生活スタイルの変化による住宅におけるエネルギー削減効果の研究
(第5報)室内温熱環境改善効果の検証
- 学生会員 橋本 侑美(芝浦工業大学)
- 学生会員 奥秋 萌々(芝浦工業大学)
- 正会員 千葉 麻貴(当時芝浦工業大学)
- 技術フェロー 秋元 孝之(芝浦工業大学)
- 正会員 近藤 武士(日建設計総合研究所)
- 技術フェロー 湯澤 秀樹(日建設計総合研究所)
- 正会員 久保 隆太郎(日建設計総合研究所)
本報では、室内温熱環境に関するシミュレーション結果と、得られた結果から窓の断熱性能向上の効果について考察を行う。
窓の断熱性能向上により、リビングの作用温度が冬期代表日には最大で1.9[℃]上昇し、夏期代表日には最大で0.4[℃]低下した。また、部屋間での作用温度差は小さくなった。
躯体の断熱性能向上による冬期の作用温度低下の抑制効果は、窓の断熱性能向上時よりもさらに大きく、窓の小さい部屋で特に変化が見られた。作用温度が高く保たれることでPMV も快適範囲となりやすいため、冬期の快適範囲の時間数は増加した。
窓および躯体の断熱性能向上で暖房エネルギー消費量は減少することから、冬期においてはエネルギー消費量、室内温熱環境ともに改善が確認できた。ただし夏期には室内の熱が流出しにくくなることで、PMV が快適範囲の時間数は減少し、冷房工ネルギー消費量は増加した。
夏期においてエネルギー消費量を削減し、室内温熱環境を向上させるためには、室内に熱を取り込まないための対策が必要となる。年間では、窓および躯体の断熱性能向上によって年間一次エネルギー消費量、室内温熱環境ともに概ね改善が見られた。
- 1. はじめに
- 2. 作用温度 計算結果
- 2.1 作用温度の経時変化
- 2.2 部屋移動による作用温度の変化
- 3. 許容温度差時間 計算結果
- 4. PMV計算結果
- 5. エネルギー消費量と室内温熱環境の関係
- 5.1 暖房エネルギー消費量と許容温度差時間
- 5.2 年間一次エネルギー消費量とPMV快適範囲割合
- 6. まとめ