人を超える来場者にお越しいただきました。塩ビの特性やリサイクル性に関するクイズラリーに回答いただいた来場者に配布する塩ビ製のポーチや筆入れなどのノベルティグッズには、「VEC」のロゴや協会ホームページにアクセスするためのQRコードを入れるなど、若い世代との接点を増やすための工夫も取り入れました。今後もこのような新しい方法による訴求方法を積極的に取り入れ、若い方々も含む幅広い世代に塩ビのことを知っていただけるよう努めて参ります。

次に建材関連では、樹脂窓および窓周辺での新たな塩ビ製品の開発や普及に引き続き注力しました。樹脂窓の普及促進に欠かせない要素である防火性能は、各メーカーともその認定試験に膨大なエネルギーを要しており、開発の足かせとなっています。そこで当協会は、東京大学野口教授の協力のもと、防火認定試験の簡素化に取り組むべく、研究会を発足しました。比較的簡便な燃焼試験により樹脂窓の防火性能が推定できるようにすることで、認定に至る工程を簡素化し、各メーカーの開発がより一層促進されることを目指して引き続き取り組んで参ります。また、世界的なカーボンニュートラル(CN)の流れに従い、わが国でも2050年にCN達成という目標に向けて数々の施策が打ち出されています。住宅周辺での省エネやCNへの貢献も例外ではなく、当協会は、芝浦工業大学秋元教授の協力のもと、優れた断熱性能によって特に冬季の省エネルギー効果が期待される樹脂窓に加え樹脂シャッター、樹脂ブラインド等による夏季の省エネルギー効果を検証しています。また、併せて学識経験者、住宅建材メーカー、関係省庁等のご協力のもと、これら省エネ建材を使用した建築物の使用時における総合的なCNを検討すべく検討を進めており、確かな感触を得つつあります。2023年度も引き続き、樹脂窓をはじめとした塩ビ製品の一層の普及に努めます。

一方、2022年4月にプラスチック資源循環促進法が施行となりプラスチックの使用やリサイクルに関する各種規制が強化されつつあります。塩ビ製品は、長寿命用途が多いもののリサイクルの推進は引き続き重要な課題です。2022年は、東京大学清家教授の協力のもと、日本サッシ協会、樹脂サッシ工業会とともに樹脂窓リサイクル検討会において、北海道内での廃樹脂窓の回収・解体に係る検討、再生原料の品質確認や利用についての検討を行いました。まだまだ難しい課題は残されていますが、樹脂窓リサイクルの推進に対して、関係者の皆様からの前向きなご意見を頂けましたことは私どもにとって大きな支えとなりました。この活動が実際に実を結ぶよう、これまで以上に関係者の皆様との協業に邁進して参ります。また、より一層のリサイクル推進を目指し、東北大学吉岡教授との塩素循環に関する勉強会を2022年11月に発足しました。この勉強会では、塩ビ製品のリサイクルや塩素循環等における共通課題の洗い出しと解決策の提案を目的とし、廃棄処分される塩ビ製品から塩素を回収し原料として利用する「塩素循環システム」の構築を目指します。当面はVEC会員、協賛会員各社からの参加者により出口戦略の検討を行う予定ですが、2023年は、より幅広い分野からの参加者も募って参りたいと考えております。

ウクライナ情勢などによりエネルギー問題が一層深刻さを増している状況下、塩ビ樹脂の優れた環境性能やマテリアルリサイクル性、さらには塩素循環の観点でも大きな可能性を秘めている点などについて、より多くの方々に知っていただく活動を鋭意進めて参る所存ですので、引続き関係各位のご協力をお願い申し上げます。

最後になりましたが、塩ビ事業に携わっておられる各社の益々のご隆盛と、皆様のご健勝を祈念致しまして、年頭の挨拶とさせて頂きます。

塩ビ工業・環境協会

会長 桒田 守