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桒田会長新年ご挨拶

2024年1月11日

元旦に発生した能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

平素は塩ビ工業・環境協会の活動に多大なるご理解とご支援を賜りまして、誠にありがとうございます。新年にあたりまして、一言ご挨拶を申し上げます。

2023年の世界経済は、経済活動の正常化に伴い緩やかな回復が見られた一方で、インフレの高止まり、金融引き締めや中国景気減速の影響もあり、その景気回復の進捗は鈍化しています。ウクライナ問題の長期化に加え中東情勢も緊迫化しており、先行きの不透明感が深まっています。

そのような中で塩ビの生産と出荷については、前半低調に推移したものの、夏場以降に輸出が前年を超え、暦年で約150万トンを超えてくるレベルになる見込みです。一方、世界経済の不透明感が払拭される状況ではありません。日本経済も通年では年初想定よりは良好になると予想されますが、物価高による個人消費への影響やインバウンド需要の回復が一巡するなど年後半には減速感が出てきています。10月に公表された物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策をはじめ「成長と分配の好循環」のための施策が講じられています。また、先進的窓リノベ事業(断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業)の効果などが景気回復につながっていくことを期待しています。

以上のような背景のもと、当協会が注力してまいりました活動の内容と2024年の方針について簡単に紹介いたします。

まず、第一にわれわれを取り巻く大きな問題でありますプラスチックの規制に関する国連環境総会における「プラスチック汚染に関する条約策定に向けた政府間交渉委員会」について、日本としての対処方針に沿って政府及び関連業界団体と連携し、国内会議において意見陳述をするなど精力的に対応してまいりました。2024年は条約策定に向けた動きがさらに活発化してくることが予想されることから、引き続き塩ビをはじめ多くのプラスチック製品が社会に対してプラスの便益をもたらしていることなど、その価値と重要性を関連業界団体とともに強調してまいります。

広報活動では、2023年は塩ビに対する誤った認識を払拭すべく、特に若年層への訴求強化を目的としてSNSを活用したタイアップ広告を実施しました。Page Viewは想定を超える状況で、狙いとした若年層、主婦層への情報発信は強まってきております。今後、この結果を踏まえてより効果的な活用方法を目指してまいります。また、コロナ禍で停滞しておりました出前授業を再開しました。加えて東京都中央区の小学校で行われた「子どもとためす環境まつり」に出展し、塩ビを使った消しゴム作りなど子供たちがワクワクするような取り組みを工夫しました。今後も身近にある塩ビ製品の理解を促進する活動を精力的に展開していきます。また、昨年は2年に1回実施しているPVC Award 2023の作品募集を行い、最終的に64件の応募がありました。年内に最終審査を終え、昨年12月20日に記者発表及びHP上で審査結果を公表いたしました。2月6日に入選作品13点の授賞式を実施するとともに、東京(3月)および名古屋(4月)で展示会を開催する予定です。

建材関連では、2050年カーボンニュートラル(ゼロカーボン)実現に向けて、塩ビ開口部建材の普及活動に資するべく、省エネ・脱炭素、室内環境・健康を切り口としたPR資料の作成に取り組み、今後、当協会のHP上での公開を予定しています。また、大学の学生寮において樹脂窓(内窓)の有無による温熱環境とカビの発生量の測定を通じ樹脂窓(内窓)の有効性についての研究を進めました。また、樹脂窓(内窓)を設置した老健施設において内窓ガラス表面温度や室内上下温度差などの測定を行い良好な温熱環境に保たれていることを確認しています。これらの結果を踏まえて、2024年は温熱環境の特性を活かしたウエルネス住宅(健康増進住宅)・老健施設での取り組みやゼロカーボン住宅を視野に入れたデータ収集など、これからの健康増進や高齢者向けの住宅環境の整備につながる実証結果を出すべく取り組みを継続してまいります。

また、カーボンニュートラル社会においては、住宅、建築物の高断熱・高気密に貢献する樹脂窓の普及が不可欠です。樹脂窓の普及にあたっては、サーキュラー・エコノミーの観点からリサイクルの取り組みが喫緊の課題となります。当協会は樹脂窓のリサイクルシステムの構築に向けて一般社団法人日本サッシ協会、樹脂サッシ工業会と協力し、産学連携によるリサイクルシステムの社会実装に向けた環境づくりに取り組んでまいりました。この度、国内の取り組み指針としての「樹脂窓リサイクルビジョン」を策定し、1月9日に上記各団体のHP上で公表するとともにマスコミへのリリースを実施いたしました。2月には本リサイクルビジョンの策定にご尽力いただきました東京大学の清家剛教授、武蔵野大学の磯部孝行講師ならびに三団体にて記者会見を行い、皆さまにご説明する予定でございます。近年、廃プラのケミカルリサイクルが本格的に社会実装される段階に入ってきました。ケミカルリサイクルは資源循環向上につながる重要な手法であり、今後、塩ビにおいても注目されてきます。2024年については、このケミカルリサイクルを推進していくうえで、塩素循環検討会の取り組みをより一層強化してまいります。

世界の地政学的な緊張関係は、依然として予断を許さず、世界経済の先行きの不透明さも増しています。このような不安定な社会情勢の中においても、カーボンニュートラルや気候変動への取り組みは待ったなしの状況です。これらの課題解決にあたって塩ビ樹脂の優れた性能やマテリアルリサイクル性の高さを最大限に活かしていくことが、地球環境改善の一助につながるものと考えています。今後も塩ビの有用性や可能性について広く告知し、皆さまのご理解を頂けるような活動を鋭意進めて参る所存ですので、引き続き関係各位のご協力をお願い申し上げます。

最後になりましたが、塩ビ事業に携わっておられる各社の益々のご隆盛と、皆様のご健勝を祈念いたしまして、年頭の挨拶とさせていただきます。

塩ビ工業・環境協会

会長 桒田 守