樹脂窓に関するLCAとGHG排出削減貢献量
樹脂窓のLCA
樹脂窓の普及によるGHG排出削減貢献量の算定
- 地域毎の樹脂窓設置戸数と、LCAによって得られた戸建て住宅1戸あたりのGHG削減効果からGHG排出削減貢献量を算定した。
新築住宅における樹脂窓の採用状況
- 2016年の樹脂窓採用率は16.1%(全国)。
- 1~3地域(旭川、札幌、仙台)への採用は進んでいるが、4~7地域に余地あり。
- 特に住宅着工戸数の多い6地域(679千戸)への採用が9.2%(62千戸)に留まる。
樹脂窓によるGHG排出削減貢献量(2016年)
- 2016年の樹脂窓(16.1%)採用によるGHG排出削減貢献量は全国(1~7地域)で43~95万t-CO2eq。
- 6地域(採用率9.2%、62千戸)の占める割合が大きい。
2017年以降の窓出荷と住宅着工件数予測
- 戸建て住宅の着工戸数は、2030年に半減するという見通しがある。
→世帯数の減少と住宅の長寿命化 - 住宅用の窓出荷量も減少していくと考えられる。
GHG排出削減貢献量の試算(2017~2030年、採用率20%)
- 樹脂窓の新築住宅における採用率は2016年時点で16.1%。
- 2030年で採用率20.0%(ほぼ現状維持)では、2017年以降においてGHG排出削減貢献量は次第に減少していく。
- 2030年のGHG排出削減貢献量は、最大63万t-CO2eq、最小29万t-CO2eqと試算。
GHG排出削減貢献量の試算(2017~2030年、採用率50%)
- 2030年で採用率50.0%(導入促進)では、2017年以降においてGHG排出削減貢献量は増加傾向となる。
- 2030年のGHG排出削減貢献量は、最大169万t-CO2eq、最小104万t-CO2eqと試算。
結論、考察
樹脂窓のLCA
- 住宅の使用段階(30年間)におけるエネルギー消費量、GHG排出量が9割を占める。
- 評価対象製品とした2または3種類の樹脂窓は、ベースラインよりもライフサイクルにおけるエネルギー消費量、GHG排出量が少ない。
- 6地域(東京)を例にとると、ベースラインに対して30年間で80~102GJ、4.8~6.0t-CO2eqの削減となる。
(ただし、評価した時点の状態が30年間続くものと仮定した場合) - より断熱性に優れた樹脂窓が普及することで、住宅におけるライフサイクルでのエネルギー消費量、GHG排出量を軽減することができる。
- より断熱性に優れた樹脂窓が普及することで、住宅におけるライフサイクルでのエネルギー消費量、GHG排出量を軽減することができる。
注)ベースライン:平成28年省エネルギー基準の仕様基準(開口部比率区分:ろ)
GHG排出削減貢献量
- ほぼ現状維持である採用率20.0%での2030年のGHG排出削減貢献量は、29~63万t-CO2eqと試算した。ただし、2017年以降においてGHG排出削減貢献量は次第に減少していく。
- 採用率50.0%では、2017年以降もGHG排出削減貢献量が増加し、104~169万t-CO2eqになると試算した。
(ただし、評価した時点のGHG削減効果が30年間続くと仮定した場合である。) - GHG排出削減貢献量を増やしていくためには、住宅着工戸数が多く、採用率が低い、5地域(宇都宮)、6地域(東京)への導入が必要となる。